普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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選択編

番外編 柚の奇病『花吐き病』part3

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柚視点

夏に生えていた蔓が僕にも生えた。
「えへへ。くすぐったいよ」
「柚。蔓と遊んでないでこっち来て」
「はぁい」
夏の前にストンと座ると蔓の根元をハサミで切られた。
「え…」
「夏もやったけど痛くはないでしょ?これこのまま放っておいたら柚の栄養吸っちゃうから早く取ろうね」
「…うん」
蔓さん…いなくなっちゃった。
…ごめんね。
「柚。悲しいのはわかるけど…」
「…僕どうなるのかな」
「大丈夫だよ。夏が助ける」
「…ん」
入院してからリングも外されて首元がなんだか寂しくなっちゃった。
いつもつけてる物がないとこんなふうになっちゃうんだな。
「こんにちは。お二人さん」
「にゃぁぁぁぁぁ!!」
僕は慌てて夏から離れてベッドの反対側に避難した。
「…僕を見て速攻で逃げるのやめて。傷つくから」
「ごめんなさい…でも僕…」
「今日は呼びに来たの夏羽くんの方だから」
「え…夏…?」
夏を見上げると、微笑んで僕の頭を撫でてくれた。
「柚検査嫌いでしょ?だから出来る限り夏がやれるように頼んでおいたの」
「どうして…」
「柚が大好きだから。ちゃんといい子で待っててね」
ちゅ、と額にキスをすると夏は柊先生のあとについて部屋を出ていった。
…確かに検査は怖いけど…夏は怖くないの?
僕の分までってかなり多いよね。
「…僕…夏に頼んでまで…検査やりたくないわけじゃないのに」
怖いけど頑張れる。
夏も同じ病気だもん。
夏のために早く治してあげないと。
僕はいつも病気になるし入院も慣れてるけど夏は違うもんね。
シュル。
…あれ?
蔓さんさっき切られたのに。
( T_T)\(^-^ )。
撫でてくれるの?
「えへ…ありがと」
でも…なんだか凄く眠たい…。
僕はその場に崩れ落ちた。


夏視点
どの検査をやってもダメだった。
…なんにも分からない。
これがなんなのか、どうして夏達にだけ症状があるのか。
「柚、ただい…」
部屋に戻ると柚が床に倒れていた。
「柚!!」
「柚琉くん!!」
先生と一緒に駆け寄ろうとしたが柚から伸びた蔓がそれを阻んできた。
(`_´)。
「…柚を返して」
(  ー̀дー́ )。
「返せ」
(´^`)プイッ。
「…返しやがれ!!」
蔓を掴み、適当にハサミでぶった斬る。
切っても切っても大元には届かない。
「先生!!」
「分かってる!!」
先生がポケットから出した薬品をかけると…かかった部分だけ蔓は溶けてなくなった。
再生することも無い。
「…ほんとに除草剤が効くとは」
「それ柚にかからないようにしてよ」
「分かってるよ。皮膚炎にでもなったら困るし」
蔓の根元にも除草剤をかけ完全に消した後に柚を抱き上げた。
「ねぇ柚?」
「んにゃぁ…もう…おなかいっぱい…ぐぅ」
…本人はいい夢見てるのか。
「種、早く取り出さないとね」
「手術なら取れるのかな」
「手術とプラスで人体に影響のない除草剤を使うしかないね」
「除草剤は父さんに頼んでおく。手術の方は準備よろしく」
「はいはい。…ここまで雑に使われるのも久しぶりだな。ほんと柊二の血を引く子だよ…」
柚のために早く何とかしないとね。
「ふにゃっ!!なつぅ…つるしゃ…たべちゃめぇ…」
…夏が夢に出てきたのは嬉しいけど蔓が一緒ってムカつく。
とりあえずこの切り落としたやつでも踏んでおこう。
ドスッドスッ。
「……早く手術させよう」
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