17 / 55
二章 憧れの先輩は陸上部 ~後押しする、豚キムチーズ~
⑦
しおりを挟む
「六原さん、アイ美ちゃん、家庭科室に集合だ!」
帰りのチャイムが鳴ると、隼斗君は私たちを家庭科室へと誘った。
やっぱり……今日から特訓が始まるのね。
「松本さん! 準備してくれてありがとう!」
家庭科室に入ると、先に松本さんが待機していた。
室内にたくさんある家庭科室用キッチンの一ヶ所に、今日使う食材が用意されてあった。
さっき隼斗君が松本さんに注文したんだろうな……。
「おにぎり王子に言われた通り、豚肉とキムチ、それからチーズね! あとは調味料……全部用意したわ」
食品用バットに、今回使う食材がまとめられていた。
それとやや大きめの丼の中に、すでに炊き上がっているお米が。これにはラップがかけられている。
「お米は給食の時に炊いたもののあまりだから。レンジでチンして使ってね」
「わかった! 松本さん、何から何までありがとう!」
「いいのよおにぎり王子! 校長先生の許可も取ってるから、好きに使いなさい! 騒がないようにね!」
松本さん……校長の許可まで取るなんて……どこまでも心強い。
本来なら生徒たちだけでキッチンを使うなんて、絶対アウトだよな……。
それほどおにぎり王子の評判が、先生たちにも轟いてるってことか。
松本さんは「じゃあごゆっくり」と言って、家庭科室から出ていった。
「よし! それじゃあ始めるぞ! アイ美ちゃんはよーく見ててね!」
「わ、わかった! お願いします!」
隼斗君が手を洗って、調理の準備を始める。
私も真似をして、石鹸でしっかり洗った。
準備が整った隼斗君が、先に使う食材の説明をする。
「今日使う食材は、豚肉とキムチ、それからチーズ! 調味料は甘めな味噌と塩、コショウ、白ゴマ……あ、あとゴマ油も!」
アイ美ちゃんはメモ帳を片手に、必死に覚えていた。
調味料も松本さんが、使う分だけそれぞれ小皿に入れてくれている。
「今日の具材は包丁を使わないから、食材さえ揃えればあとは簡単だよ。じゃあ早速作っていくね!」
隼斗君がフライパンにゴマ油を入れて、全体に広がるように傾けた。
火をつけて、熱するのを待つ。
私は何をすればいいのか……。
「あ、じゃあ六原さん! ご飯をチンしてきて!」
「は、はい!」
ようやく指示が飛んできた。
アシスタントなんだから、軽やかに手伝わないとね……。
えーっと……これくらいの量なら……。
「二分くらいにしておくか……いや、すぐに具材ができるとは限らないから、もうちょっと長めにしておこう」
結局三分に設定して、電子レンジのスタートボタンを押した。
チンと鳴るまでまだ時間がかかる。またキッチンに戻った。
他に手伝えることはないか……。
帰りのチャイムが鳴ると、隼斗君は私たちを家庭科室へと誘った。
やっぱり……今日から特訓が始まるのね。
「松本さん! 準備してくれてありがとう!」
家庭科室に入ると、先に松本さんが待機していた。
室内にたくさんある家庭科室用キッチンの一ヶ所に、今日使う食材が用意されてあった。
さっき隼斗君が松本さんに注文したんだろうな……。
「おにぎり王子に言われた通り、豚肉とキムチ、それからチーズね! あとは調味料……全部用意したわ」
食品用バットに、今回使う食材がまとめられていた。
それとやや大きめの丼の中に、すでに炊き上がっているお米が。これにはラップがかけられている。
「お米は給食の時に炊いたもののあまりだから。レンジでチンして使ってね」
「わかった! 松本さん、何から何までありがとう!」
「いいのよおにぎり王子! 校長先生の許可も取ってるから、好きに使いなさい! 騒がないようにね!」
松本さん……校長の許可まで取るなんて……どこまでも心強い。
本来なら生徒たちだけでキッチンを使うなんて、絶対アウトだよな……。
それほどおにぎり王子の評判が、先生たちにも轟いてるってことか。
松本さんは「じゃあごゆっくり」と言って、家庭科室から出ていった。
「よし! それじゃあ始めるぞ! アイ美ちゃんはよーく見ててね!」
「わ、わかった! お願いします!」
隼斗君が手を洗って、調理の準備を始める。
私も真似をして、石鹸でしっかり洗った。
準備が整った隼斗君が、先に使う食材の説明をする。
「今日使う食材は、豚肉とキムチ、それからチーズ! 調味料は甘めな味噌と塩、コショウ、白ゴマ……あ、あとゴマ油も!」
アイ美ちゃんはメモ帳を片手に、必死に覚えていた。
調味料も松本さんが、使う分だけそれぞれ小皿に入れてくれている。
「今日の具材は包丁を使わないから、食材さえ揃えればあとは簡単だよ。じゃあ早速作っていくね!」
隼斗君がフライパンにゴマ油を入れて、全体に広がるように傾けた。
火をつけて、熱するのを待つ。
私は何をすればいいのか……。
「あ、じゃあ六原さん! ご飯をチンしてきて!」
「は、はい!」
ようやく指示が飛んできた。
アシスタントなんだから、軽やかに手伝わないとね……。
えーっと……これくらいの量なら……。
「二分くらいにしておくか……いや、すぐに具材ができるとは限らないから、もうちょっと長めにしておこう」
結局三分に設定して、電子レンジのスタートボタンを押した。
チンと鳴るまでまだ時間がかかる。またキッチンに戻った。
他に手伝えることはないか……。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
甘い香りがする君は誰より甘くて、少し苦い。
めぇ
児童書・童話
いつもクールで静かな天井柊羽(あまいしゅう)くんはキレイなお顔をしていて、みんな近付きたいって思ってるのに不愛想で誰とも喋ろうとしない。
でもそんな天井くんと初めて話した時、ふわふわと甘くておいしそうな香りがした。
これは大好きなキャラメルポップコーンの匂いだ。
でもどうして?
なんで天井くんからそんな香りがするの?
頬を赤くする天井くんから溢れる甘い香り…
クールで静かな天井くんは緊張すると甘くておいしそうな香りがする特異体質らしい!?
そんな天井くんが気になって、その甘い香りにドキドキしちゃう!
月神山の不気味な洋館
ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?!
満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。
話は昼間にさかのぼる。
両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。
その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。
たった一度の、キセキ。
雨音
児童書・童話
「幼なじみとか、昔の話だし。親しくもないやつからこんなんもらったって、気持ち悪いだけだろ」
片思いする幼馴染み・蒼にラブレターを渡したところ、教室で彼が友達にそう言っているところを聞いてしまった宮野雛子。
傷心の彼女の前に現れたのは、蒼にそっくりな彼の従兄・茜。ひょんなことから、茜は雛子の家に居候することになる。突然始まった、片思いの人そっくりな年上男子とのひとつ屋根の下生活に、どぎまぎする雛子だが、
どうやら彼には秘密があるようで――。
妖精の約束
鹿野 秋乃
児童書・童話
冬の夜。眠れない少年に母が語り聞かせた物語は、妖精の郷を救った王子の冒険だった。昔どこかで誰かに聞いたかもしれないおとぎ話。図書館の隅で読んだかも知れない童話。大人になって、ふと思い出す。そんな懐かしい、お菓子のようなお話。
山姥(やまんば)
野松 彦秋
児童書・童話
小学校5年生の仲良し3人組の、テッカ(佐上哲也)、カッチ(野田克彦)、ナオケン(犬塚直哉)。
実は3人とも、同じクラスの女委員長の松本いずみに片思いをしている。
小学校の宿泊研修を楽しみにしていた4人。ある日、宿泊研修の目的地が3枚の御札の昔話が生まれた山である事が分かる。
しかも、10年前自分達の学校の先輩がその山で失踪していた事実がわかる。
行方不明者3名のうち、一人だけ帰って来た先輩がいるという事を知り、興味本位でその人に会いに行く事を思いつく3人。
3人の意中の女の子、委員長松本いずみもその計画に興味を持ち、4人はその先輩に会いに行く事にする。
それが、恐怖の夏休みの始まりであった。
山姥が実在し、4人に危険が迫る。
4人は、信頼する大人達に助けを求めるが、その結果大事な人を失う事に、状況はどんどん悪くなる。
山姥の執拗な追跡に、彼らは生き残る事が出来るのか!
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる