普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

中学生編

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柊視点

うん…やっぱり｡
｢心臓､小さいままだね｣
｢薬は処方したはずですよね？｣
｢柚琉くんみたいなのは前例がないからね…｣
移植するしか方法なさそうか｡
｢…昔だったら拒否反応とかあったけど今は自分の細胞だし､ないとは思うけど一応そこも危険視しておこうか｣
｢これ…来月まで耐えられますかね｣
｢どうだろう｡激しい運動しなければギリギリ耐えられるけど…逃げちゃうとなぁ｣
僕は近くの椅子に座った｡
ガラスの向こう側では柚琉くんがむすっとした顔をしながら機械から降りていた｡
｢…心臓だけ成長しない病…ね｡厄介な病気にかかってしまうのは藤沢の呪いなのかね｣
｢…どういうことです？｣
｢まぁ他の人は病気というよりも性質なんだけどね？藤沢の本筋の人達は誰かひとりに執着するんだよ｡たとえそれが運命の番でなかったとしても｣
｢運命すら超える執着ですか？｣
｢あぁ｡おかげで僕はこの通り藤沢の駒になっているんだよ｡…雫を紹介なんてするんじゃなかった｣
雫が会ってみたいって言うから会わせたらお互いに一目惚れしやがった｡
…そっからは縁切ったと思ったんだけどな｡
いつの間にか僕の就職先は藤沢傘下のこの病院でしかも担当するのは柊二の息子達っていう…｡
あんまり怪我しないからほぼ他の子見てたけど柚琉くんが生まれてからは違う｡
柚琉くんの専属医のようなものになった｡
｢先生､柚琉くん逃げ出そうとしてますけど｣
｢…はぁ｡捕まえてくるか｣
前を見るとドアのドアノブを掴んでガチャガチャやっている柚琉くんがいた｡
念の為鍵かけておいてよかった｡
…点滴の針抜いてるし｡
どんだけ痛がってももう1回刺さなきゃいけないんだけど｡