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最終章 最強コンビ解散!? ~最後のおにぎりはビビンバ風?~
⑩
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「こんなに若くから、自分が極めたい道を見つけられるなんて、本当に幸せなことなんだ。だから君は、より多くの人にこのおにぎりを食べてもらいなさい」
隼斗君も社長の言葉を大切に聞いている。
声を出さずに、ゆっくり頷いた。
社長は言葉をやめない。
今度は私の方に顔を向けて話し出した。
「そして、お嬢ちゃん。会社のせいで、転校させてしまうなんて……本当に申し訳ないねぇ」
「……はい」
「君と少年の連携プレーは、見ていて感動を覚えるほどだったよ」
「あ、ありがとうございます」
見ると、お父さんも嬉しそうに頭を下げている。
褒められたの、私と隼斗君なんだけど……。
「この少年の夢には、君の存在も必要だということだね?」
隼斗君は「そうだよ!」と大きく答えた。
私が答える番なのに、奪われてしまった。
「うーむ……こんな小さな子供たちが、私たちには掲げることができない立派な夢を持っている……」
社長は近くのイスに座り、独り言のように声を出しながら考え始めた。
何をぶつぶつ言っているんだろう。
おかしくて首を傾げていると、「うん、そうだな!」と言って社長は立ち上がった。
次はお父さんに向けて話し出す。
「六原君! 君の家庭のことを考えずに今回の異動を出してしまい、大変申し訳なかった!」
お父さんに向かって、社長は深々と頭を下げている。
社長がお父さんに?
お父さんは「社長、やめてください!」と言いながらあたふたしている。
社長は顔を上げると、深刻な顔に変わっていた。
「私は……小さな夢を奪うところだった。二人には、もっと夢を楽しんでもらいたいんだ……」
私と隼斗君は目を見合わせて、お互いに目をパチパチさせた。
それって……もしかして……。
「六原君、君の転勤はなかったことにしてくれ! これまで通り、本社であるこの場所で、力を発揮してほしい!」
社長はニコッと笑った。
そしてお父さんにハッキリと告げる。
……転校、しなくていいの?
お父さんは頭を下げ返して「かしこまりました!」と答えた。
私……また隼斗君と、おにぎりが作られる?
「六原さん、やったよ! これからもおにぎりが作れるぞ!」
隼斗君に手を握られる。
え、私たちの想いが……社長に通じたってこと!?
私は言葉が出なかった。
周りを囲んでいたみんなが、喜びながら拍手を始める。
お父さんは私に向かって「サヤ! やったな!」と喜んだ。
想いが届いた達成感がすぐに伝わってきて……気がつくと涙が流れてきた。
私の願いは、隼斗君の夢である、日本一のおにぎり作りを支えること。
その夢がここで終わろうとしていた。
でも、想いが伝わったんだ。
隼斗君は握っていた私の手を離して、今度は社長に言葉をかけようとした。
隼斗君も社長の言葉を大切に聞いている。
声を出さずに、ゆっくり頷いた。
社長は言葉をやめない。
今度は私の方に顔を向けて話し出した。
「そして、お嬢ちゃん。会社のせいで、転校させてしまうなんて……本当に申し訳ないねぇ」
「……はい」
「君と少年の連携プレーは、見ていて感動を覚えるほどだったよ」
「あ、ありがとうございます」
見ると、お父さんも嬉しそうに頭を下げている。
褒められたの、私と隼斗君なんだけど……。
「この少年の夢には、君の存在も必要だということだね?」
隼斗君は「そうだよ!」と大きく答えた。
私が答える番なのに、奪われてしまった。
「うーむ……こんな小さな子供たちが、私たちには掲げることができない立派な夢を持っている……」
社長は近くのイスに座り、独り言のように声を出しながら考え始めた。
何をぶつぶつ言っているんだろう。
おかしくて首を傾げていると、「うん、そうだな!」と言って社長は立ち上がった。
次はお父さんに向けて話し出す。
「六原君! 君の家庭のことを考えずに今回の異動を出してしまい、大変申し訳なかった!」
お父さんに向かって、社長は深々と頭を下げている。
社長がお父さんに?
お父さんは「社長、やめてください!」と言いながらあたふたしている。
社長は顔を上げると、深刻な顔に変わっていた。
「私は……小さな夢を奪うところだった。二人には、もっと夢を楽しんでもらいたいんだ……」
私と隼斗君は目を見合わせて、お互いに目をパチパチさせた。
それって……もしかして……。
「六原君、君の転勤はなかったことにしてくれ! これまで通り、本社であるこの場所で、力を発揮してほしい!」
社長はニコッと笑った。
そしてお父さんにハッキリと告げる。
……転校、しなくていいの?
お父さんは頭を下げ返して「かしこまりました!」と答えた。
私……また隼斗君と、おにぎりが作られる?
「六原さん、やったよ! これからもおにぎりが作れるぞ!」
隼斗君に手を握られる。
え、私たちの想いが……社長に通じたってこと!?
私は言葉が出なかった。
周りを囲んでいたみんなが、喜びながら拍手を始める。
お父さんは私に向かって「サヤ! やったな!」と喜んだ。
想いが届いた達成感がすぐに伝わってきて……気がつくと涙が流れてきた。
私の願いは、隼斗君の夢である、日本一のおにぎり作りを支えること。
その夢がここで終わろうとしていた。
でも、想いが伝わったんだ。
隼斗君は握っていた私の手を離して、今度は社長に言葉をかけようとした。
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