普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

選択編

樹ルート 8

樹視点

｢…出来ましたね｣
｢おっきーねー｣
｢…ここまで大きくなくともよいのですが…｣
奥様は確かに一軒家と言った｡
そしたら普通…その辺にあるような一軒家を想像するよね？
何故部屋の数が10を超えている？
何故玄関が異様に広い？
その他にも寝室は3つあるし2階建てだけど2階にはバルコニーがあって屋上には本邸と比べると小さいがプールもある｡
庭は…いわずもがな…本邸と共同なのでかなり広い｡
｢私達のポストの隣に柚達のポストも付けておいたわ｡苗字は『柊』にしてしまったのだけど…いいかしら｣
｢はい｣
｢僕がお嫁入りしたんだもん｡僕は柊柚琉だよっ!!先生と一緒っ!!｣
｢…どの先生を言ってるんですか…ですがご安心ください｡この柊という苗字はあの里の出であるということを証明する言葉でもあります｡柚琉様がこの苗字である限り世界中に散らばった柊の一族は何があってもお守りします｣
｢あら｡…え？…もしかして柚の主治医の先生も…？｣
｢えぇ｡柊 椎名｡僕の遠縁の親戚です｣
｢…ほんとに世間って狭いわね｣
…っと話すのはここまでにして…｡
｢柚琉様､お部屋に入りたいのでしたら先に行ってもよろしかったんですよ？｣
｢樹くんと一緒がいいの!!｣
｢…｣
嬉しい…けど奥様の前でそれを顔や声に出す訳には…｡
｢じゃあ私は本邸の方に戻るわね｡時々私達の方に来てくれると嬉しいわ｣
｢はい｣
｢うん!!遊びに行くね!!｣
渡り廊下を使えば本邸まで5分とかからないから柚琉様1人でも行けるだろう…多分｡
｢では入ってみましょうか｣
｢うん!!｣