普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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選択編

夏羽ルート 9

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「…あれ?…どこ行ったの?」
「柚?どうしたの?」
きょろきょろと辺りを見渡し、机の下などをのぞき込む柚。
蒼大そうた達がいないの」
…柚忘れてる?
「蒼大達なら今日は幼稚園の遠足だよ。樹達に行ってもらったこと忘れたの?」
「…そうだった…土曜日なのにいないから…」
「ゆーず。そんなに不安にならなくてもみんないるから、ね?」
「…うん」
3つ子を産んだ後、柚はすぐに妊娠した。
まぁ夏のせいなんだけどねっ。
今回は双子だし…あとマタニティブルーが酷い。
視界に誰かいないとすぐ泣き出すし不安すぎて過呼吸になることも何度か。
「「「ただいまー!!」」」
「「ただいま戻りました…」」
元気な3つ子の声と疲れ果てた樹と睦樹の声が聞こえてきた。
「おかえり」
「「「ママおみやげ!!」」」
「…どんぐり?ありがとう」
「樹達はなんでそんなに疲れてるの?」
「…さすがに…大勢の3歳児の相手は疲れました」
「…陽大ひなた様が途中で怪我をしたので抱き上げたところ他の園児にも群がられてしまい…」
あぁ…樹達は他の人より力あるし子供に大人気だもんね。
「パパにもおみやげ」
「ん。奏大かなたありがと。…写真?」
「きれーなのとった。え、かける?」
「…ありがと。パパ頑張って綺麗なの描くね」
子供にこんなこと言われたら描くしかないじゃないか。
次の仕事までまだ間があるし1枚描くくらいなら大丈夫…なはず。
「わっ。蒼大!?」
「ママないてた?…いたいいたいした?」
「ひなた…おくすりもってくる!!」
「大丈夫。怪我はしてないよ」
蒼大達がいなくて寂しくて泣いちゃっただけだしね。
「帰りにドーナツを買ってきましたのでおやつにしましょうか」
「台所借りますね」
「「「「ドーナツ!!」」」」
「柚はお砂糖ちょっと控えようね」
「えぇ~…」
…体重増やすには効果的だけど栄養面かなり心配だからね。
「柚琉様用にはおからドーナツを作ってきたので大丈夫ですよ」
「それなら安し……ん?」
柚も気づいたみたいだね。
…樹…いつの間にかお菓子作りすごく上手くなってたんだよ。
睦樹は料理は人並み、料理以外の家事は完璧って感じだけど。
「…作った…?」
「はい。そうですけど…」
「樹…くんが…?」
「えぇ。パティシエの方々には劣ると思いますが」
あ、柚固まった。
固まると陽大が登っちゃうからいつも立ったまま固まらないのに。
「ママー!!おやつー!!」
「うぐっ…」
「柚!?」
陽大に後ろから突進されて膝カックンされた柚。
…目の前クッションでよかった。
「…ひなた…膝カックンはやめて…」
「んにゅ?」
「柚、大丈夫?」
「…だいじょーぶ…」
じゃなさそうだから抱き上げておこう。
柚を抱き上げるときゅっとしがみついてきた。
可愛い。
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