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三章 クラスメイトは幼馴染 ~勇気が出る、鮭ときのこのバター焼きおにぎり~
④
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「決めたっ! 今回は焼きおにぎりにしよう! しかも鮭ときのこのバター焼きおにぎりだ!」
うわ、何それ? 鮭ときのこ? しかもバター焼きおにぎり?
名前だけでも贅沢なのがわかる。
焼きおにぎり、私大好きなんだよなぁ……。
「六原さん! そうと決まれば、早速作業開始だ!」
「え、今から!?」
「当たり前だろ! 完璧な状態でケイタ君に教えたいじゃん!」
そりゃあそうだけど……。
でも具材は? また松本さんに頼むの?
というか、そろそろ帰りたいんだけど……。
困った顔で隼斗君を見ていると、私の表情に気づいた隼斗君はすぐに謝ってきた。
「あ! ごめんごめん! ついテンションが上がっちゃって! いくら何でも今からはやり過ぎか!」
「そ、そうだね……食材も揃ってないだろうし……」
「確かに! 六原さんの言う通りだね!」
隼斗君はちょっと寂しそうだった。
今回はしょうがない。もうすでに一個目のおにぎりを作っているんだから。
「あ、じゃあさ! 明日の放課後、俺の家で作業しよう!」
「隼斗君の家で?」
「ああ! ウチなら松本さんに頼まなくても食材あるしさ!」
「お店は? 大丈夫なの?」
「店じゃなくて二階のキッチンでやるんだ! 店は父さんが働いてて忙しいから!」
なるほど……家のキッチンを使うのか。
それなら松本さんに迷惑もかからないし、悪くないけど……。
「私がお邪魔して、迷惑じゃないの?」
「全然! 母さんにも会わせたいし!」
え、隼斗君のお母さんって……あのお母さんか……。
隼斗君の転校初日に、偶然見たことがある。
その時は隼斗君、怒られていた気がするけど……。
私、怒られないかな? ちょっと不安だなぁ。
「よし! 決まりだね! じゃあ明日学校終わったら一緒に帰ろ!」
「う、うん!」
隼斗君と一緒に帰る約束をした……それはちょっと嬉しいかも。
あれ? 私、今ウキウキした気持ちになった……。
いつも隼斗君と一緒にいるのに、いつもとは違う感覚に……。
なんか、胸がキュンとする。
――帰ってからも、隼斗君のことを考えていた。
明日は一緒に帰れる。その誘いが、私のハートを揺らしてきた。
待って……今まで気づかなかったけど……私、隼斗君のこと……。
いいや! 私はただのアシスタント!
隼斗君と一緒に、日本一のおにぎりを作る……その目的のために力を尽くす、ただのパートナー!
隼斗君を好きになっちゃいけないの!
……だって、私はもう少しで転校しちゃうから。
好きになっても、意味ない。
離れ離れになるくらいなら、好きになんかなっちゃいけないんだ……。
でも今日、隼斗君に「一緒に帰ろ!」って言われて……自分の素直な気持ちに気づいてしまったような……。
そんな気持ち、邪魔なだけなのに……。
明日からも、ちゃんと意識しないで話さないと。
うわ、何それ? 鮭ときのこ? しかもバター焼きおにぎり?
名前だけでも贅沢なのがわかる。
焼きおにぎり、私大好きなんだよなぁ……。
「六原さん! そうと決まれば、早速作業開始だ!」
「え、今から!?」
「当たり前だろ! 完璧な状態でケイタ君に教えたいじゃん!」
そりゃあそうだけど……。
でも具材は? また松本さんに頼むの?
というか、そろそろ帰りたいんだけど……。
困った顔で隼斗君を見ていると、私の表情に気づいた隼斗君はすぐに謝ってきた。
「あ! ごめんごめん! ついテンションが上がっちゃって! いくら何でも今からはやり過ぎか!」
「そ、そうだね……食材も揃ってないだろうし……」
「確かに! 六原さんの言う通りだね!」
隼斗君はちょっと寂しそうだった。
今回はしょうがない。もうすでに一個目のおにぎりを作っているんだから。
「あ、じゃあさ! 明日の放課後、俺の家で作業しよう!」
「隼斗君の家で?」
「ああ! ウチなら松本さんに頼まなくても食材あるしさ!」
「お店は? 大丈夫なの?」
「店じゃなくて二階のキッチンでやるんだ! 店は父さんが働いてて忙しいから!」
なるほど……家のキッチンを使うのか。
それなら松本さんに迷惑もかからないし、悪くないけど……。
「私がお邪魔して、迷惑じゃないの?」
「全然! 母さんにも会わせたいし!」
え、隼斗君のお母さんって……あのお母さんか……。
隼斗君の転校初日に、偶然見たことがある。
その時は隼斗君、怒られていた気がするけど……。
私、怒られないかな? ちょっと不安だなぁ。
「よし! 決まりだね! じゃあ明日学校終わったら一緒に帰ろ!」
「う、うん!」
隼斗君と一緒に帰る約束をした……それはちょっと嬉しいかも。
あれ? 私、今ウキウキした気持ちになった……。
いつも隼斗君と一緒にいるのに、いつもとは違う感覚に……。
なんか、胸がキュンとする。
――帰ってからも、隼斗君のことを考えていた。
明日は一緒に帰れる。その誘いが、私のハートを揺らしてきた。
待って……今まで気づかなかったけど……私、隼斗君のこと……。
いいや! 私はただのアシスタント!
隼斗君と一緒に、日本一のおにぎりを作る……その目的のために力を尽くす、ただのパートナー!
隼斗君を好きになっちゃいけないの!
……だって、私はもう少しで転校しちゃうから。
好きになっても、意味ない。
離れ離れになるくらいなら、好きになんかなっちゃいけないんだ……。
でも今日、隼斗君に「一緒に帰ろ!」って言われて……自分の素直な気持ちに気づいてしまったような……。
そんな気持ち、邪魔なだけなのに……。
明日からも、ちゃんと意識しないで話さないと。
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