普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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選択編

樹の里編part7

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「…樹くん。最近子供の姿見ないね。一緒に遊びたかったのに…」
「…えぇそうですね」
…いないのは山奥の訓練に連れていかれたから…なんて言えないなぁ。
あそこのが1番キツイから。
「でもそろそろ柚琉様も帰りませんと…」
「…さっき父さんから明日迎えに行くって連絡あった。だから最後に一緒に遊びたかったのに」
「…最後ではありませんよ。また連れてきてさしあげますから」
「…ん」
寂しくなってしまったのだろうか…柚琉様は僕に抱きついてきた。
「樹。柚琉様。お客人だぞ」
「母様…ってなんですかその格好は!!」
「ん?…あぁ…さっきまで寝てたから。今誰もいないしとりあえず居間に通しておいたから早く行ってこい」
「…母様は早くその衣服の乱れを直してください」
「おきもの…」
柚琉様がガン見してるから!!
「…おきもの…いいなぁ」
「柚琉様も着ます?」
「着たい!!」
「え…あの…え?」
…着物って…まさか!!
ならサイズ合うかな~」
「やめてください!!」
「ふぇ?」
「あははっ。さすがには出さねぇよ。安心しろ」
「…約束ですよ?」
…さすがにあの黒歴史は柚琉様にはバレたくない。



居間にて…
「失礼します」
柚琉様を母様に任せ、僕は居間へと向かった。
「樹。柚はどうしたの?」
「奥様!?それに夏羽様まで!?」
迎えは明日で旦那様が来るはずなのに…。
「夏が来たいと言うものだから2人で少しだけ遊びに来たのよ。いつもお世話になっている樹の御両親にも挨拶したかったもの」
「今柚琉様は母様と一緒に着替えに…」
「もう終わったぞ」
「母さん!!」
着物姿の柚琉様は奥様に抱きついた。
その背中には…
「母様!!」
「悪い悪い。好奇心が抑えきれなかった」
腰の帯の結び方。
あれは完全に女形の結び方だ。
「…甚平でも渡しておけばよかった…母様が普通にやるはずないじゃないか…」
「いいわよ。これはこれで。可愛いもの」
「んにゅ?」
柚琉様だけが気づいていない。
…まぁ着物なんて着せたことないし知らないんだろうな。
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