普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

幼児編

97

｢ほれーざいもってきたっ!!｣
｢はい｡じゃあそれ蛍くんにあててくれる？…そろそろ大量の怪我人が来るだろうし｣
｢？はぁい｣
僕は首を傾げたあと近くにあった布に保冷剤を包んで蛍くんの首や脇に挟んだ｡
｢…ゆずるくん｣
｢ん？｣
｢みず…とってくれる？｣
｢わかった!!｣
僕はコップを手に取って渡そうとしたが蛍くんは起きれないようだ｡
…どうしよう｡
恥ずかしいけど…前に兄さんがやってくれたやつ…｡
僕はコップの中身を口に入れ､蛍くんに口移しで与えた｡
｢…まだいる？｣
｢…びっくりした｡ゆずるくん､しってたんだ｡とくべつじゅぎょうのやつ｣
あ…週一回あるって言ってたね。
｢ううん｡まえにたおれたときににいさんがやってたの｣
｢…オメガはね…アルファをのうさつしないといけないからやるんだって｡それがオメガにとってあんぜんなみちだからって｣
｢のーさつ？｣
のーさつって何？
…これでのーさつするの？
じゃあ僕はいつも夏をのーさつしてるの？
夏と毎日キスしてるよ？
｢続いて高等部による､借り物競争です｣
あ､兄さんの競技っ!!
僕はテントの前の方へ移動した｡
…これが借り物競争なの？
なんで…障害物があるの？
借り物書いた紙がなんであんな高いところにあるの？
どうやってとるの？