普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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選択編

直人ルート 7

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「…大分衰弱してるわね」
「つわりって特定のものがダメなんじゃないの?…柚の場合ほぼ全ての匂いがダメでゼリーとかフルーツしか食べられないんだけど」
「そういう人もいるわよ」
母さんは自分の膝で眠る柚の頭を撫でた。
「1度病院に行ったらどうかしら」
「ちょうど明日検診だし相談してみるよ。来てくれてありがとね」
「可愛い息子2人の頼みだもの。藤沢の方は気にしないで。私と柊二でなんとかしてみるわ」
「…ごめん。僕だけじゃどうにも動かなくて」
さすがに何十年も続くことに若者が太刀打ち出来なかったんだ。
「頼ってくれていいのよ」
「ありがとう。あ、そうそう。これ持って行って」
「あら?」
僕は横に置いていた紙袋を母さんに渡した。
「取引先からワイン貰ったんだけど柚が間違えて飲んじゃうとまずいから貰って」
「いいの?これかなりの上物じゃない」
「父さんと2人で飲んでよ」
「んぅ…」
柚起きるかな?
「「柚?」」
「えへ…にいさ…おはよぅ…すぴぃ…」
おはようって言ったのにまた寝ちゃったよ。
「じゃあそろそろ私帰るわね」
「ありがとう。また頼むかもしれないけどよろしくね」
「分かってるわよ。たまにはうちにも帰ってきなさいね」
「生まれたら絶対行くよ」
こんな情緒不安定な時に連れ回すのもダメだと思うし。
母さんを見送ったあと、柚をベッドに運ぶ。
「…んん…」
あ、起きちゃうかな?
布団をかけてやるともぞもぞ動き、僕の腕を抱きしめて止まった。
…え?
「ゆ…柚…?」
「えへへ。ちょっと前から起きてたの。兄さんも一緒にお昼寝しよう?」
「柚…」
「ぼ…僕とお昼寝するの嫌なの…?」
じんわりと柚の目が潤んできた。
「嫌じゃないよ。やることあるからちょっとだけね」
「うんっ」
ベッドに入ると柚の方から抱きしめてきた。
「…最近…迷惑かけてごめんなさい」
「迷惑なんて思ってないよ」
「だって…僕急に…泣きたくなっちゃったり…」
「大丈夫。それは当たり前のことだから。柚が心配することじゃないよ」
「…ぅん…」
柚はお腹に手を当てた。
「僕…赤ちゃんがいるって…実感わかなくて…」
「まだお腹も膨らんできてないからね」
「…屋根裏行こうとして樹くんに怒られたの」
!?
「それはさすがに僕でも怒るよ!?」
屋根裏!?
うちにはないし…実家に預けた時か!!
「…行っちゃだめ…だった?」
「ダメだよ!!…ほんと…心臓止まるかと思った…」
「止まったら僕が治してあげるねっ」
「止まっちゃダメだからね?…お腹に赤ちゃんいるんだから安静にしてて…」
「…歩くのだめ?」
「ダメではないけどやりすぎはダメだよ」
…止めないとその辺すぐに歩いていって迷子になりそうだけど。
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