普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

中学生編

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｢…花…｣
｢図鑑持ってくる？｣
｢ううん｡いい｣
模写すると現実のお花しか思いつかなくなっちゃうもん｡
僕と夏がいつも描くのは現実にはないもの｡
僕達の頭の中でしか作れないものなんだよ｡
｢柚､たまには普通のお花も描こうよ｡これ､花言葉すっごい素敵だよ｣
花言葉…？
｢夏､見せて｣
純情､情熱的な愛…｡
｢夏､これ描ける？｣
｢出来るよ～｣
｢あのね…ここに大きなお花描いてその周りに僕達で色んなお花を描くの｡それでね､描いたお花の花言葉でメッセージを込めたいの｣
｢誰に向けるの？｣
誰？
誰…だろう｡
見てくれる人？
家族？
友達？
…よくわかんない｡
｢たくさんの人に感謝を伝えたいっ!!｣
｢じゃあこのお花だね｡周りのお花はいつも通り想像でいっか｣
僕達は絵の具と筆を手に取った｡
その他にもペンや色鉛筆も用意した｡
ふふ｡
この絵､完成して大会に出した後は誰にあげようかな｡
やっぱり感謝の気持ちを伝えるんだから父さんと母さんかな？
でも兄さんもお世話してくれるし樹くんだって…｡
あ､コピーすればいいんだ｡
それか別の絵を描く!!
｢柚？疲れたの？｣
｢なんでもない｡疲れてないよ｣
｢疲れたら休憩しようね｡前みたいに手がビリビリしちゃう｣
あぁ…母さんに休憩するように言われてたのに休憩せずにやり続けたら手の平つっちゃったの｡
痛かった…｡