普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

選択編

足枷

『ほんっとに役に立たないわね』
ふむふむ｡
『料理も掃除もできない｡あんたを拾ってくれるところなんてうち以外にないんだからしっかり働きなさい!!』
ふむふ…え？
家事が出来ないと捨てられちゃうの？
｢どうかされましたか？柚琉様｣
｢ううん…なんでもない｣
僕は読んでいた本を閉じて机に置いた｡
…初めて…あくやくれいじょーの本読んだけど…えっと…僕捨てられるかもしれない｡
役立たずは捨てられちゃうんだって｡
僕も…そうなるのかな？
｢やはりいつもと趣向の違う本は面白くないのでは？｣
｢面白いよ｣
面白い…んだけど…｡
僕は膝をきゅっと自分に寄せてソファーの上で体育座りをした｡
…ちょっとだけ怖いな｡
僕みんなに捨てられたら何にもできないもん｡
｢…体調悪いですか？｣
｢だいじょーぶ｡でもお部屋戻るね｣
｢何かお持ちしましょうか？｣
｢ううん｡1人にして｣
僕は自分の部屋まで樹くんに連れてきてもらい､部屋に入るとぬいぐるみを集めだした｡



｢よいしょ…｣
部屋中のぬいぐるみをベッドの上に集めて僕は布団の中に潜り込んだ｡
たまーに作る僕の安心する場所｡
｢…おやすみ…｣