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中学生編

閑話 バレンタイン

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カシャカシャカシャカシャ。
シャカシャカシャカシャカ。
トプトプトプトプ。
ずるっ、びたーん。
「ふぇ…」
うぅ…なんで僕は何も無いところで転ぶの?
「…大丈夫か?」
「東さん…だいじょーぶ…チョコ作るもん」
「いや、頭からココアパウダー被ってるけど」
ふぇ?
…まぁあとでシャワー浴びるからいいよ。
でも…。
僕はドンドンと鳴り続けるドアを見た。
あのね、あの音ノックなの。
僕が扉の外に『開けちゃダメ!!開けたら嫌いになるからね!!』って書いた紙を貼ったら開けないけど永遠とノックが続くようになっちゃった。
もちろんリビングと繋がるドアと外に繋がるドアにも同じようなものを貼っておいたよ。
「まずはクーベルチュールチョコレートを刻む。だけどこれは包丁がいるから俺がやるな」
「包丁ぐらい僕でも使えるもん」
「柚琉様には型に流し込むのをやってもらうから」
「やるの!!」
僕は東さんから包丁とまな板を奪った。
あ、敬語じゃないのは僕が頼んだの。
教えてもらうのに敬語だと時間がかかりそうで…。
でも今思うと外さない方が良かったかも。
小さい子扱いしかされないんだもん。
「だ…大丈夫か?包丁の手と反対の手は猫の手だぞ?決して離すなよ?離したら自分の足に包丁が落ちてくるんだからな?」
こんな調子。
「だいじょーぶ」
チョコを刻めばいいんでしょ?
それなら前世でもやってたもん。
僕は猫の手にした左手をチョコの上に置き、端っこから包丁の刃を入れ…入れ……入らない。
あれ?
チョコってこんなに固かったっけ?
そういや僕前世では袋に入れて割ってた気がする…。
手で割ろうとするとお母さんに止められるから机に叩きつけるか足でふみふみするの!!
「…やるから貸せ」
うぅ…僕のやることが少なくなっちゃったぁ…。
僕は泣く泣く包丁を返した。
「じゃあそこのボウルを取ってくれ。あと鍋」
「鍋?ボウルじゃないの?」
ボウルにお湯を入れてやるんじゃないの?
「それだとお湯の温度がすぐ下がるだろ。チョコは丁寧に作れよ。あと湯煎の時にはお湯と湯気を入れるな」
「はぁい」
そうだったんだ。
前世と全然作り方違う。
「柚、美味しそうなチョコ!!夏にくれるの?」
「夏!?」
夏が窓からぴょこんと顔を出した。
「まだダメっ!!」
「夏もダメなの?…うぅ…」
夏はしょんぼりしながら窓から去っていった。
でもこれも美味しいチョコのため!!
「柚琉様?型に入れてくださいよ」
え!?
もう溶けたの!?



「みんな、いつもありがと!!」
僕はみんなにチョコレートを振舞った。
もちろん使用人の人達にもあげたよ。
一人一人は無理だったからたくさん作れるクッキーで。
中にココアパウダーとナッツを混ぜ込んだクッキーだよ。
「柚、ありがとう」
「本命が混ざってる…なんてことはないよね?」
「ほんめー?」
チョコってありがとうって渡すものじゃないの?
ほんめーってなぁに?
「「(バレンタインの意味を理解してないみたいで良かった…)」」
「柚のチョコー!!」
「夏には東さんと作ったガトーショコラだよ~」
「わーい!!」






すみません。イラストの色塗り間に合いませんでした。色鉛筆で良ければ後日アップしますね。
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