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姫様、謀られる
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アンドレイは直ぐに来ると思っていたが、それから一時間も待たされた。 仕立屋は、この後も仕事があるからと言って、ドレスを置いて街のアトリエに帰っていってしまった。
多忙なアンドレイに待たされる事は度々あったけれど、何故だか今日は少し嫌な予感がした。 時間が刻々と過ぎて行くにつれて、その不安はムクムクと真っ黒な雷雲のように大きく心の中で広がってゆく。
もう今日はアンドレイに会うのは諦めようと思ったその時、部屋の扉がノックもされずにガチャりと開き、待ちに待ったアンドレイが長靴の足音を響かせながら皇太子の風格を漂わせて入って来た。
「この国で、この私を我儘に呼びつけられるのはサーシャだけだ」
いつもの冗談を飛ばしながらアンドレイは笑顔で歩み寄る。
「お帰りなさい! お義兄さま! 旅行はどうでしたか?! ルシュルト王子はなんと仰ってましたか?」
見送った時と同じように、アンドレイに抱きつくと、アンドレイは少し顔を曇らせて、
「サーシャ、話があるんだ」
落ち着いて聞きなさい、そう言ってサーシャの手を引くと、天蓋付きの豪奢なベッドの端にサーシャを座らせる。
アンドレイのいつもの傲慢さは鳴りを潜めていて、その美しい顔には悲しげな表情が浮かんでいた。
多忙なアンドレイに待たされる事は度々あったけれど、何故だか今日は少し嫌な予感がした。 時間が刻々と過ぎて行くにつれて、その不安はムクムクと真っ黒な雷雲のように大きく心の中で広がってゆく。
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「この国で、この私を我儘に呼びつけられるのはサーシャだけだ」
いつもの冗談を飛ばしながらアンドレイは笑顔で歩み寄る。
「お帰りなさい! お義兄さま! 旅行はどうでしたか?! ルシュルト王子はなんと仰ってましたか?」
見送った時と同じように、アンドレイに抱きつくと、アンドレイは少し顔を曇らせて、
「サーシャ、話があるんだ」
落ち着いて聞きなさい、そう言ってサーシャの手を引くと、天蓋付きの豪奢なベッドの端にサーシャを座らせる。
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