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幼児編
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「柚はすぐお熱出ちゃうわね」
「はぅ…」
なんで?
ピアノ弾いてただけだよ?
確かに兄さん達に上着着ろって言われても着なかったけど。
それだけで風邪ひくとは思わないし…。
「でもいつもより高くないし大人しくしてればすぐ下がるわね」
「…あそんじゃダメ?」
「…いいけど…ベッドからおりちゃダメよ?夏、そこにいるのよね?」
「うん!!なつもゆずとあそびたい!!」
「大きな声はダメ。柚が辛そうだったり、眠くなってきたら寝かせてあげて」
「わかった!!」
夏はベッドによじ登ると僕の横に枕をクッション代わりにぽすんと横たわった。
「なにする?」
「スマホのゲーム。なつにかつためにたくさんれんしゅうしたの」
「わかった。どれにする?」
前に見た時よりアプリが増えていた。
「…これ」
僕はクイズゲームを指さした。
僕のが前世の分、雑学の知識は多いもん。
しばらくゲームをして遊んでいると僕の体に異変が起きた。
…この感覚。
「ゆず?どうしたの?」
「…きもちわるい…はきそう」
胸のあたりに何かがつっかえた感じがする。
すぐ喉まで上がってきそう…。
「え!?か、かあさぁぁん!!ゆずが!!ゆずがたいへんなの!!」
「柚琉様!?」
バンっと扉が開いてまず先に現れたのは樹くんだった。
手には洗面器を持って。
…いつにも増して用意周到だ。
「さ。我慢なさらず」
僕はいやいやと首を横に振った。
見られてる前で吐くとか無理。
そんなことするならこれ飲み込んでやる。
意地で飲み込んでやる。
僕が口をきゅっと結び必死に耐えていると樹くんは僕の背中をさすった。
「…見られるのはお嫌ですか?」
うん。
「…ひとりになりたいですか?」
うん。
ちょっとだけ。
ちょっとの間だけひとりにさせて。
「わかりました。…夏羽様。少し、お部屋を出ましょうか。睦樹」
「…樹、どうした?」
「夏羽様を」
「わかった。…夏羽様。向こうで遊びましょうか」
「えぇ…だってゆずが…」
「柚琉様は私にお任せ下さい」
樹くんは夏の前に跪いた。
「…ほんと?」
「えぇ」
「…ゆずのこと…たのんだよ?」
「御意」
樹くんは夏を連れて部屋の外へ出た。
…ちなみにこの間、僕は一言も言葉を発していません。
全部樹くんがなんとなく察してくれました。
…おえっ。
「はぅ…」
なんで?
ピアノ弾いてただけだよ?
確かに兄さん達に上着着ろって言われても着なかったけど。
それだけで風邪ひくとは思わないし…。
「でもいつもより高くないし大人しくしてればすぐ下がるわね」
「…あそんじゃダメ?」
「…いいけど…ベッドからおりちゃダメよ?夏、そこにいるのよね?」
「うん!!なつもゆずとあそびたい!!」
「大きな声はダメ。柚が辛そうだったり、眠くなってきたら寝かせてあげて」
「わかった!!」
夏はベッドによじ登ると僕の横に枕をクッション代わりにぽすんと横たわった。
「なにする?」
「スマホのゲーム。なつにかつためにたくさんれんしゅうしたの」
「わかった。どれにする?」
前に見た時よりアプリが増えていた。
「…これ」
僕はクイズゲームを指さした。
僕のが前世の分、雑学の知識は多いもん。
しばらくゲームをして遊んでいると僕の体に異変が起きた。
…この感覚。
「ゆず?どうしたの?」
「…きもちわるい…はきそう」
胸のあたりに何かがつっかえた感じがする。
すぐ喉まで上がってきそう…。
「え!?か、かあさぁぁん!!ゆずが!!ゆずがたいへんなの!!」
「柚琉様!?」
バンっと扉が開いてまず先に現れたのは樹くんだった。
手には洗面器を持って。
…いつにも増して用意周到だ。
「さ。我慢なさらず」
僕はいやいやと首を横に振った。
見られてる前で吐くとか無理。
そんなことするならこれ飲み込んでやる。
意地で飲み込んでやる。
僕が口をきゅっと結び必死に耐えていると樹くんは僕の背中をさすった。
「…見られるのはお嫌ですか?」
うん。
「…ひとりになりたいですか?」
うん。
ちょっとだけ。
ちょっとの間だけひとりにさせて。
「わかりました。…夏羽様。少し、お部屋を出ましょうか。睦樹」
「…樹、どうした?」
「夏羽様を」
「わかった。…夏羽様。向こうで遊びましょうか」
「えぇ…だってゆずが…」
「柚琉様は私にお任せ下さい」
樹くんは夏の前に跪いた。
「…ほんと?」
「えぇ」
「…ゆずのこと…たのんだよ?」
「御意」
樹くんは夏を連れて部屋の外へ出た。
…ちなみにこの間、僕は一言も言葉を発していません。
全部樹くんがなんとなく察してくれました。
…おえっ。
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