上 下
6 / 345

ぬいぐるみ 2

しおりを挟む
ママ視点

「ふふ、よく眠ってるわね」
このベッドには軽い睡眠魔法が掛けられているわね。
柚には魔法耐性がないのかしら。
「…このぬいぐるみ…」
「僕達があげたのは1つか2つぐらいだからね。ここまで増えたのは柚の言霊の暴走が原因」
「癇癪起こして武器として大量のぬいぐるみ出して傀儡人形にしてたんだ」
「あの時はやばかったね~ぬいぐるみ壊すと柚が泣いちゃうし」
「そうなの。だからこのぬいぐるみから柚の魔力を感じるのね」
柚の手をぬいぐるみの上に乗せ、そっとベッドから降りた。
「あら?」
私が降りた途端、かいがらの蓋が閉じた。
「昼間勝手に歩き回らないようにね。目が覚めても睡眠魔法でまた眠るようにしてあるし日が落ちてから開くように調整してあるんだよ」
「柚向けのベッドね。直人、家の事任せてごめんなさいね」
「いいよ。どうせ僕がやってるのは経営面だけだし応対は母さんたちの方に送るようにしてたから」
「それぐらいはやるわよ」
直人は問題なさそうね。
翔…はいつも通りだったわ。
夏も元気に学校に行ってのことも可愛がっているようだし。
「今問題なのは柚だけね…」
「言霊でしょ?今は柚の欲望を満たすためだけに使われてるけど…無意識に発動してるからいつ危険なことになるか」
柚の欲望?
あぁ…ぬいぐるみのことね。
絵本や図鑑の音読でもたまに発動してしまうようだし…。
「…これは翔が躾ける方がいいんじゃないかしら」
「やったよ…でも無理だったから封じてたんだ。もうこうなったら魔王にでも協力を仰ごうかって」
「その方がいいわね。母さんたちからも嘆願書でも送っておくわ」
「ありがと」
今は多感な時期だもの。
色んなことを経験して色んなことを覚えてほしいわ。
「あぁそうそう。柚のお気に入りのお店とかあるのかしら?」
「何か買うの?」
「そんなにぬいぐるみが好きならぬいぐるみ用のものでも揃えようかと思っていたの。前に人族の方に旅行した時に着せ替え人形?ってものがあったのよ」
「ぬいぐるみに服を?いいね。仕立て屋でも呼んで作らせようか」
「柚とお揃いにするのも可愛いと思うわ」
「よし」
「「やろうか/やりましょう」」












その後、仕立て屋を呼び柚の服を見せて同じデザインでぬいぐるみ用の服を依頼した。
「ぬ…ぬいぐるみに…ですか」
「えぇ。まだ変化したばかりの子でも着せられるように簡単に脱ぎ着できるように出来るかしら」
「母さん…もう母さんが言ったら出来るかしらじゃなくてやれって事だけど…」
「そう言ってるのよ」
ふふ。
柚のためならママ頑張っちゃうわ。
「ど…努力致します…」










数日後、数着だけ先に届いた。
「柚いらっしゃい」
「なぁにー?」
使用人に指示を出して届いた服と同じものを柚に着させておいた。
「さっき届いたの。柚のものよ」
「にゅー?」
ラッピングを丁寧に剥がすとぱぁと顔を輝かせた。
「おようふく!!…あれ?ちいさい…」
「誰のものか分かるかしら?」
「んー」
自分でぬいぐるみを抱いているのだけど…気づかないかしら。
「…にゃーちゃんの?」
「正解よ」
早速1着(自分と同じデザインのものを選んだ)をぬいぐるみに着せていた。
「かわいい!!ありがとーまま!!」
「どういたしまして。直人も協力してくれたのよ。後でありがとう言いましょうね」
「あい!!」

その日からぬいぐるみと同じ服を着てご機嫌な柚の姿が度々目撃された。
なので、柚の服はぬいぐるみ用もセットで仕立てられるようになったの。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!? ※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。 いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。 しかしまだ問題が残っていた。 その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。 果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか? また、恋の行方は如何に。

処理中です...