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姫様、罠にかかる
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「姫、ゴールはあそこです」
アシュレィが指差す方向を見ると、平野の少し向こうにゴツゴツした岩肌の小高い丘があり、丘の頂上には大きな大木が1本立っていた。
あそこの木まで先に辿り着いた方が勝者なのね。
サーシャはアシュレィに微笑んで頷く。
その時、昨日夜更かしをしていたらしいジョリィも小さな欠伸をしながら馬でやってきて、3人の準備が整う。
「用意は良いですか?姫、それでは、スタート!」
アシュレィが掛け声をかけて、サーシャとアシュレィの乗った馬が弾丸のように勢い良く走り出す。
「っえ?!ちょっと!ちょっと待って!!」
レースの事を何も聞いてないジョリィが慌ててるが、その時にはジョリィはサーシャたちよりも遥か後方に置いていかれていた。
平野を疾走しながら、チラッとアシュレィの方を伺うと、彼の馬は1馬身ほどサーシャの後ろにいた。 だけど、気は抜けない。勝負は小高い丘の登り坂に入ってからだ。
案の定、くねくねと蛇行した坂道に入ると、さっきよりも、ぐんと、アシュレィに距離を縮められた。
でも、大丈夫。このまま走らせれば、ギリギリで私が勝てるわ。そう思ってよりスピードを出すために拍車に力を入れた瞬間、不意にアシュレィの馬が脇の藪道に入る。
「っ?!」
驚いたサーシャは、直ぐにアシュレィの意図を察する。
アシュレィは藪道から一直線でこの丘を駆け登るつもりなのだ。
慌ててサーシャもアシュレィの後を追う。草の生い茂る藪道に入ると、朝靄がかかっていて、視界が悪く、時折、頬にパシンパシンと木の小枝があたった。
それでも恐れる事なく、馬を走らせ、アシュレィに並び、そして僅かにアシュレィの馬よりも前に出すと、アシュレィは、
“やりますね、姫!”
と、唇に笑みを浮かべる。それはどこか勝負への余裕すらあった。
アシュレィが指差す方向を見ると、平野の少し向こうにゴツゴツした岩肌の小高い丘があり、丘の頂上には大きな大木が1本立っていた。
あそこの木まで先に辿り着いた方が勝者なのね。
サーシャはアシュレィに微笑んで頷く。
その時、昨日夜更かしをしていたらしいジョリィも小さな欠伸をしながら馬でやってきて、3人の準備が整う。
「用意は良いですか?姫、それでは、スタート!」
アシュレィが掛け声をかけて、サーシャとアシュレィの乗った馬が弾丸のように勢い良く走り出す。
「っえ?!ちょっと!ちょっと待って!!」
レースの事を何も聞いてないジョリィが慌ててるが、その時にはジョリィはサーシャたちよりも遥か後方に置いていかれていた。
平野を疾走しながら、チラッとアシュレィの方を伺うと、彼の馬は1馬身ほどサーシャの後ろにいた。 だけど、気は抜けない。勝負は小高い丘の登り坂に入ってからだ。
案の定、くねくねと蛇行した坂道に入ると、さっきよりも、ぐんと、アシュレィに距離を縮められた。
でも、大丈夫。このまま走らせれば、ギリギリで私が勝てるわ。そう思ってよりスピードを出すために拍車に力を入れた瞬間、不意にアシュレィの馬が脇の藪道に入る。
「っ?!」
驚いたサーシャは、直ぐにアシュレィの意図を察する。
アシュレィは藪道から一直線でこの丘を駆け登るつもりなのだ。
慌ててサーシャもアシュレィの後を追う。草の生い茂る藪道に入ると、朝靄がかかっていて、視界が悪く、時折、頬にパシンパシンと木の小枝があたった。
それでも恐れる事なく、馬を走らせ、アシュレィに並び、そして僅かにアシュレィの馬よりも前に出すと、アシュレィは、
“やりますね、姫!”
と、唇に笑みを浮かべる。それはどこか勝負への余裕すらあった。
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