普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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選択編

直人ルート 1

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選択編ではルートの名前にした人の視点で書いていきます。ですのでこのルートは直人視点ですね。ではどうぞっ!!









「ただいm…」
「兄さんおかえりっ!!」
扉を開けた瞬間柚が抱きついてきた。
「危ないから飛びつくのはやめてって言わなかった?」
「だって兄さんやっと帰ってきたんだもん。嬉しくって」
柚を抱え、靴を揃えて置いておき、リビングへ向かった。
「あのね、今日はねクリームシチュー作ったの。美味しくできたから食べてっ」
「うん。柚の作ってくれるの全部美味しいと思うけどな?」
「えー身内の欲目だよ~まだレシピ通りじゃないと何も作れないし」
柚はするりと僕から離れてキッチンに立った。
…柚がこの家に来たのはちょうど半年前。
高校卒業と同時にここに引っ越してきたのだ。
ちなみに告白したらOKはもらったけど番契約はまだ出来てない。
というか噛ませてくれない。
「ふんふふ~ん♪」
…あの白い項に僕のあとを付けるだけなんだけど…。
「ん?どうしたの?お腹すいちゃった?今温め直してるからもうちょっと待って」
「焦らなくていいよ」
「大丈…あちっ」
「柚!?」
慌ててキッチンに駆け込むと柚は自分の指を咥えていた。
「えへ。ふた取ろうとしたら火傷しちゃった」
「すぐ冷やさないと!!」
「大丈夫だよ。ほら、シチューできたから早く食べよ?」
とりあえずの応急処置として濡らしたハンカチを柚の指に巻き付けた。
…多分このトースターに入ってるバゲットも夕食用だよな。
皿に移し、柚に持たせた。
「…え?」
「柚は熱いの触るの禁止。それ運んでて」
「そんなぁ…」
とぼとぼと歩いていく柚。
…まぁ本当は運ばなくてもキッチンの前にテーブルがあるからすぐに受け渡しは出来るんだけど。
シチューを皿に移し、テーブルに置くと柚がキラキラした目でこちらを見ていた。
「どうしたの?」
「美味しっ?」
「まだ食べてないから」
スプーンを手に取り、少し口に入れてみる。
「うん。美味しいよ」
「やったぁ!!明日はねっえっとね…何作ろう」
「じゃあハンバーグとか?」
「ハンバーグ作るっ!!えへへ。お料理するの楽しいっ」
「それは良かった」
「だって兄さんが美味しいって言って食べてくれるもん」
………。
「あれ?どうしたの?」
「…なんでもない」
…柚が可愛すぎて固まってたなんて言えない。
「…あとね……あの…」
「ん?」
「…ご近所さんに…僕まだ番になってないって言われた…どうして?一緒にいるのが番じゃないの?」
…あれ?
まさかのそこから教えないとダメなの?
項を噛むのを許してくれなかったのって番契約の仕方を忘れてたから?
「はぁ…」
思わず長い溜息をついた。
「…柚。お風呂入ろっか」
「え?な…なんで?」
「なんでも」
どうせ明日は休みだし思う存分やっても大丈夫だよね。
「はい。行くよー」
柚を抱き上げ風呂場へ向かう。
「わっえ!?き、着替え持ってない!!」
「いらないでしょ」
「え!?」
来年あたりには家族が増えるかな…。
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