普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

幼児編

226

｢…ぜぇ……はぁ……つかないよぉ…｣
もう10分は歩いた気がする…｡
さっきからくらくらするし…｡
｢柚琉様!!｣
倒れそうになったところを樹くんに支えられた｡
｢いつの間に外に!!いやそれよりも…なんでこんな体で外へ出たんですか!!｣
…ふぇ？
｢熱がありますよ！？とにかくお部屋へ!!｣
ほにゃぁ…｡




樹視点

｢…はぁ｣
柚琉様を寝かせたあと､ご家族(+僕達)はリビングへ集まった｡
｢部屋から出るならドアから出たのは分かるんだけど…どうやって門の外へ？｣
｢柚の通りそうな道なんて分からないし…｣
｢すぐ迷子になって道無き道を行くからな…｣
……そうですね｡
毎晩トイレに行こうとして使用人棟に来てしまいますから｡
｢…仕方ない｡これからは柚の部屋の前に誰か付けようか｣
｢夜勤…ってこと？父さん嫌がってたじゃん｣
｢まぁね｡廊下にも暖房があるとはいえ冷えるからね…夜中まで仕事をさせる気はなかったんだよ｣
それでしたら僕が｡
｢樹と睦樹以外で｣
…先に言われました｡
｢新たに雇いましょうか？｣
｢知らない人だと柚が怖がるよ｣
｢じゃあ今いる人から回すしかないか…｣
｢…まぁ希望とってみようか｣
…やりたかったです｡