普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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幼児編

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「…柚。これならいい?」
父さんが見せたのは手直しされた女の子用のチョーカーのようなものだった。
「…おんなのこみたい」
「これが限界なんだって。後ろは絶対守らなきゃならないし。柚。つけてくれるね?」
僕は椅子に座らされ、父さんは後ろに立った。
カチという音と共に僕の首に隙間すら許さないサイズのリングが嵌った。
「…よし。サイズ、機能ともに問題ないね」
「…ちょっとくるしいよ」
「すぐ慣れるよ。体が成長して喉仏が出てきても大丈夫なようにしてあるから」
僕はそっとリングに触れた。
シャラ…と音をたてたのはネックレス風についていたチェーンの部分だろう。
「…リング…か」
オメガが自らを守る術。
…でもネットには運命の番のところでしか理性を失うと書かれてなかった。
アルファがオメガを好き、オメガがそのアルファを好かなかったとしても、アルファは力でオメガを番にできる…ということか。
「…柚、似合ってる」
「あんまりうれしくないほめことばどーも」
「ゆずおわった~?」
夏が部屋に飛び込んできて、僕の手をとった。
「ゆずかわいい」
「…ぼくおとこなのに。かわいいじゃなくてかっこいいがいい」
「じゃあかっこいい。かあさんがおやつよういしてくれてるよ。きょうはチーズケーキ!!」
「…ベリーソースは?」
「ブルーベリーとストロベリーだって」
好きなやつだ。
レアチーズケーキだったらブルーベリーでチーズタルトだったらストロベリー、スフレっぽいやつだったら何もなしで食べよ~。
…あ。
僕の好きな物スイーツ?
…女の子みたい。
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