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最終章 最強コンビ解散!? ~最後のおにぎりはビビンバ風?~

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「こんなに若くから、自分が極めたい道を見つけられるなんて、本当に幸せなことなんだ。だから君は、より多くの人にこのおにぎりを食べてもらいなさい」

 隼斗君も社長の言葉を大切に聞いている。
 声を出さずに、ゆっくり頷いた。
 社長は言葉をやめない。
 今度は私の方に顔を向けて話し出した。

「そして、お嬢ちゃん。会社のせいで、転校させてしまうなんて……本当に申し訳ないねぇ」
「……はい」
「君と少年の連携プレーは、見ていて感動を覚えるほどだったよ」
「あ、ありがとうございます」

 見ると、お父さんも嬉しそうに頭を下げている。
 褒められたの、私と隼斗君なんだけど……。

「この少年の夢には、君の存在も必要だということだね?」

 隼斗君は「そうだよ!」と大きく答えた。
 私が答える番なのに、奪われてしまった。

「うーむ……こんな小さな子供たちが、私たちには掲げることができない立派な夢を持っている……」

 社長は近くのイスに座り、独り言のように声を出しながら考え始めた。
 何をぶつぶつ言っているんだろう。
 おかしくて首を傾げていると、「うん、そうだな!」と言って社長は立ち上がった。
 次はお父さんに向けて話し出す。

「六原君! 君の家庭のことを考えずに今回の異動を出してしまい、大変申し訳なかった!」

 お父さんに向かって、社長は深々と頭を下げている。
 社長がお父さんに?
 お父さんは「社長、やめてください!」と言いながらあたふたしている。
 社長は顔を上げると、深刻な顔に変わっていた。

「私は……小さな夢を奪うところだった。二人には、もっと夢を楽しんでもらいたいんだ……」

 私と隼斗君は目を見合わせて、お互いに目をパチパチさせた。
 それって……もしかして……。

「六原君、君の転勤はなかったことにしてくれ! これまで通り、本社であるこの場所で、力を発揮してほしい!」

 社長はニコッと笑った。
 そしてお父さんにハッキリと告げる。
 ……転校、しなくていいの?
 お父さんは頭を下げ返して「かしこまりました!」と答えた。

 私……また隼斗君と、おにぎりが作られる?

「六原さん、やったよ! これからもおにぎりが作れるぞ!」

 隼斗君に手を握られる。
 え、私たちの想いが……社長に通じたってこと!?
 私は言葉が出なかった。

 周りを囲んでいたみんなが、喜びながら拍手を始める。
 お父さんは私に向かって「サヤ! やったな!」と喜んだ。
 想いが届いた達成感がすぐに伝わってきて……気がつくと涙が流れてきた。

 私の願いは、隼斗君の夢である、日本一のおにぎり作りを支えること。
 その夢がここで終わろうとしていた。

 でも、想いが伝わったんだ。
 隼斗君は握っていた私の手を離して、今度は社長に言葉をかけようとした。
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