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最終章 最強コンビ解散!? ~最後のおにぎりはビビンバ風?~

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「すいません、三十五階に六原 龍一りゅういちが在籍している会社があると思うのですが……」

 入口にある受付のお姉さんは、ニッコリと微笑みながら調べてくれた。
 お化粧バッチリで、目が大きな大人のお姉さん。すごく美人で羨ましい……。

「あ、三十五階のマツキナ商事にご在籍しておりますね。ご用件は?」
「あ、え、えーと……私、六原 サヤと言いまして、龍一は私の父です。あ、あの……もう一人男の子、来ませんでした?」

 お姉さんは隣に座っているもう一人のお姉さんに耳打ちする。
 隣のお姉さんは首を一回だけ縦に振った。

「あ、来たみたいですよ。何かおにぎりを握りにきたとか……」
「そ、その子、私のクラスメイトです! 私の父の会社に、おにぎりを作りにいく約束をしていて」

 お姉さんは困ったように首を傾げて「なるほど……」と小さく呟いた。
 これ説明難しいな……隼斗君はどうして会社に入れたんだろう。

「とにかく、お父さんの会社に行かないといけないんです」

 真面目な表情でお姉さんを見つめると、お姉さんは受話器を持ち上げた。
 どうやら、お父さんの会社に電話してくれているみたい。
 お姉さんは少し話しただけで、すぐに受話器を置いた。

「上がっても大丈夫ですって! 三十五階で待ってるって、お父様が」
「本当ですか!? ありがとうございます!」

 話が早くて助かった……。
 たくさんあるエレベーターから、三十五階まで行けるエレベーターを探して乗った。
 こんなに高いビルに入ったことないから、緊張しちゃうな……。

 チンッという音の後に、扉が開く。
 目の前にマツキナ商事が広がると、入り口にお父さんと隼斗君の姿があった。
 ヤバい、お父さん、怒ってるかな……。

「サヤ、よく来たな」
「お父さん、ごめんなさい……」
「いいや、隼斗君から事情は聞いたよ。サヤ、本当は転校が嫌なのか?」

 隼斗君は私の方を見てくれない。
 そっぽ向けたまま、ちょっと怒っているような顔をしている。

「……嫌っていうか……まだ、この街に居たい気持ちはあるかな……」

 お父さんはつむじを掻きながら「そうだったのか……」と声にした。
 隼斗君、この様子だと、お父さんに噛みついたわけではなさそうだな……。
 なんて言ったんだろう。

「いや、隼斗君が言ったんだよ。サヤがいないと、日本一のおにぎりが作れないって……」
「隼斗君……」
「それほどサヤにも、信頼できる友達ができたってことだよな」

 隼斗君、そんなことお父さんに言ってくれたんだ。
 私のことを、引き留めようとしてくれたのね……。

 お父さんは少し、困っているようだった。
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