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番外編
初めての
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直人視点
「あ…ぅ…」
「柚、頑張ってもうちょっとよ」
母さんは柚を早く立たせたいみたいでつかまり立ち用に手すりを増やしていた。
…うちの手すり全部高いもんね…出来るわけないと思ってたけど夏はそれですぐ立っちゃったし。
「ふぇ…」
「母さん、そのぐらいにしようよ。柚泣いちゃうよ?」
「そうね…柚は元々成長が遅れてるんだもの。検診で言われたことなんて気にする必要ないわね」
「検診?」
あー…一歳半検診とかのあれか。
夏はプラスだけど柚は全部マイナスついてたもんね…。
このままだとなんか教室に通わなきゃいけないとか言ってたし。
「…夏休みの自由工作それにしようかな」
「それって?」
「柚用の補助具。柚、手すりを掴む力も踏ん張る力も弱いから出来ないんじゃないのかな。だからそれを補助するための道具があれば出来ると思うんだけど」
「いいわね。…でも直人の自由工作がそれでいいの?」
「うん。別に毎年研究しなきゃいけないわけじゃないし」
自由研究飽きてきたもん。
「それじゃ僕は父さんに手伝ってもらうから。柚、また後でね」
「ふぇっ…」
柚は置いていかれると思ったのか僕の足にぎゅーっと抱きついた。
「大丈夫だよ。戻ってくるしここには母さんもいるでしょ?」
「ぇぐっ…」
「…泣き出しちゃった」
「いいわ。いってらっしゃい。柚は母さんと一緒にあっちで遊びましょうか」
「…じゃあね」
「ふぇっ…へくちっ」
風邪引きさん用にも何か作らないといけなかったかな。
その1週間後、補助具が完成した。
「有り合わせのもので作ったから強度は弱いけど今父さんが完成形作ってくれてるよ」
「じゃあこれも発売するのね?」
「うん。学校に提出してからだけどね」
鉄棒の逆上がりの補助具のようにゴムも考えたんだけど柚の柔らかい肌じゃ傷がついちゃうから柔らかい布を使ってみたんだけど。
ぺたぺた。
「ふふ、柚、これは兄さんが柚のために作ってくれたのよ?気になる?」
「ぁぶっ」
「ちょっとだけ使ってみましょうか」
赤ちゃん用歩行器だと柚は上半身が折れ曲がっちゃうから背もたれ…のようなものを付けてみた。
足を穴に通して、手は赤ちゃん用のおもちゃと同じ素材で作った手すりに。
指がフィットするように多少凸凹を作った。
柚の指の大きさと同じぐらいにね。
「…ぅや!!」
「なんだか誇らしげね」
「補助されて立ってるだけなんだけどね」
これだとキャスターがないから進まないし転倒防止用のロックも付けた。
「…販売するならここの手すりちょっと変えないとね」
「これは柚用だものね」
「うん」
さっきから柚はこっちをじーっと見ていた。
「あーとっ!!」
「!?柚が、柚があーとって!!」
「柚!!ママには?」
「まぁま」
「もう喋れるようになったのね!!柚は天才だわ!!」
今日やっと立てるようになったのに言葉はすぐに習得しちゃうなんて…。
…でも多分検診では何も話さなくなるんだろうな…。
柚、人見知りが激しいし。
「あ…ぅ…」
「柚、頑張ってもうちょっとよ」
母さんは柚を早く立たせたいみたいでつかまり立ち用に手すりを増やしていた。
…うちの手すり全部高いもんね…出来るわけないと思ってたけど夏はそれですぐ立っちゃったし。
「ふぇ…」
「母さん、そのぐらいにしようよ。柚泣いちゃうよ?」
「そうね…柚は元々成長が遅れてるんだもの。検診で言われたことなんて気にする必要ないわね」
「検診?」
あー…一歳半検診とかのあれか。
夏はプラスだけど柚は全部マイナスついてたもんね…。
このままだとなんか教室に通わなきゃいけないとか言ってたし。
「…夏休みの自由工作それにしようかな」
「それって?」
「柚用の補助具。柚、手すりを掴む力も踏ん張る力も弱いから出来ないんじゃないのかな。だからそれを補助するための道具があれば出来ると思うんだけど」
「いいわね。…でも直人の自由工作がそれでいいの?」
「うん。別に毎年研究しなきゃいけないわけじゃないし」
自由研究飽きてきたもん。
「それじゃ僕は父さんに手伝ってもらうから。柚、また後でね」
「ふぇっ…」
柚は置いていかれると思ったのか僕の足にぎゅーっと抱きついた。
「大丈夫だよ。戻ってくるしここには母さんもいるでしょ?」
「ぇぐっ…」
「…泣き出しちゃった」
「いいわ。いってらっしゃい。柚は母さんと一緒にあっちで遊びましょうか」
「…じゃあね」
「ふぇっ…へくちっ」
風邪引きさん用にも何か作らないといけなかったかな。
その1週間後、補助具が完成した。
「有り合わせのもので作ったから強度は弱いけど今父さんが完成形作ってくれてるよ」
「じゃあこれも発売するのね?」
「うん。学校に提出してからだけどね」
鉄棒の逆上がりの補助具のようにゴムも考えたんだけど柚の柔らかい肌じゃ傷がついちゃうから柔らかい布を使ってみたんだけど。
ぺたぺた。
「ふふ、柚、これは兄さんが柚のために作ってくれたのよ?気になる?」
「ぁぶっ」
「ちょっとだけ使ってみましょうか」
赤ちゃん用歩行器だと柚は上半身が折れ曲がっちゃうから背もたれ…のようなものを付けてみた。
足を穴に通して、手は赤ちゃん用のおもちゃと同じ素材で作った手すりに。
指がフィットするように多少凸凹を作った。
柚の指の大きさと同じぐらいにね。
「…ぅや!!」
「なんだか誇らしげね」
「補助されて立ってるだけなんだけどね」
これだとキャスターがないから進まないし転倒防止用のロックも付けた。
「…販売するならここの手すりちょっと変えないとね」
「これは柚用だものね」
「うん」
さっきから柚はこっちをじーっと見ていた。
「あーとっ!!」
「!?柚が、柚があーとって!!」
「柚!!ママには?」
「まぁま」
「もう喋れるようになったのね!!柚は天才だわ!!」
今日やっと立てるようになったのに言葉はすぐに習得しちゃうなんて…。
…でも多分検診では何も話さなくなるんだろうな…。
柚、人見知りが激しいし。
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