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ありがとうのお返し 2
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直人視点
「おはよ、柚」
「おはよー!!にぃにありがとっ!!」
「何のこと?」
「おっきいぬい!!」
あぁ、もう届いたんだ。
柚のぬいぐるみのブランドに大きめサイズの亀のぬいぐるみをオーダーしておいたんだけど。
兄さんと夏は猫を、父さんは熊をオーダーしたらしいけど。
…4つも数時間で仕上げたんだ。
後でもうちょっと上乗せして振り込もうかな。
「…あれ?しょーにぃにとなつにぃにとぱぱは…?」
「お仕事と学校」
「…ふぇ」
僕の膝にしがみついて泣きそうになってしまった。
「ちゃんとお昼寝の後に帰ってくるから。前みたいにいないからって探しに行っちゃダメだよ?」
「はぁい」
にこにこ笑顔で向かいの席についた。
「ちゃんとよく噛んで食べてね」
「んむ!!」
「…口になにか入れながらお話ししないの」
いや話してはないか。
頷いた時に声が漏れちゃっただけだ。
…柚は行動に謎の鳴き声がついてくるから。
今日の柚の朝食はくま型のふわふわパンケーキ、スクランブルエッグ(ケチャップの猫付き)、サラダ。
…ちなみにサラダには一切手をつけられていない。
「…柚?野菜も食べるんだよ?」
「やっ」
「大きくなれないよ?」
「おっきくなったらかーくんでねんねできなくなっちゃうしにぃにもだっこしてくれなくなっちゃう…」
「…いや抱っこはするよ?」
夏は嫌がるようになったけど柚はむしろ喜ぶからね。
誰かが一緒にいて、くっついている方が好きな子だから。
「それに…」
「ん?ごめん、聞こえなかった。もう1回言ってくれる?」
「…ぎゅってされるの…すきなの」
「ぎゅ?いつもしてるよね?」
「ぼくのおててはとどかないけどみんなぎゅーってしてくれるのうれしい…」
「…」
柚語はちょっと脳内で通訳が必要だな。
…ぼくのおててはとどかないけど?
…あぁ。
背中に回しても自分の手が繋がらないってことか。
みんなぎゅーしてくれる?
いやいつもしてるよね?
……包み込まれる状態が好きってことか。
「おやつないの…?」
「おやつじゃなくてデザートね。柚が全部食べたら出すように言ってあるよ」
「ふぇ」
「全部、だよ?」
毎食野菜だけ残されるから苦肉の策だよ。
野菜を食べないと好きなものが出てこない仕組みにしたんだ。
「おやさいやぁ…」
「じゃあデザートは無しかな」
「ふにゅぅ…」
今日は柚の好きな黄桃と白桃のシロップ漬けを用意しておいたんだけど。
…人族の方で缶詰で売られてるやつなんだけど…。
…1缶200円か300円の安いやつ…。
そんなの自家製で作るのに…これがいいって聞かなかったんだよね。
「ふにゅ…」
「お野菜そんなに嫌?」
「やぁなの…」
「…1個だけでも食べられない?」
「やなの…」
パンケーキもスクランブルエッグも食べ終わったのにサラダには手をつけようともしない。
「これだけ、これだけでいいから」
トマトを柚のフォークに刺して口元へ運んだ。
「柚が酸っぱいって言ったから甘いの用意したよ。甘くて美味しいの」
「…ほんとに?」
「本当」
「うん」
覚悟を決めたのかパカッと口を開いた。
「…あまい」
「ね?」
「でも…」
突然柚は眉を8の字に下げた。
「…ひっかかったぁ」
トマトの皮が柚の可愛い歯の間に挟まっていた。
「…あらあら。皮まで剥いてあげなきゃダメだったね。ごめんね、にぃに達の配慮が足りなかったよ」
「はいりょ…?」
皮を取り除くと柚は運ばれてきたデザートに目を輝かせた。
「もも!!いっぱい!!しろときーろ!!」
「分かったから。興奮して椅子の上に立たないの」
さっきよりもにっこにこになった。
…それシロップがめちゃくちゃ甘いんだよね。
だけど柚はそれが好き。
甘々が好きなの…将来太らないかな。
いや今全く肉がつかないんだからいいか。
父さんと母さんの部屋に行かなきゃ細い状態なんだし。
「おいちー!!」
「良かった」
桃はいくつか買ってあるから。
ちゃんと生の方も買ってきたけどね。
そっちはコンポートにしてからパイとかタルトにするみたい。
それでまた喜ぶんだろうな。
「おはよ、柚」
「おはよー!!にぃにありがとっ!!」
「何のこと?」
「おっきいぬい!!」
あぁ、もう届いたんだ。
柚のぬいぐるみのブランドに大きめサイズの亀のぬいぐるみをオーダーしておいたんだけど。
兄さんと夏は猫を、父さんは熊をオーダーしたらしいけど。
…4つも数時間で仕上げたんだ。
後でもうちょっと上乗せして振り込もうかな。
「…あれ?しょーにぃにとなつにぃにとぱぱは…?」
「お仕事と学校」
「…ふぇ」
僕の膝にしがみついて泣きそうになってしまった。
「ちゃんとお昼寝の後に帰ってくるから。前みたいにいないからって探しに行っちゃダメだよ?」
「はぁい」
にこにこ笑顔で向かいの席についた。
「ちゃんとよく噛んで食べてね」
「んむ!!」
「…口になにか入れながらお話ししないの」
いや話してはないか。
頷いた時に声が漏れちゃっただけだ。
…柚は行動に謎の鳴き声がついてくるから。
今日の柚の朝食はくま型のふわふわパンケーキ、スクランブルエッグ(ケチャップの猫付き)、サラダ。
…ちなみにサラダには一切手をつけられていない。
「…柚?野菜も食べるんだよ?」
「やっ」
「大きくなれないよ?」
「おっきくなったらかーくんでねんねできなくなっちゃうしにぃにもだっこしてくれなくなっちゃう…」
「…いや抱っこはするよ?」
夏は嫌がるようになったけど柚はむしろ喜ぶからね。
誰かが一緒にいて、くっついている方が好きな子だから。
「それに…」
「ん?ごめん、聞こえなかった。もう1回言ってくれる?」
「…ぎゅってされるの…すきなの」
「ぎゅ?いつもしてるよね?」
「ぼくのおててはとどかないけどみんなぎゅーってしてくれるのうれしい…」
「…」
柚語はちょっと脳内で通訳が必要だな。
…ぼくのおててはとどかないけど?
…あぁ。
背中に回しても自分の手が繋がらないってことか。
みんなぎゅーしてくれる?
いやいつもしてるよね?
……包み込まれる状態が好きってことか。
「おやつないの…?」
「おやつじゃなくてデザートね。柚が全部食べたら出すように言ってあるよ」
「ふぇ」
「全部、だよ?」
毎食野菜だけ残されるから苦肉の策だよ。
野菜を食べないと好きなものが出てこない仕組みにしたんだ。
「おやさいやぁ…」
「じゃあデザートは無しかな」
「ふにゅぅ…」
今日は柚の好きな黄桃と白桃のシロップ漬けを用意しておいたんだけど。
…人族の方で缶詰で売られてるやつなんだけど…。
…1缶200円か300円の安いやつ…。
そんなの自家製で作るのに…これがいいって聞かなかったんだよね。
「ふにゅ…」
「お野菜そんなに嫌?」
「やぁなの…」
「…1個だけでも食べられない?」
「やなの…」
パンケーキもスクランブルエッグも食べ終わったのにサラダには手をつけようともしない。
「これだけ、これだけでいいから」
トマトを柚のフォークに刺して口元へ運んだ。
「柚が酸っぱいって言ったから甘いの用意したよ。甘くて美味しいの」
「…ほんとに?」
「本当」
「うん」
覚悟を決めたのかパカッと口を開いた。
「…あまい」
「ね?」
「でも…」
突然柚は眉を8の字に下げた。
「…ひっかかったぁ」
トマトの皮が柚の可愛い歯の間に挟まっていた。
「…あらあら。皮まで剥いてあげなきゃダメだったね。ごめんね、にぃに達の配慮が足りなかったよ」
「はいりょ…?」
皮を取り除くと柚は運ばれてきたデザートに目を輝かせた。
「もも!!いっぱい!!しろときーろ!!」
「分かったから。興奮して椅子の上に立たないの」
さっきよりもにっこにこになった。
…それシロップがめちゃくちゃ甘いんだよね。
だけど柚はそれが好き。
甘々が好きなの…将来太らないかな。
いや今全く肉がつかないんだからいいか。
父さんと母さんの部屋に行かなきゃ細い状態なんだし。
「おいちー!!」
「良かった」
桃はいくつか買ってあるから。
ちゃんと生の方も買ってきたけどね。
そっちはコンポートにしてからパイとかタルトにするみたい。
それでまた喜ぶんだろうな。
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