普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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中学生編

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前回に引き続き夏視点

「…っしょっと」
柚をベッドに寝かせ布団をかけて隣に猫のぬいぐるみを置いた。
だって最近の柚のお気に入りなんだもん。
ずるい…夏もクレーンゲームで柚にぬいぐるみ取ってあげればよかった。
そうすれば柚にお気に入りにしてもらえ……やっぱりいい。
夏が取ってあげたぬいぐるみがお気に入りなのに夏が構われないのはやだ。
「この部屋では柚がいるから静かにね」
「…闇に隠されなかった初めてのΩだしな」
ん?
どういうこと?
「兄さん、闇って何?」
「なんだ。お前もまだ知らなかったのか」
「仕方ないよ。子供の中で知ってるのはまだ翔兄さんと僕と蒼士とあと各家の跡取りだけだから。まぁ跡取りの方は知ってるけど何も対処してないよね」
???
夏は知らないよ?
「…夏。辛い話かもしれないけどこれはちゃんと知っておかないといけないんだ。だけど柚には秘密。いいね?」
「うん」
柚には内緒にするんだね。
ならΩに関する大事な話かな?
「夏はこの藤沢家にΩが全く居ないことに疑問を抱いたことはなかった?」
「ある。なんで?」
「Ωは生まれた瞬間、または腹の中にいる間に消されるからだ。意図的に流産させられるか、藤沢を名乗らせず施設に入れるか…それが藤沢にΩがいない理由だ。全くもってαばかりの優秀な家なんかじゃない」
「…母さんも…父さんもそういうことしたの?」
「いいや。うちは単にΩが生まれなかっただけ。2分の1の確率で生まれるはずなのに凄いよね」
…Ωは生まれた瞬間に捨てられる。
もしくはお腹の中にいる時に流産させられる…流産って死んじゃうことだったよね。
もし柚がうちじゃなくて別の藤沢の家の子だったら殺されてたの?
会えなかったの?
「藤沢の闇ってのはそういうことだよ。おじい様も対処しようと頑張ってるみたいだけど秘密裏にΩが消されていってる。自分達は番にΩを選んでるのに変な話だよ」
「まぁαはΩからしか生まれないからな。番になったΩには3人子供を産ませてその中に1人でもαがいないとそいつも切られる」
切る?
物理的じゃないよね。
「…縁を切るってことだよ。この世界で藤沢に見捨てられて生きていけると思うか?」
夏は首を横に振った。
藤沢は色んなところに精通してる財閥だもん。
「縁を切られたΩはほとんど死刑宣告をされたようなもんだ。実家にも帰れない」
…何それ。
「…ねぇ柚は?柚はどうなっちゃうの?」
「今日の会議は次期当主を決めるためのものって言ってたから…この会議で父さんか兄さんが当主にならなければ間違いなく消されるね」
…そうなったら逃げよう。
お金ならおじい様から貰ったのがまだたくさんある。
柚と2人で逃げるくらいどうってことないし。
しばらく海外のおうちで暮らしてその後戻ってくればいいもん。
「…夏、大丈夫だよ。2人ともそのために今日まで頑張ってきたんだから」
うん。
…信じてる。
「ねぇ兄さん。もしも父さん達が当主になれなかったらとりあえず蹴っていい?」
「…夏は本当に母さんに似たよね。1回だけだよ?」
よし。
言質は取った。

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