悪役王女サマは傾国の美女になんかなりたくないっ!

瀬能なつ

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介抱という名の××……

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目が覚めると、質素ではあるけれど清潔な夜着を着て、ベッドに寝かされていた。

「お目覚めですか? 姫さま」

声の方を向くと、例の黒髪の、ハンサムな騎士が椅子に腰掛け、優しく微笑みかけていた。

騎士も既に着替えていて、シンプルな白い木綿の動きやすそうな日常着だったけれど、胸元のボタンは着崩すことなく、しっかりと上まで留められている

そして、腰には金色の装飾のついた鞘に収まった長剣を携えていた。

キリッと伸びた背筋が、騎士の規律正しい性格を思わせた。


「あ、あの…」

と言いかけて、さっきの恥態を思いだし、顔を赤くして思わず言葉に詰まる。


「先程の、フェリシア様の意に背く行いを謝罪いたします。しかし、あの行為はフェリシア様のお命を救う為に必要だったのです。どうぞお許しを」

そう言って、騎士は立ち上がると腰の長剣を押さえながら、よく磨かれた黒い長靴の踵を合わせてカツンと鳴らすと、深々と頭を下げた。

えーっと、色々と混乱してきましたよ。
そもそも、"フェリシア様"って誰っ?

「あの、、ここはどこなんですか……? 私は日本人なんですけど、ここは外国なの?」

そう尋ねると、騎士は少し困ったような顔をして

「ここはマルスティラ公国で、貴女様は公国の大公であるシュリ様の妹君であらせられます。ご記憶にございませんか……?」

と答え、私の顔を見つめる。

残念ながら、記憶にございません……うううぅ……

しかも、私は"お姫様"なんて身分じゃ絶対にないし。

そもそも、ここは一体どこなのっ!

「マルスティラ公国って、もしかしてオーストリーとかリヒテンシュタインとかあっちの方面にある国……?」

と、数少ない地理の知識を総動員しながら答えると

騎士は益々困惑した顔で、

「姫が今仰った国はこの世界には存在しません。大変申し上げ難いのですが、フェリシア様は1度、魂がお体から離れたのです。
その時に一時的に別の世界に魂が飛び、 今、こちらに再び戻ってこられたのです」

と、苦しそうな表情を浮かべた。


つまり、私は1度死んでから日本人に転生して
再び日本という国は存在しない別世界の国に戻って来たって事?

何だか展開がファンタジー過ぎてついて行けないんですけどっ!

と、ここまで話してふと気がついた。

「あれ? 私、あなたの言葉が理解出来てる……」

そう言うと、苦しそうだった騎士の表情が少し和らぎ、

「この国の食べ物を召し上がり続ければ、少しづつ色々と思い出されますよ」

と、にっこりと笑った。

「ただし……」

と騎士は言葉を続け、再び、とても言いにくそうな表情で

「お食事をまだ御身体が受け付けない状態であれば、先程のように、私の精を直接、姫の御身体に注ぎ込む事をしばらく続けなければなりません」

と下を向いた。

「それを断るとどうなるの……?」

と思わず聞くと、

「御身体と魂が離れて、二度と戻れなくなります。つまり、永遠の死となるのです」

そう言う騎士の目は静かな悲しみを湛えていた。

「姫、お嫌かもしれませんが、私を受け入れてはもらえませんか? 姫ご自身だけでなく、この公国の為にも、あなた様が必要なのです」

そう訴える騎士の瞳には、誰よりもこの国を想う強い意志が溢れていて、
それを見た私は、小さく頷くしかなかった。

「それでは、早速食事にいたしましょう」

騎士がそう言うと、待ち構えていたように、寝室の扉が開いて、先ほどの老婆が食事を載せたトレイを持って部屋に入って来た。

「ありがとう」
と私が声をかけると、老婆の顔が笑顔で輝いた。

老婆は私と話をしたそうにしてたけれど、騎士が目で促すと、小さく頷いて静かに部屋を出ていった。

騎士はトレイに乗せられていたスープの器を手に取り、乳白色の液体を匙にすくうと、そっと私の口に流し込む。

さっきは何にも味がしなかったけれど、今度は、ほんのりとミルクのような風味がした。

ゴクンと飲み込んだ私を見て、騎士はさらにもう一口、二口と匙を運ぶ。

「なんとか食べられそう」
そう言うと、

「大変結構です」 

騎士も嬉しそうに優しい笑顔で微笑み返し、二人の間に、ふんわりと温かい空気が流れたと思った次の瞬間、

「うっ……!」

さっきと同じように、胃がひっくり返るような痙攣が来て
今食べたばかりのスープを再び吐き出してしまった。

「姫、大丈夫ですか……?」 

そう言い、騎士は優しく背中を撫でてくれる。

手際よく私の口元や服にかかった汚れをトレーの上にあった布で綺麗に拭き取ると、
騎士はその長く美しい指で一つ一つ私の夜着のボタンを外しにかかった。

「…あっ…」

私は小さく息をのむ。

さっきの恥態がまざまざと思い出され、どうしてよいか分からずに体が固まる。

「この夜着は汚れております。さぁ着替えましょう」

騎士はそう言いながらテキパキと薄ガーゼのドレスを脱がしにかかる。

汚れた夜着はあっという間に脱がされて、再び生まれたままの姿になり、仰向けに寝かされた。

「お寒いですか?」

そう聞かれて思わずコクリと頷くと騎士はそっとフカフカの寝具をかけてくれた。

静かに目をつぶると、騎士が立ち上がり、カチャカチャと腰の剣を外す音と、ファサりと布が落ちる音がした。

やがて、ギシリとベッドがきしむ音がして、
裸の騎士が覆い被さるように布団の間に入ってきた。

小さなベッドなので、騎士の肌の温度や呼吸が目の前に感じられたけれど
なるべく私の肌に触れないようにしながら騎士は静かに私のクレバスに手を伸ばす。

「ひゃっ…」
敏感な芽をつままれると、全身に甘い痺れが走り、思わず騎士にしがみついてしまう。

「姫、力を抜いてください」

耳元でビロードのような艶っぽい声で囁くと、騎士の指はそのまま進み、やがて蜜壺にたどり着く。

そして迷う事無く、その長い指をぐいっと捩じ込んだ。

騎士はそこが既に湿っているのを確認すると、一度体を起こした。二人の体を隠すように覆っていた布団は、足元に滑り落ちて、騎士の目の前には私の裸体が再び晒される。騎士は私の膝裏を持ち上げると、遠慮するかのように、ほんの少しだけ開いた。

それでも、両脚の隙間から騎士の目の前に秘所が晒される。騎士に見られているだけで、ピンク色の波打つ敏感なヒダからは蜜がとめどなく溢れ、シーツを濡らしてしまっていた。

騎士がもう一度確認するように、そっと蜜壺の入り口に指先を当てた瞬間、そこがまるで誘うかのように、ヒクンヒクンと震えたのが、自分でも分かった。

「嫌っ……この格好は恥ずかしい……もう止めて……」
「姫、どうぞ少しだけ我慢をして下さい」

恥ずかしさに、手で顔を隠しながら涙声でイヤイヤと首を振る私をなだめながら、騎士は行為を続ける。

そして、直ぐにより固くて大きくて熱い騎士自身を小さな洞窟の入り口に押し当て、再び閉じた扉を押し開くように、グリグリと奥へ奥へと進めた。


「っあ……    あっ………!」

もう痛みはさほど感じなくなっていた。


強い快感が再び押し寄せて来て思わず声が漏れる。

その言葉を聞くと、ぐいっぐいっと騎士はより力強く腰を捻り込むように打ちつける。

敏感な肉の内壁に、大きく熱い塊りが擦れる度に、トロリとした蜜が私の身体から流れだしてくる。

ぐちゅ……ぐちゅん……

と淫らな水音が小さな部屋に響く。

騎士の腰が抉るように動くたびに、小さな木製のベッドがギシギシと軋んで揺れる。その震度は繋がっている箇所に刺激を与え、騎士が小さく呻く。

「もう……少しです…姫……もう…間もなく……です。あと…少し……の…ご辛抱……を……」

額にじんわりと汗を浮かべながら、騎士は懸命に腰を打ちつける。

こんなふうに、出会ったばかりの見知らぬひとと交わるのは、どこか背徳の味がして、罪の意識から無意識に逃れるかのように、私の頭の中はジンジンと痺れてくる。

気がつけば、私も夢中で喘ぎ、自分から腰を淫らに押し付け揺らしていた。

快感の波に押し流されそうになりながらも
思わず、聞きたかった事を吐息混じりに騎士に尋ねた。

「っ……あな……たの……名前を……教え…て……」

騎士は、『えっ?こんな時にですか?』と不意討ちを喰らったように動きを止める。

 しかし、直ぐに優しく微笑みながら

「私は、陛下をお護りする宮廷近衛兵団隊長 グレイク = フォン = アルベルト です。 グレイとお呼び下さい」

と答えた。

「……グ…レイ…… ずっと…私の…側に……い…てね……」

無意識にそう呟くと、私の中に入っていたグレイ自身が グンっ と質量を増した気がした。

「姫、私はいつまでも貴女様のお側におります」

グレイは神の前で誓いの言葉を述べるかの如く、厳かに私の耳元で囁くと
再び腰を力強く打ち付け始め、私を快楽の高みへと一気に連れていった。

私を抱きかかえるようにして、グレイの筋肉に覆われた身体が私を包み込む。


「グレイ…! グレイ……!」

気づけば夢中で騎士の名を叫びながら、厚く大きな彼の背中にしがみつき、グレイが小さな呻き声と共に果てるその瞬間に、私も意識を失った。


結局、この日から三日三晩、朝から晩まで
騎士のグレイに『介抱』という名の性愛をベッドの上で受けた私は、一週間も過ぎた頃には、すっかりと体もこの世界に慣れて、食事もきちんと食べる事が出来るようになっていた。




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