普通の学生だった〜番外編｡「吸血鬼」

挑戦 1

柚琉視点

｢とんでけー!!｣
折り紙で作った飛行機を階段の上からしゅーって飛ばして遊んでいた｡
｢…ふゆ？｣
いつもならすぐ落ちちゃう飛行機がしゅーって飛んでる｡
｢すごいすごい!!｣
どこまで行くの？
僕ついてく!!














飛行機を追いかけて途中どこかへぶつからないように目の前のドアを開けたり窓を開けたり…｡















｢ちゅかまえた!!｣
落ちかけたところでキャッチ｡
だけどそこは…｡
｢おそ…と｣
雨の振り続けていたお庭｡
｢にぃ…｣
幸い､そこは東屋であり濡れる心配はないが､周りを苦手なもので囲まれた鉄格子のない檻のようなもの｡
｢…さむい…｣
ぎゅってしたら飛行機濡れちゃう…｡
いっぱい飛んだ子だから大事にするの｡
｢…おなかすいた｣
おやつの時間…｡
今日のおやつはいつもと違うって言ってた｡
早く食べたいな…雨さんめんめーってしたらおうち帰れるようになるかな？
｢めいどさん…おうちかえりたい…｣
ことだまって使えないかな？
どうやるのかな？
僕がしっかりお勉強しないから出来ないのかな…ふぇ｡
｢ふぇぇん…｣
もう1歳だから泣かないもん…泣いてるんじゃないもん…雨に濡れちゃっただけだもん…｡
｢ままぁ…ぱぱぁ…｣
僕は東屋の椅子の上で小さく丸まり､嗚咽を漏らした｡