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高校生編

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「あっ夏いた~酷いよ。僕を置いていくなんて」
「生憎ここは席埋まってるからどっかいったら?」
「…ねぇ席譲ってよ」
「え?…うん」
僕食べ終わったしいいよね。
「柚が行くなら夏も行こっと」
「でしたらこちらは片付けますね」
「な…」
樹くんは片方の手でトレイを持ち、もう片方の手で僕の鞄を持ってくれた。
「樹くん。トレイ持つよ」
「いいえ。これも仕事ですからお気になさらず」
「でも僕もやっと持てるようになったし…」
「でしたらこちらを持っていただけますか?」
樹くんは僕の伸ばした手にぽんとトレイを置いた。
トレイの上には人数分の空のコップが置いてあるだけだった。
むぅ…僕が落とすとでも思ってるの?
確かにおうちだとすぐにつまづいて落としてるけどさすがに大丈夫だもん。
「わっ」
「…やっぱりね」
夏は転びかけた僕を支えると持っていたトレイを取り上げた。
「これは夏が持っていくから柚は歩くことに集中する!!」
「…むぅ」
上手くできなかった…。
でも僕さっき何かにつまづいた気がするよ?
後ろを振り返っても何も無かった。
また何も無いところで転んじゃったのかな?
…足に何かが当たった気がしたけど…。
「ふにゃっ」
後ろからぽんと頭に手が乗せられた。
「柚。こんなところで突っ立ってどうしたの?」
「兄さんっ!!」
初めてここで兄さんに会った気がする!!
「体調悪くなっちゃった?今日僕このあとサークル活動行こうと思ったけど一緒に家に帰ろうか?」
「ううん。大丈夫」
体育やりたいもん。
「無理しないでね」
「無理してないよ~」
「…ほんとかな?」
ぎくっ。
ほ…本当だもん。
ちょっとつまづいた時に足痛いとか思ってないもん。
「…樹」
「はい」
「それ置いたら柚を保健室に連れて行ってくれる?」
「かしこまりました」
なんでバレたの!?
「隠し事はダメだよ。柚」
「…はぁい」
…手当てしてもらったら体育参加するもん!!
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