普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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中学生編

閑話 柚と夏のお買い物

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「…ねぇやめない?」
「やめない!!」
「父さん、夏もついてるし大丈夫だよ」
「…そりゃ夏がついてれば大体の人は倒せるけど」
僕は父さんの決心が鈍らないうちに夏と手を繋いだ。
「いってきます。おやつ買ってくるだけだから心配しないで」
「…………20分で戻ってこなかったら警察に連絡するからね」
…20分は無理かな。
僕だし。
「30分!!向こうに着いたら電話するし」
「柚、電車に遅れちゃう。早く行こ?」
「うん!!」
僕達は駅に向かって歩き出した。
手を繋いで。
「柚何がいい?」
「フルーツタルト。美味しいケーキやさん行くんだもん。ケーキ食べたい」
「じゃあ夏はそれ以外全部にしよ~ね、わけっこしよ?」
「いいよ。でもそんなに食べれるかな…」
「1口ずつなら大丈夫だよ。食べれなかったら夏が食べるし」
…じゃあクッキーも食べたい。
「クッキー?分かった。おじいちゃんの黒いカードあるしいっぱい買えるよ~」
……え?
待って?
ブラックカードで買うの?
上限は?
「いいの…かな」
「いいでしょ。『美味しいものたくさん食べるんだぞ』って言ってたし」
「いっぱい食べようね」
「うん!!…あ、その前に切符買わなくちゃ」
そうだった。
僕達は券売機へと向かい、夏が機械の前に立った。
「ねぇ柚。これどうやるの?」
「大人2人ってところ押して行き先押してお金入れるの。僕見えないから夏やって」
「はぁい」
夏はいくつか操作をすると1枚の切符を僕にくれた。
「次は改札だよ」
「ねぇ柚、お出かけあんまりしないのになんで夏より駅のこと詳しいの?」
前世の知識、とは言えない。
「本で読んだから」
「へ~本ってそんなことも載ってるんだ」
載ってません。




「うわぁぁ!!キラキラしてる!!甘い匂い!!」
「柚、欲しいのカゴ入れて」
夏が片っ端からクッキーとかマカロンとか入れてるから僕はいいや。
夏の買い方は凄かった。
箱売りなら1番大きいの。
小売のものなら10個ポイッと入れる。
「…そんなにいっぱい食べれないよ」
「焼き菓子なら保存できるからいーの。
ほら次はケーキだよ。…さすがの夏でもホールは無理かなぁ…でもみんなへお土産も買いたいし…ホールでいっか」
「…あちょっと待って」
そういえば父さんに電話してないや。
僕は夏から離れて店の隅で父さんに電話をかけた。
『遅かったけど大丈夫!?』
「大丈夫。ちょっと選び始めてただけ。夏がいっぱい買う気だから迎え来てね」
『分かった。隣に喫茶店あるでしょ?そこで何か飲んで待ってて』
「はぁい」
スマホをしまい夏のところに戻ると店員さんの前のトレイにたくさんのケーキが並んでいた。
「柚、使用人のみんなへはどれがいいと思う?」
「え…今選んでたのは?」
「これは夏と柚の。父さん達はチョコレートロールケーキにした。こっちも一緒に食べよ」
「使用人の人達いっぱいいるし全部のホールケーキ2個ずつでいいんじゃないの?」
「いいね。じゃあクッキーの大箱10個追加しよう」
店員さん、ごめんなさい。
いっぱい買うお客さんで。
顔青いよ?
「しょ…少々お待ちください」
お店の奥に行ってしまった。
「柚、ちょっとだけ背中のリュック入れてもいい?」
「うん」
夏は会計を終えた焼き菓子(バラ売り)を僕のリュックに入れた。
マカロンの箱も入れた。
「重くない?大丈夫?」
「大丈夫。夏のが重いでしょ?」
「全然。このまま柚を抱っこできるよ」
しなくていい。
その手はしまってください。



「お疲れ様。ほんとにたくさん買ったね」
「使用人のみんなの分もあるから」
ふーふー。
…このカフェラテ全然冷めない。
まだ一口も飲めてないのに父さん来ちゃった。
「柚が飲み終わるまで待つから焦らなくていいよ。父さんもコーヒー飲もうかな」
「ケーキ…早く冷蔵庫入れないと」
「じゃあケーキだけ先におうちに送るよ」
父さんはケーキだけを車に乗せて帰らせた。
「…ん?2人でいくつか食べてたの?」
ぎくっ。
「2人とも生クリームついてるよ。おやつならいいけど晩御飯あるの忘れてない?」
「「大丈夫。まだ食べれるよ」」
2人で食べたのクリームサンドだもん。
ちっちゃいから僕でもお腹いっぱいにならなかった!!








夏の買い方。
レストランなら?
「このページ全部ください」
ピザ屋さんなら?
「ここのお店のピザ全種類ください。サイドメニューも全種類で」
お菓子の量り売りなら?
「とりあえず一種類ひと袋で全種類。柚も食べるからチョコはさらにもうひと袋で」

みたいな感じです。
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