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中学生編

閑話 ねこ柚くん

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「にゃーーーーーー!?」
僕は朝起きて直ぐに悲鳴をあげた。
「どうされました!?」
「ふぇぇん…樹くん…僕に尻尾がぁ…尻尾がぁ…」
「…猫の耳と尻尾ですね。どうしたんでしょうか…昨日は何か変わったことをされましたか?」
ううん。
してないもん。
「朝起きたらこうなってたんだもん…!!」
「…とりあえず旦那様のところへ行きましょう」
樹は僕にフード付きのポンチョを被せ抱き上げた。
「ふにゃ!!」
「すみません。触れてしまいましたか?」
「尻尾ぉ…触っちゃやぁ…」
僕は尻尾を自分の腕に巻き付けた。
ゾワッてしたもん。
嫌な感じだったもん。



「旦那様、奥様。こんな朝早くにすみません」
「ん…柚に関係することなのよね?」
「…柚、おもちゃ付けてきちゃったの?ダメだよ?取らないと」
「おもちゃじゃないもん!!生えたんだもん!!」
僕はフードもバサッと取った。
「…猫の耳?」
「あら。柚猫ね。可愛いわぁ!!」
「むぎゅ!?」
母さんお胸ないのにお胸に潰される…。
あ…神様もうちょっとでそっち行きます…。
「雫!!柚が死にそう!!」
「あっ!!ごめんなさい。柚…痛くなかった?」
「…大丈夫」
なんとか行かず逝かずに済んだ。
「でもこれどうしたんだろう。触ってもいい?」
「ん…ちょっとだけだよ?」
父さんが耳に触れると「ふぁ!!」と変な声が出た。
「…今すぐ治そう。病院行くよ」
「はい」
父さんにフードを直された。
猫ちゃんフード付きのポンチョが役に立ったね。



「…猫?何それ。原因何?今すぐ教えて。ちょっと家で実践してくる」
「原因不明。あと奥さんが可哀想だから実践はするな」
「ごめん…だって猫耳すら付けてくれないし。獣化する現象とかすっごいやりたい」
「…とにかく柚を治して。それが先」
「はいはい…じゃあ柚琉くん検査室行こうね」
「はぁい」
先生…猫好きなのかな。



「見た目の変化は耳と尻尾だけだね」
「他にはなんにもないよ。むずむずするだけ」
「…まぁそういう設定多いしね。尻尾はあれだからね…」
…あれってなんだろ。
「CTにも何も変化ないし…あとで口止めしておかないとな。…服は着替えられるの?」
「ズボンちょっと下げれば大丈夫!!」
「うん。今すぐ何とかしよう。柚琉くんが襲われる前に」
…?
別にパンツ見えてるわけじゃないよ…?
それに今、樹くんが大急ぎで新しいお洋服用意してくれてるみたいだし。
…僕のお洋服を作るのはお店の人か樹くんなの。
スーツとかはお店で頼むけど普段着…それも父さん達に頼むと変なの(動物さんのお耳とか)が付いてくるのは樹くんに頼んでるの。
パーカーも作ってくれたんだよ?
薄いピンクの猫さん。
猫さんのお耳付いてるけど可愛いし似合ってるからいいのっ!!
「…とりあえず今は隠すしかないし詳しいことは明日にならないと分からないから…といっても入院させるとそれはそれで噂に……柚琉くん。治るまでお部屋にこもってて。僕がそっちに行って診察するから」
「…はぁい」
僕の数少ないお出かけの時間が…。



「柚、どうしちゃったのかしら」
「さぁ…可愛いんだけど外には出せないな」
実験動物にされちゃうから?
…それはやだな←違う
「柚。フード脱いじゃダメよ?母さん達から離れずにぎゅってくっついてるのよ?」
「うん。分かった」
「…抱き上げて歩こうか。歩きでもしたら攫われそう」
「そうね」
…あれ?
僕歩かないことになってる。



「おかえりなさいませ。旦那様、奥様、柚琉様」
「ただいま。柚の服できた?」
「はい。着替えましょうか」
樹くんは僕を抱き上げて僕の部屋へと向かった。
「柚琉様。原因は分かりましたか?」
「ううん。様子見るって」
「左様ですか…」
…あ、それが新しいお洋服?
僕はズボンを下ろしてちょこんとベッドに座った。
お椅子だと尻尾が痛いの。
ソファーもクッションに挟まれちゃうからダメ。
ベッドが1番。
「…すみません。尻尾に触れないと考えるとどうしてもこうなってしまい…」
んむ?
ぷはっと頭を出して目の前に置かれた姿見を見ると……ワンピースだこれ。
確かに尻尾の穴も空いてるけど後ろのリボンでうまい具合に隠されてるけど…また女の子の服。
白と水色のストライプのワンピース。
「柚琉様…お気に召しませんでしたか?」
「ううん。ちょっとびっくりしただけ。作ってくれてありがとう」
…女の子ってことは気にしない!!
僕には似合うんだからいいんだっ!!
「ほつれや引きつっている場所はありませんね…トルソーで仕上げるのはどうしても不安だったんです」
…樹くん?
最近採寸したよね?
採寸ってお洋服のサイズ決めるためにやるんでしょ?
大きさわかってるのに困るの?
「柚琉様にぴったりなお洋服を作りたいんです。丈、袖が長いなど言語道断です」
「いつもぴったりだよ?」
「…あと0.5mm小さくても良かったですね」
…なんですかその数字は。







次の日…
「治ったー!!」
「柚琉様の猫の日は1日だけでしたか」
「ん?猫の日?…樹。もちろん写真撮ってあるよね?」
「はい」
直人兄さん?
「新しいアルバム作らないと!!兄さんにも教えてあげないとね」
「やめてー!!」
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