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誕生 1

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「う!!」
「柚…どうしたの?お腹すいちゃった?」
「うぁ!!」
「だーめ。勝手ににぃに達のご本読んで魔法発動させちゃったのは誰だっけ?もう危ないからちゃんと判断できるようになるまでそれ付けてて」
「うー…」
お口につけられた魔法陣。
…僕の言葉を封じるやつ。
なのになんで伝わるのー!!
「ちっちゃなお口でニブルヘイムみたいなかなり巨大な魔法組めちゃうんだから…才能があるのは嬉しいけど…一応柚は元淫魔だったんだよ?魅了とか才能があるならそっちじゃない?」
知らないもん。
目が覚めたら周りにお姉さんがいっぱいいてお腹いっぱい食べたかったらあのおうちに行きなさいって言われたの。
それでね…あれ?
何したんだっけ?
「開口一番にご飯くださいって言ってきたんだよ」
そうだった!!
…それで…なんだっけ。
あんまり覚えてないの。
覚えてるのはね、ご飯くださいって言ったらお家の中に入れてくれてしょーにぃにがいて、僕をかぷってした!!
「…ちゃんと傷は残らないように噛んでくれたんだよ?」
「う」
「抗議してもだーめ。悪い子はご飯の質下げちゃうからね」
「あぅうううう!!ぶー!!」
「くす。そうしてると人族の赤ちゃんみたい。ちょっとまっててね、準備してくるから」
なおにぃにはテーブルの上でなにかし始めた。
僕には見えないんですー。
だってこのテーブルおっきいんだもん。
僕の目よりも上にテーブルの天板?があるの。
このお家にはにぃに達とあと…えと…しよーにんって人がいっぱいいるの。
しょーにぃにとなおにぃにとなつにぃに。
みーんな優しくて大好き!!
…だけどね、僕が悪いことするとご飯美味しくないのに変えられちゃうの。
美味しいの食べたいのに。
「よし…こんなものかな」
「あぅ!!」
ご飯だー!!
赤いジュースが僕のご飯。
お腹いっぱい飲ませてくれるんだー。
「頑張って飲むんだよ。1人でご飯食べるための練習でもあるんだから」
ちゅーって吸わないと出てこないの。
…なんかね、僕ね、大きくなったら1人でご飯食べないといけないんだって。
人間さんとかかぷってしてちゅーって吸うんだって。
…僕…にぃに達より牙が小さくてかぷって出来ないの。
前にね、プレゼントでくれたぴよちゃんでかぷってしてみたの。
そしたらね…刺さらなかったの…。
僕ぴよちゃんもかぷって出来ないのに1人でご飯食べられるのかな?
「…けぷっ」
「全部飲めたね。偉い偉い」
「にゅー」
「ご飯いっぱい食べたらねんねの時間だよ」
「…ぅ」
ねんねは嫌…。
暗いの怖い…。
明るいのがいいの。
「…今日も明かり付けたままにする?」
「ん」
「暗いところ…嫌なのか。元淫魔だし…吸血鬼だし…好きだと思うんだけどな」
いやいや!!
暗いの怖いの!!
絵本のおばけさんも暗いところから来るの!!
だから僕のお部屋はいっぱい明るくしておばけさん来ないようにしてるの!!











パチッ。
「…まーたぬいぐるみ散らかして…」
「ぅやぁ!!」
「こんなにあると踏んじゃうよ?いいの?」
「やぁぁぁ!!」
「はいはい…踏まずにベッドまで行くから」
僕のお部屋の真ん中に置かれた大きなベッド。
かいがらっていうのの形なんだって。
うみってところにいっぱい落ちてるんだよってにぃにが教えてくれたの!!
でも僕うみ知らないの。
「おやすみ、柚。いい夢見てね」
なおにぃには僕を寝かせると布団を掛けてちゅってして離れていってしまった。
夜は一緒にねんねしてくれるのにお昼寝は僕一人なの。
一緒にねんねしたいよ。
「うぅ…やぅ…」
変な言葉しか出てこない。
また呪文唱えちゃうと危ないからって話せなくされちゃったの。
綺麗なご本があったから声に出して読んでただけなのに。
いつもはご本読んだらもうそんなのまで読めるのって褒めてくれるのに。
怒られたの…。
「…ぷ」
近くにあったぬいぐるみをぎゅーってした。
怒られるの嫌い。
にぃに達怖いお顔するの。
僕はいつものにぃにがいい。
いつものにぃにはね、とってもかっこいいんだ!!
しょーにぃには…まおう?さんのみぎうでだっていってた!!
なおにぃに…はね、えっとね、いつもおうちにいるの。
なおにぃにのお部屋はね、ご本と紙がいっぱい。
難しいからなおにぃにのお部屋のご本はまだ読めない。
なつにぃには学校に行ってるの。
僕も大きくなったら学校に行くんだって。
大きくっていつ?って聞いたらね、ちゅーってする練習が上手にできるようになったらって言われたの。
あと牙が大きくなるまではお外に出ちゃダメって。
僕の頭と腰に付いてる羽としっぽは珍しいから欲しいって人がいっぱいいるんだって。
でも引っ張ると痛いから…やなの。
「…ふぁぁ」
このベッド…すぐ眠くなっちゃう。
にぃにに隠れて遊ぼうと思ったのに…。
おやすみなさぁい。
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