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四章 先生の恋にもおにぎりを ~胃袋を掴む、カルボナーラ風ベーコンエッグ~
⑧
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「六原さんもキッチン入って!」
隼斗君だけしかいないキッチンにお邪魔させてもらう。
普通はお父さんの職場でもあるキッチンに、部外者の私が立っていいはずがないと思うけど……それほど隼斗君はお父さんに信頼されているんだな。
お寿司を食べている最中の田尻先生も、その光景はちょっと心配そうだ。
「二人だけでキッチンに入って大丈夫なの?」
「大丈夫! 俺毎日キッチン立ってるから!」
田尻先生は「まぁ、毎日なら大丈夫か」と言ってホッとした。
田尻先生はもうほとんどのお寿司を食べ終わっている。
あとはイクラ軍艦が一貫だけ。
お店の奥から戻ってきたお父さんは隼斗君に耳元で「今日は何使うんだ?」と聞いた。
「えーとね……ベーコンと卵と、それから二種類のチーズと……」
「ああ、あれを作るんだな。いいよ、二階から食材取ってくるから、隼斗たちは準備していなさい」
お父さんが率先して隼斗君が使う食材を取ってきてくれる。
食材を言っただけで、何を作るかわかるんだ……さすがお父さん。
隼斗君はカウンター内にあった炊飯器の中のお米をチェックした。
「よし、まだ白米残ってて良かった」
ラスト一貫も食べ終わった田尻先生は「こんな高級なお寿司、二度と食べられないかもなぁ」とにこやかに呟く。
私もこのお寿司を食べた時、同じ気持ちになった気がする。
みそ汁はまだ残してあるみたい。
隼斗君のおにぎりと食べるのね。
「おい、隼斗。こんなんでいいか?」
「ありがとう父さん! 完璧だよ!」
「オッケー、じゃあ父さんは裏にいるからな。何かあったら呼びなさい」
「はーい!」
隼斗君、これからおにぎり作りに入るみたいだ。
田尻先生も「よく見ておかないと」と言って、立ちながらキッチンの様子を見始める。
「まずはベーコンとスライスチーズを刻みます」
まな板の上で、ベーコンとスライスチーズを切り始める隼斗君。
隼斗君、包丁の使い方にも慣れているんだ……最初は心配そうにしていた田尻先生も、すぐに安心できていた。
「六原さんは、そこにあるものを全部混ぜておいて!」
「あ、これね! わかった!」
よし、私にも仕事がきた。
えーと、指差された場所にあったのは……卵と牛乳と、砂糖か……。
牛乳と砂糖はどれくらい入れればいいんだろう?
「牛乳は大さじ一杯半くらい、砂糖はひとつまみでいいよ!」
あ、計量スプーンも用意してくれているんだ。さすがお父さん!
銀色のボウルの中に牛乳と砂糖、そして卵を一つ割って混ぜていった。
途中で隼斗君が細かく刻まれたスライスチーズを追加する。
「よし! 六原さん、ありがとう! 今日はこれを使って、カルボナーラ風ベーコンエッグおにぎりを作っていくよ!」
うわ、聞いただけで美味しそう。
田尻先生は目を丸くさせながら「おしゃれなおにぎりねぇ」という声を漏らした。
隼斗君はフライパンを取り出して、サラダ油を投入した。
次は炒めていくのね。
隼斗君だけしかいないキッチンにお邪魔させてもらう。
普通はお父さんの職場でもあるキッチンに、部外者の私が立っていいはずがないと思うけど……それほど隼斗君はお父さんに信頼されているんだな。
お寿司を食べている最中の田尻先生も、その光景はちょっと心配そうだ。
「二人だけでキッチンに入って大丈夫なの?」
「大丈夫! 俺毎日キッチン立ってるから!」
田尻先生は「まぁ、毎日なら大丈夫か」と言ってホッとした。
田尻先生はもうほとんどのお寿司を食べ終わっている。
あとはイクラ軍艦が一貫だけ。
お店の奥から戻ってきたお父さんは隼斗君に耳元で「今日は何使うんだ?」と聞いた。
「えーとね……ベーコンと卵と、それから二種類のチーズと……」
「ああ、あれを作るんだな。いいよ、二階から食材取ってくるから、隼斗たちは準備していなさい」
お父さんが率先して隼斗君が使う食材を取ってきてくれる。
食材を言っただけで、何を作るかわかるんだ……さすがお父さん。
隼斗君はカウンター内にあった炊飯器の中のお米をチェックした。
「よし、まだ白米残ってて良かった」
ラスト一貫も食べ終わった田尻先生は「こんな高級なお寿司、二度と食べられないかもなぁ」とにこやかに呟く。
私もこのお寿司を食べた時、同じ気持ちになった気がする。
みそ汁はまだ残してあるみたい。
隼斗君のおにぎりと食べるのね。
「おい、隼斗。こんなんでいいか?」
「ありがとう父さん! 完璧だよ!」
「オッケー、じゃあ父さんは裏にいるからな。何かあったら呼びなさい」
「はーい!」
隼斗君、これからおにぎり作りに入るみたいだ。
田尻先生も「よく見ておかないと」と言って、立ちながらキッチンの様子を見始める。
「まずはベーコンとスライスチーズを刻みます」
まな板の上で、ベーコンとスライスチーズを切り始める隼斗君。
隼斗君、包丁の使い方にも慣れているんだ……最初は心配そうにしていた田尻先生も、すぐに安心できていた。
「六原さんは、そこにあるものを全部混ぜておいて!」
「あ、これね! わかった!」
よし、私にも仕事がきた。
えーと、指差された場所にあったのは……卵と牛乳と、砂糖か……。
牛乳と砂糖はどれくらい入れればいいんだろう?
「牛乳は大さじ一杯半くらい、砂糖はひとつまみでいいよ!」
あ、計量スプーンも用意してくれているんだ。さすがお父さん!
銀色のボウルの中に牛乳と砂糖、そして卵を一つ割って混ぜていった。
途中で隼斗君が細かく刻まれたスライスチーズを追加する。
「よし! 六原さん、ありがとう! 今日はこれを使って、カルボナーラ風ベーコンエッグおにぎりを作っていくよ!」
うわ、聞いただけで美味しそう。
田尻先生は目を丸くさせながら「おしゃれなおにぎりねぇ」という声を漏らした。
隼斗君はフライパンを取り出して、サラダ油を投入した。
次は炒めていくのね。
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