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幼児編

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前回に引き続き樹視点

柚琉様の意識は…病院についても回復しない。
今は頭を打った時に何か異常がないか調べているところ。
「…あなたも治療を」
え?
僕?
…柚琉様のことで頭がいっぱいで自分の怪我は放置していたが、廊下で治療を受けた。
手首の捻挫、腕や足の切り傷、そして打撲。
その程度のものだった。
「樹…柚は」
やっと旦那様方が到着された。
「今、治療中です。申し訳ありません…私がついていながら」
「事故は樹のせいじゃない」
「そうよ。それに誰よりも早く2人が救助を開始してくれたんでしょう?…救急車が行ったあと、車は爆発したの。2人が動いていなかったら…柚は助からなかったかもしれないわ」
「樹、夏と柚を救ってくれてありがとう」
「いえ…」
…あの時、柚琉様を車外へ運ぶという判断は正しかったのか。
かなり危険な賭けだったのに。
柚琉様が移動式のベッドに乗せられ、出てきた。
「「柚!!」」
「まだ意識の回復はしていませんがどこも異常はありませんでした。念の為数日間はICUにいてもらいますが」
「「よろしくお願いします」」
これで…何とかなった…のか?
一般の診察室の方へ行くと睦樹がいた。
「…柚琉様は?」
「今ICUに移された」
「…助かった…んだよな?」
「多分…」
「…よかったな」
「うん…」
僕が俯いていると睦樹は僕の頭に手を乗せた。
「お前が落ち込んでてどうする。柚琉様が回復するまで世話をするのはお前だろう?目覚めた時、誰もいないなんてのは寂しいだろ」
「…うん。24時間付きっきりで世話する…」
「…泊まり込むのかよ」
当然。
柚琉様の世話はなんだって僕がやる。
さすがに点滴とか医療系統のことはできないけどそれ以外の世話ならいつもやってる。
「…夏羽様は?」
「夏羽様と蛍様も治療が終わって蛍様はご家族に引き渡した。両親とも心配はしていたが元気な蛍様を見て安心してたぞ」
「…夏羽様は…どこ?」
「…売店。お腹すいたって」
いつも通り…だね。
「あと柚にお花あげたいからって外まで行くつもりらしい。柚琉様のお気に入りのものを持っていくつもりのようだ」
…本とか?
あとはぬいぐるみ、毛布、スマホ、色鉛筆にスケッチブック。
部屋に飾った柚琉様と夏羽様で描いた家族の絵。
その辺かな。
「…これからのが大変そうだな」
「だね」
でも僕が挫けてたら柚琉様が安心できない。
目覚めるまで…いや、目覚めてからも僕は柚琉様の体、心の支えになる。
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