普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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選択編

樹の里編part4

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引き…以下略

「柚琉様。どうですか?」
「冷たくて気持ちいい…川に来たの初めて」
「足をつけるのはいいですが入るのはやめておきましょう。心臓にも悪いですから」
「はぁい」
大きめの石に柚琉様を座らせ、僕は後ろでミニテーブルの用意をしておく。
「樹兄ちゃん!!」
「兄ちゃんいつ帰ってきたの?」
「遊ぼ!!」
「…今仕事中だから。里帰りじゃないから遊ぶのはまた今度」
「樹くん。その子達だぁれ?」
柚琉様はいつの間にかこちらを振り返っていた。
「里の子供です。…何故か私のことを兄と慕ってくれているのです」
「…遊べねぇの?」
「あいつ誰?」
「あいつと言っちゃダメだ。…あの方は藤沢柚琉様。僕がお仕えしている藤沢一族の1人だよ」
「里に藤沢連れてきちゃダメなんだぞ!!」
…は?
そんな話聞いたことない…。
今回の療養も長に話して了承を貰ったから来たからであって…。
「…樹くん。相手してあげて」
「しかし…」
「僕ここにいるから」
「…はい」
子供達と一緒に川に入った。
この川は中洲に行くまでは浅瀬だから。
…その奥はかなり深いから訓練用だけど。
僕は遊びながらも岸にいる柚琉様の方を何度か確認した。
…ちゃんといる。
そう思い、視線を戻した瞬間。
バシャン。
「!?」
さっきまで座っていたはずの柚琉様が川に落ちていた。
「いてて…」
「柚琉様!?大丈夫ですか!?」
「大丈夫…ほんとに冷たいね」
折りたたみの椅子を開き、そこに柚琉様を座らせて頭にタオルを被せた。
「…怪我はしてないようですね」
「へくちゅ」
「家に戻りましょうか。着替えませんと」
「…ん」
柚琉様を大きめのバスタオルで包み、抱えたまま家に連れて帰る。


「樹~…あれ?柚琉様?どったの?」
「川に落ちたんだよ。お風呂沸かしてくれる?」
「わかった。ちょっと熱めのがいい?」
「火傷するからやめて。ぬるめにしておいて」
「りょーかい」
母様を風呂場に行かせその間に少しでも柚琉様を拭いておく。
「…樹くんも濡れちゃった」
「私のことはいいのです」
「だめ!!風邪ひいちゃうよ!!」
…普通はこれだけではひきません。
「樹~入浴剤使う~?」
「にゅーよくざい!?」
「…使っとくね~みかんの湯だから~」
…みかんか。
「飲まないでくださいよ?」
「さすがにやらないよ!!」
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