普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

幼児編

72

｢…柚琉くん｡おはよう｣
｢…ん…おはようございま……す？｣
｢ん？どうしたの？｣
…なんだ､保健室か。
また知らない間に病院に運び込まれたのかと…｡
｢…めまい治った？｣
｢はい｡ありがとうございました｣
｢今ちょうどクラスで説明してるところだろうからいっておいで｣
｢はい!!｣
僕がベッドから降りるのを樹くんは補助してくれた｡
よし､くらくらもしないしふわふわもしない｡
｢柚琉様､こちらです｣
1年生だからかな､僕の教室は1階の1番保健室に近いところにあった｡
…近い…というより隣｡
ちゃんと考えてくれたのかな？
ガラッとドアを開けると一瞬で僕に視線が集まった｡
｢体調は大丈夫か？藤沢｣
｢え…あ…はい｣
…誰だろう｡
｢俺は担任の三枝さえぐさだ｣
｢…さえぐさせんせい？｣
｢ちょうどいい時に来たな｡お前の自己紹介をしてくれ｣
｢はい｣
樹くんは僕の席まで案内すると教室の裏の方で控えた｡
｢ふじさわゆずるです｡………………どくしょがしゅみです？｣
｢何故疑問形？｣
｢…わからないです｡あとお…｣
｢ストップ!!…柚琉様､それは内緒に｣
｢…え…そうなの？｣
…オメガだって言っちゃいけないんだね｡
いっぱい学ぶことありそうだ｡
｢…従者持ちか｡ガード固そうだな｣
｢がーど？｣
｢…なんびとたりとも柚琉様には触れさせません｡ちょっかいを出すような方がいるなら…｣
多分口パクで話したのだろう｡
樹くんは僕の後ろにいたため僕には分からなかった｡
｢………やべぇやつを従者にしてんな｡忍びの一族かよ｣
｢…しのび!!やっぱりいつきくんにんじゃなの！？｣
｢私は違いますから｡…祖先の話ですってば｡目をキラキラさせないでください｣
(*・ω・*)wkwk｡