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選択編

司ルート 1

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司視点

「ただいま」
家に帰っても返事はない。
まぁ柚は大体寝てるからな。
リビングに入るとやはり柚は洗濯物を畳んでいる途中で寝てしまったようだ。
「柚。寝るなら寝室行けよ。風邪ひくぞ」
「ん…つかさ…おかえり…。…あ、ごはん…」
「寝てるだろうと思って買ってきた。スープぐらいなら食べられそうか?」
「うん…」
悪阻でしばらく果物とスープのみの生活ばっかりだからな。
…本当は俺が料理できればいいんだけど簡単なやつしか作れないし。
眠つわりだけだからまだ安心できるが…吐いたら俺は本格的に仕事できなくなるかもしれない。
「…あとね…とうさんからでんわあった…」
「なんて言ってたんだ?」
「あした…くるって…ぐぅ」
「…柚?」
電子レンジに買ってきたものを入れてセットしていると柚の声が途切れた。
「…また寝たのか」
…しっかし…明日か。
…仕事あるんだけど。
柚の様子を見に来るってことか?
「…ふぁっ!!僕また寝てた!?」
「…さっきまでのは寝ぼけてたのか。やっと起きたか?」
「う、うん。ごめんね」
「中華スープに春雨入れておいたからな」
「やったぁ!!」
好きなお菓子が食べられない分他のもので補わないとならないのに元が少食すぎて全然食べてくれない。
だからいつもお湯を注ぐだけのカップスープ類を電気ケトルに水をセットして置いておくんだけど…それも1日1個ぐらいしか減ってない。
「柚。今日もスープ食べなかったのか?」
「寝てたもん」
「…そうか」
薬飲めないしな…。
…唐辛子類は胎児にも悪いし。
「でしたらこちらのスープを」
「樹くん!?」
「は!?」
いつの間にか柚の従者と名乗る樹が部屋の中に入っていた。
俺鍵かけたんだけど…。
「お久しぶりです柚琉様。お体のほうは?」
「眠いだけで大丈夫だよ」
「…少し軽くなりました?食べてないですよね?」
「う…」
「1日3食毎日食べてくださいと言いませんでしたか?」
「…言ってた」
「…3食全て普段の量をとは言いません。その代わり食事の回数を増やすようにと…あなたにも言いましたよね?」
「え!?俺!?」
いきなり話を振られた。
俺…こいつに嫌われてんだよな。
「1日5回。間食を含めて構いませんと私はあなたに頼んだはずですが?」
「俺にも仕事があるし1日は付き添えねぇんだよ」
「…やはり」
なんか嫌な予感。
「あなたがいない間私がここにいます。柚琉様の世話係として」
「は!?」
「いいですよね?」
「僕は嬉しいよ?また樹くんも一緒にいられるの?」
「はい」
…柚がいいならいいか。
俺が帰ったら追い出してやる。
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