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目が覚めればそこは異世界
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ふと、闇の中で意識を取り戻す。
コツコツ と遠くで足音が聞こえてきた。
誰か人がいるらしい。
やがて、ほんのりと香ばしい美味しそうな匂いがしてくる。
どうやらパンを焼いているみたいで思わずお腹がぐぅと鳴った。
懸命に目を開けようとするけど、瞼は接着剤で貼り付けられたかのようにピタリと開かない。
それならば、起き上がってみようと思うけれど、体も石のように固まって思うように動かない。
なんとか体を動かそうとしてもがいて格闘すること数分、
私は細長い箱の中に横たわっている事に気がついた。
私、もしかして、死んじゃって棺桶に入ってるとか?!
待って!待って!私、生きてますからっ!!
お願い! お葬式とかちょっと待って!!待って!! 火葬とかしちゃうのちょっと待って!
全身に冷や汗をかきながら、とにかく渾身の力を振り絞って目を開ける。
突然に飛び込んで来る光の洪水
眩しくて、目の前が真っ白に輝いた…
やがて、瞳が光に慣れてくると、丸太で組まれた天井が視界に入る。
えーと、、ここはどこかしら?
そんな事を考えてると、またパタパタと足音が近くを横切った。
とにかく、起きなくちゃ。
上半身を起こそうとすると、全身の骨がギシギシと軋む音がした。
まるで何年間も横になって寝ていたかのように体が重い。
とにかく必死でなんとか半分起き上がると、
そこは小さな丸太小屋の中だった。
天井も、床も、壁も、全てが木で出来ていて、まるで山小屋のような造りだった。
部屋には小さな暖炉が置かれていて、その暖炉の前には大きなテーブルがあり、そのテーブル上に乗せられた棺。
どうやらその中で、私は眠っていたらしい。
だから、上半身を起こすと、少し目線が高くなり、部屋を見下ろすような格好となった。
目を凝らすと、小柄な老婆が隣の部屋の暖炉の火をかき回したり、かまどの鍋に水を注いだりして、何やら食事の支度をしている。
「あのー、スミマセン……」
私は恐る恐る老婆に声をかける。
でも、老婆は耳が遠いのか、私の声には気がつかない。
「あのぉぉー!すみませぇーぇぇ~ん!!」
さっきよりも声を大にして叫ぶと、
老婆はやっと気がついたのか、家事の手を止めてキョロキョロとする。
「こっちですっ!こっち!」
もう一度声をかけると、
老婆はゆっくりとこちらを向く。
棺の中で起き上がっていた私の姿を見つけた次の瞬間、老婆は信じられないものでも見つけたかのように大きく目を見開き、「あっ!」と悲鳴に似た叫び声をあげると、手に持っていたお皿を全部放り投げて一目散にこちらへ駆け寄って来た。
コツコツ と遠くで足音が聞こえてきた。
誰か人がいるらしい。
やがて、ほんのりと香ばしい美味しそうな匂いがしてくる。
どうやらパンを焼いているみたいで思わずお腹がぐぅと鳴った。
懸命に目を開けようとするけど、瞼は接着剤で貼り付けられたかのようにピタリと開かない。
それならば、起き上がってみようと思うけれど、体も石のように固まって思うように動かない。
なんとか体を動かそうとしてもがいて格闘すること数分、
私は細長い箱の中に横たわっている事に気がついた。
私、もしかして、死んじゃって棺桶に入ってるとか?!
待って!待って!私、生きてますからっ!!
お願い! お葬式とかちょっと待って!!待って!! 火葬とかしちゃうのちょっと待って!
全身に冷や汗をかきながら、とにかく渾身の力を振り絞って目を開ける。
突然に飛び込んで来る光の洪水
眩しくて、目の前が真っ白に輝いた…
やがて、瞳が光に慣れてくると、丸太で組まれた天井が視界に入る。
えーと、、ここはどこかしら?
そんな事を考えてると、またパタパタと足音が近くを横切った。
とにかく、起きなくちゃ。
上半身を起こそうとすると、全身の骨がギシギシと軋む音がした。
まるで何年間も横になって寝ていたかのように体が重い。
とにかく必死でなんとか半分起き上がると、
そこは小さな丸太小屋の中だった。
天井も、床も、壁も、全てが木で出来ていて、まるで山小屋のような造りだった。
部屋には小さな暖炉が置かれていて、その暖炉の前には大きなテーブルがあり、そのテーブル上に乗せられた棺。
どうやらその中で、私は眠っていたらしい。
だから、上半身を起こすと、少し目線が高くなり、部屋を見下ろすような格好となった。
目を凝らすと、小柄な老婆が隣の部屋の暖炉の火をかき回したり、かまどの鍋に水を注いだりして、何やら食事の支度をしている。
「あのー、スミマセン……」
私は恐る恐る老婆に声をかける。
でも、老婆は耳が遠いのか、私の声には気がつかない。
「あのぉぉー!すみませぇーぇぇ~ん!!」
さっきよりも声を大にして叫ぶと、
老婆はやっと気がついたのか、家事の手を止めてキョロキョロとする。
「こっちですっ!こっち!」
もう一度声をかけると、
老婆はゆっくりとこちらを向く。
棺の中で起き上がっていた私の姿を見つけた次の瞬間、老婆は信じられないものでも見つけたかのように大きく目を見開き、「あっ!」と悲鳴に似た叫び声をあげると、手に持っていたお皿を全部放り投げて一目散にこちらへ駆け寄って来た。
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