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姫様、謀られる
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次の日、大勢の家臣や騎士達を引き連れたアンドレイの豪勢な一行は、マルキシュタン公国と、そしてルシュルト王子の待つロワーヌ王国へと向かって旅立って行った。
笑顔でお義兄さまの一行を見送ったサーシャは、直ぐに宮廷に今人気の仕立屋を呼ぶと、ウェディングドレスのデザインを相談をした。
「姫様、こちらのデザインは如何でしょう?」
口にチョビ髭を生やしたヒョロリと背の高い仕立屋は、サーシャの為に描いた何枚かのドレスのデザイン画を差し出す。
その中でも目を引いたのが、胸元がハートの形に空いているドレスだった。
「さすがは姫様、お目が高い!」
サーシャがこのデザイン画を手に取ると、どうやら、このデザインが一押しだったらしく、仕立屋は得意満面の笑みで口髭をピンピンと引っ張る。
「こちらは胸元に飾るジュエリーが最高に生えるデザインで、ロワーヌにお嫁入りする女性が代々結婚式で身につける、“薔薇色の乙女”と名付けられた伝説の首飾りが、最も美しく見えるんでございますよ」と、仕立屋は熱く語った。
「では、このドレスで作って下さい」
サーシャがこの胸元がハートの形をしたドレスをオーダーすると、
「光栄でございます。姫様!」
仕立屋は腰を直角に曲げて、かなり大袈裟に御辞儀をし、そして皇女様のウェディングドレスを手掛ける事に対して心から感動しているのか、うっすらと涙すら浮かべていた。
この日からちょうど1ヶ月半後に、仕立屋は仮縫いの為にウェディングドレスを携えて宮殿にやって来た。
ドレープの美しいドレスに早速袖を通すと、侍女達は
「姫様、本当にお似合いですわ!」
と歓声を上げる。
「ルシュルト王子は気に入って下さるかしら?」
サーシャが真っ白なドレスの裾をそっと摘まみ上げて侍女のメイヤに心配そうに尋ねると
「当然ですわ!姫様!姫様は本当にお美しい方ですもの。姫様を気に入らない殿方など居ませんわ!」
メイヤは力強く頷く。
その時、サーシャの部屋の扉がノックされて、メイヤが出ると、メイヤは扉をノックした人間と何か言葉を交わし、興奮したようにこちらにやって来る。
「アンドレイさまがお戻りなりました!」
「メイヤ、直ぐにお義兄さまを部屋に呼んでちょうだい」
アンドレイにもウェディングドレスを見て欲しかったサーシャは、胸を弾ませながらメイヤにそう頼むと、メイヤは頷いて部屋を出ていった。
笑顔でお義兄さまの一行を見送ったサーシャは、直ぐに宮廷に今人気の仕立屋を呼ぶと、ウェディングドレスのデザインを相談をした。
「姫様、こちらのデザインは如何でしょう?」
口にチョビ髭を生やしたヒョロリと背の高い仕立屋は、サーシャの為に描いた何枚かのドレスのデザイン画を差し出す。
その中でも目を引いたのが、胸元がハートの形に空いているドレスだった。
「さすがは姫様、お目が高い!」
サーシャがこのデザイン画を手に取ると、どうやら、このデザインが一押しだったらしく、仕立屋は得意満面の笑みで口髭をピンピンと引っ張る。
「こちらは胸元に飾るジュエリーが最高に生えるデザインで、ロワーヌにお嫁入りする女性が代々結婚式で身につける、“薔薇色の乙女”と名付けられた伝説の首飾りが、最も美しく見えるんでございますよ」と、仕立屋は熱く語った。
「では、このドレスで作って下さい」
サーシャがこの胸元がハートの形をしたドレスをオーダーすると、
「光栄でございます。姫様!」
仕立屋は腰を直角に曲げて、かなり大袈裟に御辞儀をし、そして皇女様のウェディングドレスを手掛ける事に対して心から感動しているのか、うっすらと涙すら浮かべていた。
この日からちょうど1ヶ月半後に、仕立屋は仮縫いの為にウェディングドレスを携えて宮殿にやって来た。
ドレープの美しいドレスに早速袖を通すと、侍女達は
「姫様、本当にお似合いですわ!」
と歓声を上げる。
「ルシュルト王子は気に入って下さるかしら?」
サーシャが真っ白なドレスの裾をそっと摘まみ上げて侍女のメイヤに心配そうに尋ねると
「当然ですわ!姫様!姫様は本当にお美しい方ですもの。姫様を気に入らない殿方など居ませんわ!」
メイヤは力強く頷く。
その時、サーシャの部屋の扉がノックされて、メイヤが出ると、メイヤは扉をノックした人間と何か言葉を交わし、興奮したようにこちらにやって来る。
「アンドレイさまがお戻りなりました!」
「メイヤ、直ぐにお義兄さまを部屋に呼んでちょうだい」
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