54 / 55
最終章 最強コンビ解散!? ~最後のおにぎりはビビンバ風?~
⑪
しおりを挟む
「おじちゃん、ありがとう! 六原さんのこと、真剣に考えてくれて!」
「いやぁ、いいんだよ! 君の行動力にはあっぱれだ! 会社に乗り込んできて、おにぎりまで握るんだから!」
「だってそうしないと、本気だって伝わらないでしょ!?」
「うむ、そうだな……我々もこの行動力を見習わないといけないな」
周りの大人たちが苦い顔をしながら笑った。
私はボソッと、社長に「ありがとうございます」と感謝を伝える。
「お嬢ちゃん、こちらこそありがとう。いろいろ我慢させてすまなかったね」
「……いえ、あの……嬉しいです。私、転校しなくていいんですね」
「ああ。お嬢ちゃんのお父さんはね、実に将来有望な男なんだ。だから北海道の支店を任せようとしたんだが……それはやめておこう」
お父さんは少し気まずそうにして、頭を掻いた。
え、それって……私のせいでお父さんは、信頼されなくなったってこと?
そんなの……嫌だよ……。
「悲しい顔をしないで、お嬢ちゃん。大丈夫、君のお父さんはこの本社で、まだまだバリバリやってもらうことに決めたんだ」
「え、本当? お父さんのこと、嫌いになったわけじゃないですか?」
「そんなわけないだろ! こんな素敵な娘さんがいて、家族のために頑張ってくれるに違いない!」
なんかよくわからないけど、お父さんに迷惑かけずに済んだのかな?
お父さんは私をギュッと抱きしめて、「これからも家族で、この街に住もう」と言ってくれた。
もちろん……私はこの街が大好きだし、何より、隼斗君と……。
隼斗君と、これからも一緒におにぎりを作っていたい!
「六原さん! 俺と一緒に、日本一のおにぎりを作ろうね!」
「うん!」
隼斗君と喜び合っていると、誰かが「日本一のおにぎりって、具体的には何だろう?」と呟いた。
日本で一番美味しいおにぎりのことで、隼斗君が言った……食べると自然に笑顔になるおにぎりのこと……そう思っていた。
だけどそれって、どうすれば達成したことになるのか。
隼斗君にもその言葉が耳に入ったのか、急に考え込む。
そして、ゆっくりと首を傾げた。
「確かに、日本一のおにぎりって……どうすれば証明されるんだぁ?」
え……隼斗君の中には、具体的な理想像が浮かんでいると思っていた……。
何となく、はっきり聞かないでいたけど、まさか何も考えていないなんて。
私を含めた全員が、ずっこけそうになる。
「いや、美味しくて笑顔になるおにぎりができたら、それはもう日本一のおにぎりかなって思ってた」
なるほど……具体的には決まっていなかったのか。
まあでも、隼斗君らしい考え方だな。
みんなの笑いで包まれている中、社長がアイデアを出す。
「いやぁ、いいんだよ! 君の行動力にはあっぱれだ! 会社に乗り込んできて、おにぎりまで握るんだから!」
「だってそうしないと、本気だって伝わらないでしょ!?」
「うむ、そうだな……我々もこの行動力を見習わないといけないな」
周りの大人たちが苦い顔をしながら笑った。
私はボソッと、社長に「ありがとうございます」と感謝を伝える。
「お嬢ちゃん、こちらこそありがとう。いろいろ我慢させてすまなかったね」
「……いえ、あの……嬉しいです。私、転校しなくていいんですね」
「ああ。お嬢ちゃんのお父さんはね、実に将来有望な男なんだ。だから北海道の支店を任せようとしたんだが……それはやめておこう」
お父さんは少し気まずそうにして、頭を掻いた。
え、それって……私のせいでお父さんは、信頼されなくなったってこと?
そんなの……嫌だよ……。
「悲しい顔をしないで、お嬢ちゃん。大丈夫、君のお父さんはこの本社で、まだまだバリバリやってもらうことに決めたんだ」
「え、本当? お父さんのこと、嫌いになったわけじゃないですか?」
「そんなわけないだろ! こんな素敵な娘さんがいて、家族のために頑張ってくれるに違いない!」
なんかよくわからないけど、お父さんに迷惑かけずに済んだのかな?
お父さんは私をギュッと抱きしめて、「これからも家族で、この街に住もう」と言ってくれた。
もちろん……私はこの街が大好きだし、何より、隼斗君と……。
隼斗君と、これからも一緒におにぎりを作っていたい!
「六原さん! 俺と一緒に、日本一のおにぎりを作ろうね!」
「うん!」
隼斗君と喜び合っていると、誰かが「日本一のおにぎりって、具体的には何だろう?」と呟いた。
日本で一番美味しいおにぎりのことで、隼斗君が言った……食べると自然に笑顔になるおにぎりのこと……そう思っていた。
だけどそれって、どうすれば達成したことになるのか。
隼斗君にもその言葉が耳に入ったのか、急に考え込む。
そして、ゆっくりと首を傾げた。
「確かに、日本一のおにぎりって……どうすれば証明されるんだぁ?」
え……隼斗君の中には、具体的な理想像が浮かんでいると思っていた……。
何となく、はっきり聞かないでいたけど、まさか何も考えていないなんて。
私を含めた全員が、ずっこけそうになる。
「いや、美味しくて笑顔になるおにぎりができたら、それはもう日本一のおにぎりかなって思ってた」
なるほど……具体的には決まっていなかったのか。
まあでも、隼斗君らしい考え方だな。
みんなの笑いで包まれている中、社長がアイデアを出す。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
【完結】知られてはいけない
ひなこ
児童書・童話
中学一年の女子・遠野莉々亜(とおの・りりあ)は、黒い封筒を開けたせいで仮想空間の学校へ閉じ込められる。
他にも中一から中三の男女十五人が同じように誘拐されて、現実世界に帰る一人になるために戦わなければならない。
登録させられた「あなたの大切なものは?」を、互いにバトルで当てあって相手の票を集めるデスゲーム。
勝ち残りと友情を天秤にかけて、ゲームは進んでいく。
一つ年上の男子・加川準(かがわ・じゅん)は敵か味方か?莉々亜は果たして、元の世界へ帰ることができるのか?
心理戦が飛び交う、四日間の戦いの物語。
<第2回きずな児童書大賞にて奨励賞を受賞しました>
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
たかが、恋
水野七緒
児童書・童話
「恋愛なんてバカみたい」──日頃からそう思っている中学1年生の友香(ともか)。それなのに、クラスメイトの間中(まなか)くんに頼みこまれて「あるお願い」を引き受けることに。そのお願いとは、恋愛に関すること。初恋もまだの彼女に、果たしてその役目はつとまるのか?

こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

こちら御神楽学園心霊部!
緒方あきら
児童書・童話
取りつかれ体質の主人公、月城灯里が霊に憑かれた事を切っ掛けに心霊部に入部する。そこに数々の心霊体験が舞い込んでくる。事件を解決するごとに部員との絆は深まっていく。けれど、彼らにやってくる心霊事件は身の毛がよだつ恐ろしいものばかりで――。
灯里は取りつかれ体質で、事あるごとに幽霊に取りつかれる。
それがきっかけで学校の心霊部に入部する事になったが、いくつもの事件がやってきて――。
。
部屋に異音がなり、主人公を怯えさせる【トッテさん】。
前世から続く呪いにより死に導かれる生徒を救うが、彼にあげたお札は一週間でボロボロになってしまう【前世の名前】。
通ってはいけない道を通り、自分の影を失い、荒れた祠を修復し祈りを捧げて解決を試みる【竹林の道】。
どこまでもついて来る影が、家まで辿り着いたと安心した主人公の耳元に突然囁きかけてさっていく【楽しかった?】。
封印されていたものを解き放つと、それは江戸時代に封じられた幽霊。彼は門吉と名乗り主人公たちは土地神にするべく扱う【首無し地蔵】。
決して話してはいけない怪談を話してしまい、クラスメイトの背中に危険な影が現れ、咄嗟にこの話は嘘だったと弁明し霊を払う【嘘つき先生】。
事故死してさ迷う亡霊と出くわしてしまう。気付かぬふりをしてやり過ごすがすれ違い様に「見えてるくせに」と囁かれ襲われる【交差点】。
ひたすら振返らせようとする霊、駅まで着いたがトンネルを走る窓が鏡のようになり憑りついた霊の禍々しい姿を見る事になる【うしろ】。
都市伝説の噂を元に、エレベーターで消えてしまった生徒。記憶からさえもその存在を消す神隠し。心霊部は総出で生徒の救出を行った【異世界エレベーター】。
延々と名前を問う不気味な声【名前】。
10の怪異譚からなる心霊ホラー。心霊部の活躍は続いていく。
ホントのキモチ!
望月くらげ
児童書・童話
中学二年生の凜の学校には人気者の双子、樹と蒼がいる。
樹は女子に、蒼は男子に大人気。凜も樹に片思いをしていた。
けれど、大人しい凜は樹に挨拶すら自分からはできずにいた。
放課後の教室で一人きりでいる樹と出会った凜は勢いから告白してしまう。
樹からの返事は「俺も好きだった」というものだった。
けれど、凜が樹だと思って告白したのは、蒼だった……!
今さら間違いだったと言えず蒼と付き合うことになるが――。
ホントのキモチを伝えることができないふたり(さんにん?)の
ドキドキもだもだ学園ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる