上 下
27 / 55
三章 クラスメイトは幼馴染 ~勇気が出る、鮭ときのこのバター焼きおにぎり~

しおりを挟む
「それじゃ早速! 始めよっか!」

 手洗いうがいも完璧。ひと息つく間もなく、すぐにキッチンに行く。
 さっきまでキッチンの中にいたお母さんは、ダイニングテーブルに座っている。
 場所を隼斗君に譲ってくれたみたいだ。

「隼斗、火だけ気をつけてね」
「わかってるよ!」

 キッチンには、すでに食材が用意されてあった。
 あらかじめお母さんが用意してくれてたんだ。
 隼斗君のおにぎり作り、みんなが応援してるんだなぁ……。
 私も頑張らないと!

「今日使う食材はこれだ! あ、六原さん、動画撮っといて!」
「あ、そうだね!」

 私はスマホのカメラを起動して、動画モードにした。
 オッケーの合図を送ると、仕切り直して隼斗君が話し出した。

「今日使う食材は、鮭フレークとしめじ。あとは調味料たちです。詳しい分量は後でケイタ君にレシピも送ります!」

 なんか、料理番組でよく見る料理家みたいな話し方になっている。
 ちょっとその口調が面白く思えた。
 私は隼斗君の手元を撮るようにカメラを向けている。
 今日のアシスタント業務は、カメラマンということか……。

「まずは調味料を作っていくね!」

 味噌と……これは料理酒? かな?
 あとはみりんと醤油、そしてバター……結構たくさん出てくるな。

「味噌は大さじ三杯、みりんは大さじ一杯、醤油は小さじ二杯、料理酒は小さじ一杯……」

 ボソボソと呟きながら、調味料を透明なガラスボウルに入れて混ぜていく。
 味噌の良い香り……良い感じに混ざり合うまで時間はそうかからない。
 そのボウルの中に、瓶の中に入った鮭フレークを大胆に入れ込んだ。そしてしめじも。

「しめじは細かくほぐしてね。おにぎりの中に入れるから食べやすい大きさに」

 鮭フレークとしめじという具材が入った合わせ調味料を再び混ぜる。
 ちょっと濃そうだけど、大丈夫かな……?

「よし、それじゃ本番だ。これを米に混ぜていくよ!」

 あ、今回も混ぜご飯にしてから握るのか。
 これぞ隼斗君の真骨頂だ。
 炊飯器の中の熱々ご飯を丼の中に盛って、軽やかに運んでくる。

 隼斗君は真っ白なご飯の中に、混ぜ合わせたボウルの中の具材を全部入れた。
 しゃもじで、全体に味がなじむように激しく混ぜる。
 隼斗君のおにぎりは、混ぜるという工程が多い。それが隼斗君のおにぎりの特徴だ。

 ご飯の中に、鮭やしめじ、そして醤油や味噌の色がバランスよく染み込まれていた。
 隼斗君の「こんな感じかな!」という声も、しっかり動画に入っている。

「じゃあこれを握っていくよー!」

 今回もサクサク進むなぁ……。
 やっぱり隼斗君が教えてくれるおにぎりは簡単でわかりやすい。
 いつものようにビニール手袋をつけて握っていく。
 今回私はカメラ係なので、手袋は不要のようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜

泉南佳那
恋愛
植田奈月27歳 総務部のマドンナ × 島内亮介28歳 営業部のエース ******************  繊維メーカーに勤める奈月は、7年間付き合った彼氏に振られたばかり。  亮介は元プロサッカー選手で会社でNo.1のイケメン。  会社の帰り道、自転車にぶつかりそうになり転んでしまった奈月を助けたのは亮介。  彼女を食事に誘い、東京タワーの目の前のラグジュアリーホテルのラウンジへ向かう。  ずっと眠れないと打ち明けた奈月に  「なあ、俺を睡眠薬代わりにしないか?」と誘いかける亮介。  「ぐっすり寝かせてあけるよ、俺が。つらいことなんかなかったと思えるぐらい、頭が真っ白になるまで甘やかして」  そうして、一夜の過ちを犯したふたりは、その後…… ******************  クールな遊び人と思いきや、実は超熱血でとっても一途な亮介と、失恋拗らせ女子奈月のじれじれハッピーエンド・ラブストーリー(^▽^) 他サイトで、中短編1位、トレンド1位を獲得した作品です❣️

サビアンシンボルのタロット詩集、ときどき英文読解

都築よう子
児童書・童話
サビアンシンボルは、占星学と霊性的な成長に関連する一連の象徴的なイメージです。これらのシンボルは、宇宙のメッセージや導きを受け取るためのツールとして使用されることがあります。また、タロットカードも占いや霊的な瞑想のために使用される道具であり、各カードには固有の象徴があります。 サビアンシンボルとタロットカードを組み合わせて、ジョークと照らし合わせながら詩を書くことは、霊的な啓示や洞察を得るための深い表現の手段として楽しむことができます。 時々気まぐれで、猫でもわかる英文読解をしたりして、人生を楽しむ勉強をしています。 《サビアンシンボルに関する日本語WEBサイト》 ☆さくっとホロスコープ作成 http://nut.sakura.ne.jp/wheel/sabian.html ☆松村潔のページ http://matsukiyo.sakura.ne.jp/sabiantxt.html ☆sabian symbol http://www.246.ne.jp/~apricot/sabian/sabianfr.html ☆すたくろ https://sutakuro.com/sabianhome1/ ☆絵でわかるサビアンシンボル占星術 https://sabianimage.link/ ☆心理占星術研究会 http://astro-psycho.jugem.jp/?cid=18 ☆サビアンシンボルとは?ー星読みテラス https://sup.andyou.jp/hoshi/category/sabian-symbol/ ☆ サビアンシンボル<一覧> https://heart-art.co/list-of-savian-symbols/ 《サビアンシンボルに関する英語WEBサイト》 ★Sabian Assembly https://sabian.org/sabian_philosophy.php ★The Sabian Symbols http://www.mindfire.ca/An%20Astrological%20Mandala/An%20Astrological%20Mandala%20-%20Contents.htm ★Sabian Symbols https://sabiansymbols.com/the-sabian-symbols-story/

異世界子ども食堂:通り魔に襲われた幼稚園児を助けようとして殺されたと思ったら異世界に居た。

克全
児童書・童話
両親を失い子ども食堂のお世話になっていた田中翔平は、通り魔に襲われていた幼稚園児を助けようとして殺された。気がついたら異世界の教会の地下室に居て、そのまま奴隷にされて競売にかけられた。幼稚園児たちを助けた事で、幼稚園の経営母体となっている稲荷神社の神様たちに気に入られて、隠しスキルと神運を手に入れていた田中翔平は、奴隷移送用馬車から逃げ出し、異世界に子ども食堂を作ろうと奮闘するのであった。

その付喪神、鑑定します!

陽炎氷柱
児童書・童話
『彼女の”みる目”に間違いはない』 七瀬雪乃は、骨董品が大好きな女の子。でも、生まれたときから”物”に宿る付喪神の存在を見ることができたせいで、小学校ではいじめられていた。付喪神は大好きだけど、普通の友達も欲しい雪乃は遠い私立中学校に入ることに。 今度こそ普通に生活をしようと決めたのに、入学目前でトラブルに巻き込まれて”力”を使ってしまった。しかもよりによって助けた男の子たちが御曹司で学校の有名人! 普通の生活を送りたい雪乃はこれ以上関わりたくなかったのに、彼らに学校で呼び出されてしまう。 「俺たちが信頼できるのは君しかいない」って、私の”力”で大切な物を探すの!?

わたしの師匠になってください! ―お師匠さまは落ちこぼれ魔道士?―

島崎 紗都子
児童書・童話
「師匠になってください!」 落ちこぼれ無能魔道士イェンの元に、突如、ツェツイーリアと名乗る少女が魔術を教えて欲しいと言って現れた。ツェツイーリアの真剣さに負け、しぶしぶ彼女を弟子にするのだが……。次第にイェンに惹かれていくツェツイーリア。彼女の真っ直ぐな思いに戸惑うイェン。何より、二人の間には十二歳という歳の差があった。そして、落ちこぼれと皆から言われてきたイェンには、隠された秘密があって──。

ケイちゃんがゆく!

楠乃小玉
児童書・童話
タケシくんをとてもかわいがってくれていたケイイチロウおじいちゃんがちほうしょうという病気に かかってしまい、お父さんとお母さんがかいごのためにおじいちゃんの広い家に住むことになりました。 おじいちゃんはボケてしまっていたので、自分のことをケイたんと呼んでいました。 そして、タケシくんにそっとヒミツの話しをしてくれたのです。 ケイたんは実は精霊の国からやってきた地霊だったのです。 そのヒミツを知ってからというもの、タケシ君はケイたんと一緒にいっぱい、いっぱい、遊びました。 そして、しばらくしておじいさんは亡くなってしまいました。 タケシくんはいっぱい、いっぱい、泣きました。 でも、悲しむことはありません。 ケイたんは、本当の姿、お尻にウサギのふわふわの尻尾がついた地霊の姿で、タケシくんの前に ふたたびあらわれたのです。

JS美少女戦士セーラーゴールド(小学生戦士) (一般作)

ヒロイン小説研究所
児童書・童話
セーラー服姿の私立学校小学六年生の鬼頭凜、地域のチアリーディングをやっていて小学生のリーダー、活発で聡明、ロングの髪の毛で、顔立ちの整った、大人びた美人だ。ある日、黒猫を虐めている不良生と会い、ピンチになったところで、悪魔の世界から抜け出してきた黒猫と契約をする。将来、結婚をするならヒロインに変身させてくれるというのだ。鬼頭凜もヒロイン増に条件を出して、その場を切り抜けるために承諾してしまった。ここに、小学生ヒロインが誕生した。

落ちこぼれ魔女・火花の魔法改革!〜孤独なマーメイドと海の秘宝〜

朱宮あめ
児童書・童話
火花は天真爛漫な魔女の女の子。 幼なじみでしっかり者のノアや、臆病だけど心優しい親友のドロシー、高飛車なダリアンたちと魔法学校で立派な魔女を目指していた。 あるとき、授業の一環で魔女にとって魔法を使うための大切な燃料『星の原石』を探しに行くことに。 火花とドロシーが選んだのは、海の中にある星の原石。 早速マーメイドになって海の中を探検しながら星の原石を探していると、火花は不思議な声を聴く。 美しくも悲しい歌声に、火花は吸い寄せられるように沈没船へ向かう。 かくして声の主は、海の王国アトランティカのマーメイドプリンセス・シュナであった。 しかし、シュナの声をドロシーは聴くことができず、火花だけにしか届かないことが発覚。 わけを聞くと、シュナは幼い頃、海の魔女・グラアナに声を奪われてしまったのだという。 それを聞いた火花は、グラアナからシュナの声を取り戻そうとする。 海の中を探して、ようやくグラアナと対峙する火花。 しかし話を聞くと、グラアナにも悲しい過去があって……。 果たして、火花はシュナの声を取り戻すことができるのか!? 家族、学校、友達、恋! どんな問題も、みんなで力を合わせて乗り越えてみせます! 魔女っ子火花の奇想天外な冒険譚、ここに誕生!!

処理中です...