普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

幼児編

202

前回に引き続き柚琉視点

ふわふわから落ちたのに､まだ頭の中はふわふわしていた｡
目を開けて真っ白な世界じゃなくなったことがわかった｡
全体的に白く霞んでるけど…病院…かな｡
すると誰かに抱き上げられた｡
これは…直人兄さん｡
腕が固くて翔兄さんより背が低いから僕の手が首に届く｡
腕を回すことはできないけど…｡
｢…ー？｣
水の中で聞いたみたいだ｡
…完全復活までまだ時間がかかるのかな｡
僕､早くみんなとお話したいのに｡
｢…ぃ…ん｣
ちょっとだけ声が出た｡
でももう喉が痛くて出せそうにない｡
次出したら咳き込みそう｡
ぽんぽんと頭に優しく手が置かれた。
これは…父さん!!
いつも僕の頭を撫でてくれるの。
…誰かお水くれないかな。
お水飲めばちょっとは話せるようになると思うんだけど…｡
すると口に何かが触れた｡
ペットボトルかな？
手を伸ばすとほんの少しだけ傾けられ､僕の口に水分が入ってきた｡
む…これスープだぞ｡
僕が欲しいのはお水なのー!!
お腹はすいてるけど今はお水がいいのー!!





伝えられないことがこんなに苦労することだと改めて知りました｡by柚｡