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まま 2

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雫視点

「ままー!!おりがみ!!おりがみやろ!!」
あの日から柚は折り紙が大好きになった。
折れるものは相変わらず簡単なものだけ。
それでも少しずつレパートリーを増やしていったの。
「あのねあのね、おはなやるの」
「お花?どのお花がいいかしらね」
絵本棚から花の折り紙の本を出し、柚の前に広げた。
これは人族の作ったものだから写真があるのよね。
魔族は魔真を使うから魔力を込めると動き出すのだけれど…人族のはそうもいかないみたい。
「かわいいのどれ?」
「柚が選びなさい」
「にゅー…ままのすきなのがいー」
「ママの?」
私の好きな花…なんでしょうね。
柚が折れる範囲でまだ折ったことのない花…。
「紫陽花なんてどうかしら」
「あじさい?」
「えぇ。魔族の領地にはないけれど人族の方には梅雨の時期に咲いているのよ」
「つゆー?」
「雨がいっぱい降る時期よ。咲いたら見に行きましょうね」
「うん!!」
青と紫、赤紫の折り紙を用意して柚の隣に置いた。
「ぴんくは?」
「ピンクの紫陽花にするの?いいわね」
可愛いものが大好きな柚は可愛い色で折りたがる。
だからね、柚の好きな色は買い置きがいくつもあるのよ。
無くなって悲しむことのないように。
「ままもやるの!!」
「ママはできないわよ」
だって柚がお膝にいるんだもの。
「ぷぅ」
膨れるなら降りればいいのに…。
柚は柊二がいないととびっきりの甘えん坊になるのよね。
多分柊二に取られるのが嫌なんじゃないかしら。
「まま、わかんない」
「どこかしら」
「これ」
柚の行き詰まってしまったところは私やメイドが手助けをする。
小さなおててじゃ作りにくいところもあるもの。
「はい、これでいいかしら?」
「ありがと!!」
一生懸命折り紙を折り続けている柚。
いくつかは作品にして居住スペースに飾っているのよ。
専属のメイド達も貰ったようで部屋に飾って同僚に羨ましがられていると聞いたわ。
「できた!!」
「上手ね」
「ままどーぞ」
「くれるの?」
「うん。ままに、ぷれれんとしたい…から。すきなのどれ?ってきいたの」
「まぁありがとう」
優しい優しい柚。
実の息子ではないけれど…実の息子以上に愛しているわよ。
だって…翔も直人ももう大きくなってしまって甘えてなんてこないんだもの。
夏も恥ずかしがってほとんど抱きついてこなくなってしまったし。
今甘やかせるのは柚だけなんだもの。
仕方ないと思わない?
「ままぎゅー!!」
「ふふ」
柚は向かい合ってぎゅーっとするといつも胸にスリスリしてくるの。
そんなに気持ちいいのかしら?
「ままのふにふに…」
「柚も付けちゃったでしょう?」
「ままとちがうもん」
…男の子に私サイズのものがあったらそれはそれでおかしいと思うわよ。
今の柚のサイズなら…有り得る…のかしら?
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