【R18】拳銃と犬 〜御曹司とボディーガードの淫らな関係

瀬能なつ

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嗣春編

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ーー初めて尊に会った日のことを、嗣春は今でも鮮明に思い出す。


「どうかお願いします!」

渋谷区松濤。

大邸宅が建ち並ぶ住宅街の中でも、一際大きな古めかしい日本建築の一軒の豪邸の前。

黒い喪服に黒いネクタイを締めた嗣春が、プライドをかなぐり捨てて、屈強な身体を折り曲げるようにして深々と頭を下げると、対応していた目の前の書生は、かけていた銀縁の眼鏡をグイッと押し上げて不愉快そうに眉を寄せる。

「そう頭を下げられてもねぇ…… アナタがこの家の敷地に一歩たりとも入る資格ないのは、アナタ自身が良く知っているでしょう? 申し訳ないですが、どうぞお引き取り下さい」

冷たくそう言い放つと、辛気臭い青白い顔の若い書生は、屋敷の中へと戻ろうとする。

「それをどうか今日だけはお許し下さい!父に……、いえ、一之瀬嗣行さんにどうか一度だけでも、線香をあげさせて下さい!」

「そう言われても無理なものは無理ですよ。さっさとお帰り下さい」

「どうかお願いします!」

屋敷に戻ろうとする書生の腕を掴んで、中に入れてくれるよう必死に懇願すると、屋敷の前に警護で立っていた私設のガードマンが見かねて飛んでくる。

「ほら、アンタいい加減にするんだ! もう帰りなさい!」

書生の腕を掴んでいた嗣春をガードマンが引き剥がそうとするが、嗣春も必死で食らいつき続ける。

「どうか今日だけ屋敷に入る事をお許し下さい!」

嗣春は人目も憚らずに頭を下げ続けた。

病床の父に、妾の子の自分は結局会うことは叶わなかった。葬式は勿論参列が許されなかった。

亡くなった父を弔うためにも、ここで帰る訳にはいかない。

嗣春は、固い決意を顕わにして、キッと目の前の忌々しい書生を睨みつける。

嗣春と書生、そしてガードマンの3人の男たちがしばらく揉み合っていると、屋敷の前に一台の黒塗りの車が静かに止まった。

やがて、運転手が後部座席のドアを開けると、白い学生服を着た一人の男子高校生が降りてきた。

「どうかされたのですか?」

高校生の男の子は、小鳥のように柔らかい声で、屋敷の前の揉め事に不思議そうな視線を向ける。

嗣春も、思わず声の方へと振り向く。

そこには、見たこともない美しい少年が立っていた。

品の良い顔の輪郭に、美しいアーモンドアイ。その肌は透けるように真っ白だった。

まるで、まるでラファエロの描く天使のような清らかさを纏う、この世のものとは思えないほどの美しい少年が、少し困惑した表情で佇んでいた。

少年は嗣春の顔を見ると、ハッと驚いたようにして呼吸を止める。その顔色はみるみると青白くなった。

少年と嗣春の二人の間で暫く時が止まった。

嗣春は、(誰だろうか?)と訝しげに少年を眺める。

少年は驚いた顔のまま、喉から絞りだすようにして、

「義兄さん……」

と呟いた。

その言葉に嗣春もハッと気がつく。

(腹違いの義弟、尊か!)

これが、嗣春と尊の初めての対面だった。





嗣春は、この美しい義弟に魂を抜かれたようにして、ぼんやりとその顔を眺めていたが、はっと今日の目的を思い出す。

「どうか、父に線香を一本、あげさせて下さい!」

儚げで優美を纏う人形のような年下の少年に向かって、嗣春は深く頭を下げると、尊はその真っ白な肌をより蒼白にし、怯えるような表情を浮かべ、青白くなった唇を小さく震わせた。

一瞬、その場が静まり返る。

「ぼ、坊ちゃん! お帰りなさいませ! い、今すぐにこの方にはお帰りいただくので、ささ、坊ちゃんは早く屋敷の中へ」

さっきまで尊大な態度で嗣春に接していた書生は急にペコペコと腰を低くすると、尊に駆け寄り、嗣春から守るようにして、尊の肩に手をまわす。

けれど、尊はその書生の手を払うようにして制止させた。

「いえ、私が義兄さんを仏間までご案内します。義兄さん、どうぞこちらへ」

顔色は青白いままで、しかし、怯えた表情は消し去り、凛とした気品を漂わせて、尊は嗣春に向かってついて来るように声をかける。

「坊ちゃんっ!!!」

書生が悲鳴のような声をあげる。

その声を無視すると、歩き出しながら尊は、「それから、こちらの方にはすぐにお帰りいただくので、お茶はお出ししないでけっこうです。仏間には暫くの間、人払いをお願いします」と書生に声をかける。

(つまり、茶も出さないくらいに俺は歓迎されていないわけか)

表面上は礼儀正しく、しかし微かに嗣春に対する侮辱を滲ませる尊の態度に嗣春は腹の中で、舌打ちをする。

(まぁ、別に“涙と抱擁”の感動の兄弟の初対面を俺だって期待してた訳じゃない。

けれど、顔を合わせれば、目に見えない兄弟の情のようなものが湧き上がって来るのかと思っていたが、案外と全く見知らぬ他人みたいなもんなんだな……)

広い屋敷の古びた廊下を歩きながら、自分の一歩前をゆく尊の華奢な背中を眺めつつ、嗣春はそう思う。

育ちが違えば、結局は、たとえ兄弟であっても、発する存在感はこうも変わるものなのか。

尊は例えるなら、温室育ちのカトレアだ。大財閥の御曹子として、大切に育てられ、世間の辛い事からは隔離され、ひたすらに愛情を注がれる存在。
その姿は気高く、何人たりとも気軽に近寄れない雰囲気が漂う。

かたや俺は父が新橋の芸者に生ませた子だ。

下町で育ち、高校に入ってからは自分の出自に嫌気が差して、世間を恨み、六本木界隈で、マリファナを吸いながら酒と女に溺れ、ヤクザまがいのイキがってる男たちと喧嘩三昧の日々だった。

この全く育ちの違う二人が初めて顔を合わせても、互いを兄弟と思えるわけがないか……

そんな事をぼんやりと考えていると、尊の足が屋敷の一番奥のとある部屋でピタリと止まる。

「ここです」

そう言いながら、尊が襖を引くと、30畳ほどの薄暗い畳の部屋には、白と黒の熨斗のかけられた仏前用の進物の箱が山のように部屋中のそこかしこに積み上げられていた。その箱の山をかき分けるようにして、尊と嗣春は進む。

「どうぞ」

尊は古い大きな仏壇の前に来ると、嗣春を前に促し、自分は後ろの少し離れたところで、凛と背筋を伸ばして正座する。

嗣春は尊に対して形式めいた会釈をすると、仏壇の前に敷かれた紫色の絹の座布団の上に正座し、線香に火をつけ、父の位牌に静かに手を合わせた。

最後に父を見たのは、まだ元気な頃の姿だった。父は財閥のトップに立つに相応しい、強く器の大きな男だった。妾の子の自分にも惜しみない愛情を注いでくれた。

六本木で荒れに荒れていた時でさえ、見捨てずに最愛の息子として可愛がってくれていた。
どん底から自分をすくい上げてくれて、真っ当な一人の男としての生き方を、その背中で教えてくれたのも、父だった。

その父が病に倒れたとは、到底信じられなかった。

父が床に伏せても、その事は極秘にされ、自分には一切知らされていなかった。
父が危篤と知ったのは、テレビのニュースだった。

緊急ニュース速報が流れ、それを見た嗣春は急いで病院に駆けつけたが、病院の敷地に入る事すら許されなかった。

「“家族”しか立ち入れません。お帰り下さい」

冷たく無表情で俺を見下すようにして追い返したあのガードマンの表情は、はっきりと目に焼き付いている。

嗣春は思い出して唇を噛み締める。

結局、父の死に立ち会う事は許されなかった。

皇族や王族、各国の首脳クラスが臨席し、壮大に執り行われた父の葬儀では、周辺地域に徹底した警備体制が敷かれ、葬儀会場に近づくことすら出来なかった。

あの時の屈辱は今でも忘れる事が出来ないーー

「……父の最期の様子を教えて下さい」

手を合わせ終えた嗣春が、後ろに控えていた尊の方に振り返りながら、そう問うと、尊は再びハッと息を呑む。

それから、嗣春を睨みつけるようにして
「“他人” のあなたに教える義務はありません」
と短く答える。

その言葉を聞いた瞬間、必死で堪えていた嗣春の怒りがとうとう爆発した。

立ち上がって、大股でつかつかと尊に歩みよると、

「この家はどれほど俺を馬鹿にすれば気が済むッ?!」

そう唸り声を上げながら、尊の真っ白な学ランの襟を掴みあげ、右手の拳を固く握り締めて、大きく振りかぶる。

今まさに殴られそうになっても、尊は怯むこと無く、嗣春を睨み返す。

「父さんの息子はこの僕だけだ!」

父の遺影の前で、二人の息子達は己のプライドをかけて、相手への積年の怨みをぶつけ合う。

薄暗い仏間に、マグマのようなドロドロとした重く混沌とした感情が渦巻いた。


「このっッ!!!」

嗣春の怒りの右手の拳が、尊の美しく滑らかな、ビスクドールのような頬を目掛けて力いっぱいに振り下ろされる。

「……っ!」

尊は思わず目を閉じる。

あと僅かで拳が尊の頬に触れる寸前、ピタリと嗣春の拳が止まった。

自分でもなぜそうしたのか分からない。
けれど、この人形のように美しい、純白のように世間の穢れを知らぬ義弟を、もっと滅茶苦茶に壊したい欲望が急激に腹の奥から湧き上がってきたのだ。

一方の尊は、嗣春の拳が自分の頬を打たなかった事に、ほっと安堵する。

次の瞬間、嗣春に襟首を抑えつけられたまま、尊の体はドサッと畳の上に押し倒された。

「ッ?!?」

嗣春の鍛え上げられた体が、尊の上にのし掛かる。

「な、何をっ……?!」

驚いて、自分の上の嗣春を振り落とそうと、必死で尊は抵抗するが、それを押さえつけたまま、嗣春は尊の真っ白な学ランの胸元に手をかけ、一気に引きちぎる。

ブチブチっと音がし、金属の釦がいくつも弾け飛び、部屋の隅にコロコロと転がった。

「っ!!」

尊は小さく悲鳴を上げる。

その悲鳴を無視して、嗣春は今度は学ランの下の白いカッターシャツに手をかけ、それも同じようにして引きちぎった。

「や、やだ!!離せ!」

怯えた表情の尊が必死で嗣春の腕から逃れようとするが、まるで虎に捉えられた兎の如く動けない。

乱暴に開かれたシャツの下からは、真っ白な尊の肌が現れ、視界に晒された。

それは、まるで誰も踏み荒らしていない早朝の新雪のように、神々しいまでの白さだった。

その白雪の中にポツンと咲く、小さな赤い花を見つけると、ツンと尖った突起を、嗣春は猛獣のように爪を立てて、ガリっと引っ掻く。

「ひっッ!!!」

尊の体に鋭い痛みが走る。

真っ白な肌に、四本の赤い爪跡が荒々しく残された。

尊は全力で手足をバタバタとさせて、懸命に嗣春の手から逃れようとするが、嗣春は、既にボロボロになった尊の学ランとシャツを纏めて尊の頭上に持ってくると、そのまま固定するようにして、尊の両腕を拘束する。

尊の上半身が裸になると、今度は尊の制服のズボンに嗣春は手をかける。

左手で尊の上半身を押さえつけながら、右手で尊の制服のベルトをカチャカチャと器用に外すと、ジッパーを下ろして前を緩め、濃紺のトランクスをズボンごとずり下げる。

「やだ! やだっ!」

無理やり引きずり出された、尊の形の良い薄ピンク色のペニスは、怯えるようにして縮んでいた。
その細身の筒を嗣春は握りしめると、ぎゅうぎゅうと扱きはじめる。

「や、嫌だっ! っっっ!!」

味わった事のない羞恥心に、尊はとうとう泣き出した。

ヒックヒックと泣きじゃくる尊の声と、嗣春の荒々しい息遣いが薄暗い部屋に混じり合う。

「お前には殴られる以上の屈辱を味わせてやる」

ポロポロと涙を零しながら必死で抵抗する尊の身体を押さえつけながら、嗣春は尊のペニスを嬲り続ける。


性に未熟な尊のペニスは、持ち主の意志に反して、嗣春の指が与える僅かの刺激でも、あっという間に固くなった。

「やだっ! やだっ!!!」

足を懸命にバタバタとさせても、尊は嗣春の力強い手から逃れる事は出来なかった。

やがて尊のペニスの先端からは雫がこぼれはじめ、その筒は今にも弾けんばかりに、パンパンに膨れ上がり、嗣春の大きな手の中でビクンビクンと震えだす。

それを見た嗣春が一際強く尊のペニスを扱くと、

「っあっっっ!!」

と小さく悲鳴が尊の口から漏れ、ペニスの先端からは、美しい少年の顔に似合わず、大量の精液がドロリと卑猥に流れ出した。

「随分と濃いな。上品な坊ちゃんは普段は自慰なんてしないんだろ」

嗣春の言葉に、尊はカッと頬を赤らめ、ハアッハアッと肩で荒く息をしながら、無言で嗣春を睨みつけるが、すぐに瞳を閉じる。

この憎い義兄を視界にすら入れたくなかった。

確かに屈辱を味わった。でも自分が無様に吐精した事で嗣春の目的は達せられたはずだ。
これで終わったのだとほっと安堵しつつ、嗣春が自分の上からさっさと立ち去るのを尊はじっと待った。

「っひっ!!」

不意に、射精して萎んだペニスを嗣春に扱かれて、尊の身体はビクンと震える。

「今のが終わりじゃない。これから“始まる”んだ」

耳元で冷たく囁いた嗣春の台詞を、尊はすぐには理解出来なかった。

――妾腹の義兄の手によって射精されられる以上の屈辱があるというのだろうか?

嗣春の指が尊のペニスから精液を絞りとるようにして蠢き、かき集められた精液が、後ろの穴に塗り込められても、男との性交の知識に乏しい尊は、これから何をされるのか、よく理解出来ていなかった。

しかし、嗣春の長い指が後孔を二本、三本と出入りするのは酷く不快ではあった。

“もう止めて欲しい” と、そう訴えようとして瞳を開けた尊の目に飛び込んで来たのは信じられない光景だった。

いつの間にか自分のズボンはすっかりと取り払われ、開かされた両脚の間に嗣春の身体が入り込み、嗣春の右手には、恐ろしいほどまでに大きく怒張した嗣春のペニスが握られていた。

その時になって、尊はようやく気がついた。

“これから自分の身体は、女のように犯されるのだ” と。

「いやだっっっっ!!!!!!!」

信じられない思いで、逃げだそうと必死で上体を捻っても、既に遅い。
尊の真っ白な身体に、嗣春の赤黒い太く大きいペニスが躊躇すること無くズブリと突き立てられる。

「っやっっっっぁぁぁぁぁぁ!!!!」

メリメリと狭い孔を切り炸くようにして、嗣春のペニスは先へ先へと進む。

まるで身体の全てを支配するような圧迫感。
尊の呼吸は止まり、パクパクと酸欠の白魚のように口が動く。
経験した事のない破瓜の痛みが襲いかかり、頬には大粒の涙が零れた。

「痛い! 抜いてッ!!! 誰かっ!! た、助けてっ!!」

悲鳴をあげても、嗣春の体は止まることなく動き続ける。

「せいぜい大声を出せ、尊。ここは離れだ。母屋にいる人間にお前の声は聞こえない。そもそもお前が人払いをしたんだ」

不敵に嗣春は笑うと、尊の体を押さえつけて、ぐいっと楔を打ち込むようにして腰を動かす。

「ひっひいいっっっっ!!! ぁぁぁぁぁぁぁっ! やだっ! やだっ!!」

体が引き裂かれる感覚が恐ろしくて、どんなに泣いても悲鳴をあげても、嗣春は止めてはくれなかった。それどころか、まるで尊を泣かせるのを愉しむかのように、荒々しく尊を嗣春は犯し続ける。

「俺のペニスを全部ずっぽりと後ろで呑み込むなんて、お前の身体は随分と淫乱だな。経験があるのか?」

「なっ、無いっ!!」

「初めてなのか。お前は素質あるぜ。親父はセックスの方もなかなかのものだったんだからな」

「と、父さんを悪く言うなっ!」

尊が涙声で抗議すると、

「だから、俺が産まれたんだろっ!!」

嗣春は獣が喰らいつくように、尊の体の奥を目掛けてずんっ!と強く突き上げる。

「ひいっあああっ!!!」

熱い楔が奥まで打ち込まれては出てゆく度に、気を失いそうになる。

強烈な痛みを耐えるようにして、尊は唇をぎゅっと噛み締める。その瞬間、嗣春の大きなペニスを咥えている下の淫口も強く締まった。

「尊、お前の身体は女みたいになかなかいい味だぜ」

侮蔑を込めた卑猥な言葉を嗣春に投げつけられても、激しい痛みで意識の飛びかけている尊は、もはや反論しなかった。
嗣春を苛立たせても、倍の痛みとなって自分の身体に返ってくることを、既に尊は学習させられていた。

っ嫌っ! 嫌だっ! ……泣きじゃくり、涙で頬を濡らしながら、ただひたすらに、この恐ろしい行為が早く終わることを、目を閉じて心の中で祈り続ける。


ぬちゅん…… ぬちゅん…… ぬちゅん……

と、やがて淫らな水音が部屋に響き、その音が自分の身体から発せられている事に気がついた尊は、淫音を打ち消すように、悲鳴をあげる。

「いやだ…… 義兄さんっ! もう許して……!」

「そうだ。俺に許しを乞い続けろ尊。お前を支配しているのはこの俺だ」

筋肉で引き締まった身体の嗣春は、疲れを知ることなく、暴れる尊を押さえつけながら一定のリズムで腰を動かし続ける。

絶対的な支配者が誰かという事を、尊の身体に刻み込むかのように。

淫獣は、温室の中で育てられた子兎を存分に凌辱し続けた。

「ひっ…… あっ… ああっ…… っく…… やぁぁ………あああ……」

尊は白い首筋を仰け反らせ、泣きじゃくり続けた。

もう永遠にこの苦痛が終わる事はないのだろうと、尊が絶望し始めたころ、
やがて、嗣春の呼吸も余裕無く乱れはじめ、打ちつける感覚も短くなりはじめる。

クライマックスが近かった。

嗣春は、組み敷いた自分の腕の下の泣き顔の尊を眺めながら、力いっぱいに抉るようにして腰を打ち込む。

「ッ!」と尊が苦悶の表情で身体を弓なりに曲げた瞬間、嗣春は「ウッ」と呻き、嗣春の砲身は思い切り弾けた。

義兄のドロリとした熱い体液が、体内にドクドクと注ぎ込まれるのを感じながら、尊は信じられない思いでただ茫然と虚ろに天井を見つめ続ける。

「っあ!」

ズルリ……と嗣春の太く長いペニスが尊の体内から引きずり出されると、まるで腹の中から蛇のような生き物が出てゆくような、奇妙な感覚に、尊は小さな悲鳴をあげる。

「早く服を着ろ」

嗣春に命じられて、尊は再び嗚咽を漏らしながら、手探りで制服のズボンを探す。

破瓜の痛みが響く体は重く、寝転がったままで、乱暴に脱がされた下着とズボンをノロノロと履き直し、上半身をゆっくりと起こして、ワイシャツの前を整えようとするが、ボタンが全てどこかへと飛び散ったせいで前を留めることが出来なかった。

ヒックヒック……と泣きながら必死で服を整えようとする尊を、立ち上がってズボンを整えていた嗣春は冷ややかに見下ろす。

それから嗣春は着ていた喪服の上着を脱ぐと、投げるようして尊に寄越す。

「着ろ」

嗣春の言葉に、尊はこの憎い相手からの施しを受けようかどうか一瞬迷う表情を見せてから、諦めたようにして、袖を通す。

書生や使用人たちに、嗣春との行為を知られたくは無かった。

それから立ち上がろうとして脚に力を入れるが、腰に力が入らなく、ふらふらとその場に座り込む。
たった今、自分の身に起きた出来事を強く思い出させられて、屈辱と悔しさで嗚咽が止まらなかった。

嗣春は、肩を震わせて泣いている尊の前に立ち、腰を落とすと、涙で濡れた尊の細い顎を掴んで、グイッと持ち上げる。

嗣春と尊の、互いの相手への強い憎しみを込めた視線が重なった。

「いいか、尊。お前の持っている物の全てを、俺が奪ってやる」

次の瞬間、嗣春は荒々しく尊に唇を重ね、まるで契約の印でも刻みつけるかのように、ギリッと尊の唇を強く噛む。

「っ!!」

尊の唇は小さく切れて、赤い血がタラリと流れた。
呆然としながら、尊は流れた血を手の甲で拭う。

嗣春は、尊を睨みつけながら再び立ち上がると、勢い良く襖を開け、尊を残して部屋を出た。

玄関へと向かう長い廊下の途中で、嗣春はさっきの書生とすれ違う。

「お帰りですか? 坊ちゃんはまだ仏間に?」

書生の問いに、嗣春は何事も無かったかのように笑みを浮かべて答える。

「ええ、尊くんはあの部屋で暫く考え事をしたいそうなので、まだ一人にしておいてあげて下さい」

「はぁ……そうですか……」

訝しそうな顔の書生を残して、嗣春は忌々しいこの屋敷を足早に立ち去った。


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