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幼児編

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ゆらゆら。
揺れてる…?
僕はうっすらと目を開けた。
「…に…さん?」
「起こしちゃった?…いつものお昼寝の時間より遅かったね。でも眠たいのは我慢できなかったのか寝落ちしてたんだよ」
「ね…おち…?」
「途中で寝ちゃったこと」
直兄さんは僕をベッドへ下ろした。
「おやすみ」
「…おや…すみ…なさい」
直兄さんはニコッと笑い、僕と夏の額にキスをしてから部屋を出ていった。
なんか…うちの家族は…キス…好きだな。
僕はうとうととまた目を閉じた。

くちゅ…と言う音が聞こえた。
水の音…?
「…は…ゆずぅ…」
目を開けると夏が僕の上へ乗っていた。
「…にいさんたちもひどいよ。なつだってゆずのおせわしたいのに」
「…なつ…?」
「あ、おきた!!…なつのよだれとゆずのよだれでべとべとだね。ふいてあげる」
夏はぺろぺろと僕の顔を舐めだした。
…よだれ?
しかも夏のと僕のって…?
「ふふ。ねおきのゆずはぼーっとしててかわいい。…なつだけのとっけんだからなぁ…にいさんたちにはみられたくない」
「…なつ…まだべとべとする…」
「あ、なめたらいみないね。う~…」
夏は隣においてあったタオルで僕の顔を拭いた。
「柚、夏。起きてるかしら?」
「かあさん。おきてるよ」
夏は僕の上からおりて母さんを部屋へ招き入れた。
「あら。柚はまだ寝起き?」
「そう。さっきおきたの」
「…かあさん」
「なぁに?」
「…だっこ」
「あらあら。お兄ちゃんの前で甘えん坊でいいの?」
いいの。
末っ子だし。
僕は母さんに抱き上げてもらい、肩に頭を乗せた。
なんか…ぐったりする…。
「…柚。あなた熱いわね。お熱はかった?」
「…ううん」
「ちょっとはかりましょうか」
母さんは夏に体温計を取ってもらい、僕の脇に挟ませた。
ぐったりする…でも頭も痛くないし。
メリーさんのひつじを奏でだすと母さんは素早く体温計を取った。
「38.6度完全にお熱ね」
「あう…?」
「そうなの!?なつ、こおりもってくる!!」
夏は慌てて部屋を出ていった。
…熱あったんだ。
ぐったりとしかしないからわかんなかった。
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