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最終章 最強コンビ解散!? ~最後のおにぎりはビビンバ風?~
⑧
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ボウルの中で、野菜もお肉もお米も、全てが混ぜ合わさっていく。
コチュジャンが広がっていく様子を、私は隣で見ていた。
いつも焼肉屋で寿矢が食べるようなビビンバだ……ビビンバって、こうやって作るんだ……。
しゃもじを使って豪快に混ぜていく隼斗君は……混ぜながら笑っていた。
そして、笑顔を崩さないまま手にビニール手袋をつけた。
「はい、六原さん! 六原さんもつけて!」
私もつけるのか……私はあと、何を手伝えばいいのかな。
「六原さん! 今日は六原さんが握ってよ!」
「え、私が!?」
「うん! 六原さんのおにぎりだって、俺と同じくらい美味しくて美しいはずだよ! だって、ずっと一緒にやってきたんだからね!」
……私に、握れるのかなぁ。
隼斗君のおにぎりのように、綺麗な形に握れるか、不安だ。
だけど今日は、お父さんや社長さんに食べてもらうためのおにぎり……。
私が握らないと、説得力がないもんね。
「わかった! 私、握ってみる!」
あとは握るだけ。
あとは握るだけで、このおにぎりは完成する。
味付けはきっと完璧だろう。だって、隼斗君が作ったんだもん。
あとは、私が魂を込めるだけ。
しゃもじで一人前分のビビンバを手にのせる。
まだまだ熱々だけど……これくらいは平気だ。
私の小さな手で、三角を作っていった。
徐々に三角のおにぎりに形づいていって、あっという間に一人前が完成した。
「六原さん、その調子だ! どんどん握っていこう! 俺は海苔を巻いていくね!」
隼斗君が巻いているのは、韓国海苔かな? 豚キムチーズのおにぎりを作った時と、同じ海苔を使っている気がする。
三角のおにぎりを包むように巻いていった。
よーし、私もどんどん握っていこう。
意外と量がある。これ、十個くらいになりそうだな。
気がつくと、私も隼斗君のように……笑顔になっていた。
おにぎりを握るのって……こんなに楽しいの?
次々完成されていくおにぎりを見ていたら、まるで宙に浮いているみたいにフワフワしてきて……この時間をずっと過ごしていたいと思えた。
隼斗君はこの喜びを、ずっと感じていたんだね……。
「完成した……」
結局十五個くらいになった。私は達成感のあまり、小さく声を出してしまった。
ビビンバ風おにぎり……作ったのは隼斗君だけど、握ったのは私。
最後に海苔を巻いてくれた隼斗君は、出来上がったおにぎりを見て、拍手した。
「六原さん、パーフェクトだよ! 形も大きさも完璧!」
「隼斗君、ありがとう。ほとんど隼斗君が作ったんだけどね」
隼斗君は「いいや、これは六原さんの力だ!」と手を握って喜ぶ。
そしておにぎりがのった大皿を持ってお決まりのセリフを叫んだ。
「ビビンバ風おにぎり、いっちょあがり!」
コチュジャンが広がっていく様子を、私は隣で見ていた。
いつも焼肉屋で寿矢が食べるようなビビンバだ……ビビンバって、こうやって作るんだ……。
しゃもじを使って豪快に混ぜていく隼斗君は……混ぜながら笑っていた。
そして、笑顔を崩さないまま手にビニール手袋をつけた。
「はい、六原さん! 六原さんもつけて!」
私もつけるのか……私はあと、何を手伝えばいいのかな。
「六原さん! 今日は六原さんが握ってよ!」
「え、私が!?」
「うん! 六原さんのおにぎりだって、俺と同じくらい美味しくて美しいはずだよ! だって、ずっと一緒にやってきたんだからね!」
……私に、握れるのかなぁ。
隼斗君のおにぎりのように、綺麗な形に握れるか、不安だ。
だけど今日は、お父さんや社長さんに食べてもらうためのおにぎり……。
私が握らないと、説得力がないもんね。
「わかった! 私、握ってみる!」
あとは握るだけ。
あとは握るだけで、このおにぎりは完成する。
味付けはきっと完璧だろう。だって、隼斗君が作ったんだもん。
あとは、私が魂を込めるだけ。
しゃもじで一人前分のビビンバを手にのせる。
まだまだ熱々だけど……これくらいは平気だ。
私の小さな手で、三角を作っていった。
徐々に三角のおにぎりに形づいていって、あっという間に一人前が完成した。
「六原さん、その調子だ! どんどん握っていこう! 俺は海苔を巻いていくね!」
隼斗君が巻いているのは、韓国海苔かな? 豚キムチーズのおにぎりを作った時と、同じ海苔を使っている気がする。
三角のおにぎりを包むように巻いていった。
よーし、私もどんどん握っていこう。
意外と量がある。これ、十個くらいになりそうだな。
気がつくと、私も隼斗君のように……笑顔になっていた。
おにぎりを握るのって……こんなに楽しいの?
次々完成されていくおにぎりを見ていたら、まるで宙に浮いているみたいにフワフワしてきて……この時間をずっと過ごしていたいと思えた。
隼斗君はこの喜びを、ずっと感じていたんだね……。
「完成した……」
結局十五個くらいになった。私は達成感のあまり、小さく声を出してしまった。
ビビンバ風おにぎり……作ったのは隼斗君だけど、握ったのは私。
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「六原さん、パーフェクトだよ! 形も大きさも完璧!」
「隼斗君、ありがとう。ほとんど隼斗君が作ったんだけどね」
隼斗君は「いいや、これは六原さんの力だ!」と手を握って喜ぶ。
そしておにぎりがのった大皿を持ってお決まりのセリフを叫んだ。
「ビビンバ風おにぎり、いっちょあがり!」
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