上 下
686 / 839
選択編

番外編 柚の奇病『花吐き病』

しおりを挟む
ちょっとネタが切れてきたんで番外編です。…漫画で読んだやつだけど。
あとこちらの都合で柚が小学生の時としまーす。じゃないと柊せんせー出しにくいからでーす。



柚視点

「…柚どうしたの?」
「…なんか…気持ち悪い…」
「…柚も?…なんか…夏も気持ち悪い…どうしたんだろ…」
夏と一緒に向き合ってベッドに寝転んだ。
「夏羽様、柚琉様朝ですよ」
「…睦樹か。ごめん…夏も体調崩した…」
「夏羽様?…柚琉様も体調悪いんですか?」
「…症状は吐き気だけ…ぅ」
「…夏のがまだ軽いからだいじょーぶ…父さんに言って…病院連れてって」
「はい。今すぐ行ってまいります」
夏は睦樹を送り出すと僕の頭を撫でた。
「…大丈夫だよ。夏がついてるからね」
「…ん」
夏がいれば…安心出来る。
…いつもなら僕すぐ吐いちゃうのに。
今は気持ち悪いって思うだけで吐くことはないもん。
「柚琉様!?」
「…樹。いつもより焦ってない?」
「…すみません。取り乱しました。車の用意が整いましたので呼びにまいりました」
「だって。柚立てる?」
「…むり」
胸元が…むかむかして…気になる。
「失礼しますね」
樹くんは僕を抱き上げ、夏はそのまま歩いてついてきた。
「ふぁぁ…まだちょっと眠い…」
「…柚琉様。バケツお持ちしましょうか?」
「ううん…大丈夫…」







「…ぅ」
「吐きそう?…そこの容器取って」
僕の口から零れたのは…
「…花?…柚琉くん?お腹すいても花は食べちゃダメだよ?」
「違うもん!!…うぅ…」
その後数分ほど花を吐き続けるとやっと収まった。
「…こんな漫画みたいな病気あったんだ…」
「…先生病名がわかるんですか?夏羽様も同じような症状で…」
「…花吐き病だろうね。架空の病気。好きな人を思うと花を吐き出す…だっけ?柚琉くん好きな人いる?」
「…みんな大好き…」
「あー…うん。伝わらないのは分かってた」
…どうして?
ちゃんと答えたよ?
「…前例のない病気だから…今のところ治療法はないんだ。とりあえず入院して様子を見ようか」
「ぴぇ!?」
「夏羽くんも同じ部屋へ。…経過観察は細かくね」
「はい」
…入院…。
でも…夏も一緒なら…いいのかな?







夏視点

夏達が入れられたこの部屋。
絶対に普通の部屋じゃない。
無菌室のように廊下側には大きなガラスが設置されこちらからは何も見えないから多分マジックミラーになってる。
…これじゃ夏達は閉じ込められて観察されるだけじゃないか。
「…夏?どうしたの?」
「なんでもない」
怖がりな柚にこのことを知られるわけにはいかない。
…大丈夫。
「樹くんがね、ぬいぐるみいっぱい持ってきてくれるって。夏のゲームもお願いしておいたの」
「ありがと。それ届いたら一緒に遊ぼうね」
「うん!!」
定期的に花を吐く以外は普通な柚と夏。
…どうなるんだろう。
「…ぇ」
「柚?吐きそう?」
夏は柚にガラスの方に背を向けるようにし、バケツを持たせて背中を摩った。
耐えるよりも吐いちゃう方が楽だからね。
「…おぇ…」
「苦しいね。もうちょっとだから頑張って」
…夏の方はあんまり吐かないな。
何か違いがあるのかも。
「…なつ…ありがと。もういい…」
柚はバケツを手放すとすぐにベッドに横になった。
…顔色が悪い。
「…ちょっとだけ…お昼寝するね…」
「ん。おやすみ」
しばらくするとすぅすぅと寝息が聞こえてきた。
…今なら大丈夫かな。
夏はガラスの正面に立った。
「ねぇどうせ見てるんでしょ」
すりガラスのようになっていたガラスが一瞬で普通のガラスとなり、向こう側が見えるようになった。
…案の定、白衣を着てバインダーを持った人が数人立っていた。
「子供をこんなふうに観察して楽しい?夏達は病気といってもそれ以外は普通なんだけど。他の子から隔離するのは伝染するか分からないから?」
何も言わない向こう側の人達。
…まぁそうだろうね。
柚の元に戻ると…
「…柚?何してるの?」
「甘い匂いがする…お砂糖みたいな」
「お砂糖?」
…この部屋にあるものでそんな匂いがするのなんてなかったはず…。
「…もしかして」
「「これ?」」
柚がさっき吐いた花。
1つ摘んで匂いを嗅いでみると確かに甘い匂いがする。
「…なんか飴細工みたいだね」
「食べれるかな…」
やばい!!
柚がお菓子がないからって花を食べようとしてる!!
「柚!!あとで樹にお菓子も頼も!!だからそれまで待って!!」
「はむっ」
本当に食べちゃった!!
「…美味しい。夏も食べて」
「え?むぐっ」
柚に花びらを突っ込まれた。
…確かに砂糖の…飴細工の味だ。
「…食用の花?」
「でもどうしてそれが夏達の体から出るの?」
多分柚の花が甘いのは柚がお砂糖大量に摂取してるからだと思うけど…。
「…夏のはオランジェットみたい…甘くてちょっと苦い」
「…この花全部食べれるのか。…柚もう食べちゃダメだよ?」
「んむ?」
「だーかーらー!!食べちゃダメって言ってるでしょ!!」
柚の顎を掴み、口に入っていた花を全部吐き出させる。
「…むぅ」
「そんな顔してもダメ!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

兄弟愛

まい
BL
4人兄弟の末っ子 冬馬が3人の兄に溺愛されています。※BL、無理矢理、監禁、近親相姦あります。 苦手な方はお気をつけください。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

3人の弟に逆らえない

ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。 主人公:高校2年生の瑠璃 長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。 次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。 三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい? 3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。 しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか? そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。 調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m

元会計には首輪がついている

笹坂寧
BL
 【帝華学園】の生徒会会計を務め、無事卒業した俺。  こんな恐ろしい学園とっとと離れてやる、とばかりに一般入試を受けて遠く遠くの公立高校に入学し、無事、魔の学園から逃げ果すことが出来た。  卒業式から入学式前日まで、誘拐やらなんやらされて無理くり連れ戻されでもしないか戦々恐々としながら前後左右全ての気配を探って生き抜いた毎日が今では懐かしい。  俺は無事高校に入学を果たし、無事毎日登学して講義を受け、無事部活に入って友人を作り、無事彼女まで手に入れることが出来たのだ。    なのに。 「逃げられると思ったか?颯夏」 「ーーな、んで」  目の前に立つ恐ろしい男を前にして、こうも身体が動かないなんて。

王道学園にブラコンが乗り込んでいくぅ!

玉兎
BL
弟と同じ学校になるべく王道学園に編入した男の子のお話。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

小さい頃、近所のお兄さんに赤ちゃんみたいに甘えた事がきっかけで性癖が歪んでしまって困ってる

海野
BL
小さい頃、妹の誕生で赤ちゃん返りをした事のある雄介少年。少年も大人になり青年になった。しかし一般男性の性の興味とは外れ、幼児プレイにしかときめかなくなってしまった。あの時お世話になった「近所のお兄さん」は結婚してしまったし、彼ももう赤ちゃんになれる程可愛い背格好では無い。そんなある日、職場で「お兄さん」に似た雰囲気の人を見つける。いつしか目で追う様になった彼は次第にその人を妄想の材料に使うようになる。ある日の残業中、眠ってしまった雄介は、起こしに来た人物に寝ぼけてママと言って抱きついてしまい…?

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う

らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。 唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。 そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。 いったいどうなる!? [強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。 ※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。 ※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。

処理中です...