普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

幼児編

46

6歳になりました｡
話が飛んだことは気にしないっ!!
｢ゆず｡あそぼ？｣
｢ダメ｡ぼく､しょうがっこうのじゅんびするもん｣
｢…じゅんび？｣
ひらがなとか､自分の字は漢字で書けるようになってたいし､どんな学校とか知りたいもん｡
…あ｡
兄さんに聞けばいいのかな｡
でも…兄さんはもう小学校卒業しちゃったからなぁ｡
あ､翔兄さんは17歳の高校2年生で､直兄さんは16歳の高校1年生なんだよ～｡
2人ともね､生徒会に入ってるの｡
私立椚田小学校はエスカレーター式の学校でね｡
進級試験さえ合格できれば中学､高校にも進めるの｡
なかでも生徒会は成績上位者しか入れないところなんだって!!
｢2人は勉強中かな？｣
｢なおにいさん!!おかえりっ!!｣
｢おかえり｣
｢ただいま｡…ん？漢字の練習？｣
｢ぼくね､じぶんのじをかけるようになりたいの｣
｢なつも!!｣
｢そっか｡じゃあここにお手本書いておくからそれで練習しよっか｣
直兄さんはスラスラと2枚の紙に『藤沢夏羽』と『藤沢柚琉』と書いた｡
｢柚の方が難しいから頑張ってね｣
｢うん!!｣
｢なつ､ゆずのじもおぼえる!!｣


｢｢ふにゅぅ…｣｣
覚えた…覚えたんだけど…｡
｢…にいさんみたいにうまくかけない…｣
｢なつもぉ…｣
なんで？
習字教室に通えば直る？
ちゃんと上手に書けるようになる？
僕は前世の知識もあるはずなのに何故？
｢あらあら｡お勉強､行き詰まっちゃったの？｣
｢かあさん…ゆずるってむずかしいね｣
｢なつはも…｣
｢練習すれば書けるようになるわ｣
…本当に？
学校入るまでまだ時間あるし書けるようになる？
上手にできる？