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姫様、お仕置きをされる
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それから、再び馬に乗る。
「それにしても良いお天気ね」
雲一つない蒼い空を眺めながら、サーシャはゆっくりと馬を進める。
慌てていた行きと違い、帰り道は少しのんびりとしたい気分だった。
可愛らしい小鳥のさえずりが聞こえ、長閑な田舎の風景がとても心地よい。空はどこまでも広く青かった。
充実した開放感に包まれ、サーシャは大きく深呼吸をして、うぅん……と馬の上で背伸びをする。
こうしてたまには一人で出掛けるのもいいわね、なんて呑気な事を考えてたその時、不意に頭上でバサッバサッ!と大きな音がした。
何事かと思わず空を見上げると、体長3mほどの怪鳥が獲物を狙うようにして、サーシャの真上をグルグルと旋回していた。
デリカケラプス!
怪鳥の正体に気がつき、サーシャは青ざめる。
その鳥の爪はオーク程度なら楽々と持ち上げる事ができ、尖った嘴は鋼鉄の板などまるで紙のように簡単に突き破るほど頑丈だった。
急いで馬に鞭を入れると、宿営テントに向かって走り出すが、あっという間に追いつかれてしまう。
デリカケラプスはこちらを煽るようにわざとバサバサッと大きな音を立てて馬の近くで羽ばたいた。
ヒヒィィン!!!
驚いた馬は、後ろ足で立ち上がると、サーシャを振り落として、駆け足で何処かへと走り去ってしまった。
「キャァぁぁあ…!」
馬から落ちたサーシャは、そのままゴロンゴロンと斜面を転がっていく。
ご馳走が目の前に自ら転がって差し出された事を喜ぶかのように、デリカケラプスは再びバサッバサッと翼を羽ばたかせると、今度は一直線に此方へと向かって急降下をして来た。
あの鋭い嘴で心臓を貫かれたらひとたまりもない。
もうだめかもしれない…!
諦めてギュッと目を閉じたその時、
「姫!こちらへ!!」
大きな声が響きわたって再び目を開けると、馬に乗ったリューイがこちらへと駆けつけて来ていた。
「それにしても良いお天気ね」
雲一つない蒼い空を眺めながら、サーシャはゆっくりと馬を進める。
慌てていた行きと違い、帰り道は少しのんびりとしたい気分だった。
可愛らしい小鳥のさえずりが聞こえ、長閑な田舎の風景がとても心地よい。空はどこまでも広く青かった。
充実した開放感に包まれ、サーシャは大きく深呼吸をして、うぅん……と馬の上で背伸びをする。
こうしてたまには一人で出掛けるのもいいわね、なんて呑気な事を考えてたその時、不意に頭上でバサッバサッ!と大きな音がした。
何事かと思わず空を見上げると、体長3mほどの怪鳥が獲物を狙うようにして、サーシャの真上をグルグルと旋回していた。
デリカケラプス!
怪鳥の正体に気がつき、サーシャは青ざめる。
その鳥の爪はオーク程度なら楽々と持ち上げる事ができ、尖った嘴は鋼鉄の板などまるで紙のように簡単に突き破るほど頑丈だった。
急いで馬に鞭を入れると、宿営テントに向かって走り出すが、あっという間に追いつかれてしまう。
デリカケラプスはこちらを煽るようにわざとバサバサッと大きな音を立てて馬の近くで羽ばたいた。
ヒヒィィン!!!
驚いた馬は、後ろ足で立ち上がると、サーシャを振り落として、駆け足で何処かへと走り去ってしまった。
「キャァぁぁあ…!」
馬から落ちたサーシャは、そのままゴロンゴロンと斜面を転がっていく。
ご馳走が目の前に自ら転がって差し出された事を喜ぶかのように、デリカケラプスは再びバサッバサッと翼を羽ばたかせると、今度は一直線に此方へと向かって急降下をして来た。
あの鋭い嘴で心臓を貫かれたらひとたまりもない。
もうだめかもしれない…!
諦めてギュッと目を閉じたその時、
「姫!こちらへ!!」
大きな声が響きわたって再び目を開けると、馬に乗ったリューイがこちらへと駆けつけて来ていた。
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