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一章 おにぎり王子降臨! ~心を奪う、ツナのゴマ味噌マヨネーズ~

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 急に呼ばれて、ビクッとする。
 私が……何を手伝うのか? 体が固まってしまう。

「俺のアシスタントになってくれよ! 簡単な手伝いをお願いしたいんだ!」

 アシスタント? 私が?
 できるかわからないけど……この空気で断ることなんかできない。
 とりあえず呼ばれたからには、前に出ないと。

「一緒に最高のおにぎり、作ろうよ?」

 眩しい笑顔に、キュンとする。
 自信はないけど、やってみようか……。
 みんなの前に出るのは恥ずかしいけど、隼斗君の願いなら応えてあげたい。

「うん! 私、やってみる!」

 そうこなくっちゃと、隼斗君が手を握ってきた。
 え、隼斗君の手……すごく温かい……。

「じゃあまずは、具材作りからだね!」

 給食用バットの中に入っていた、大量のツナ缶を底の深い汁物お椀に全部入れていく。
 私もそれを手伝った。

「ちょっと! 指切らないように気をつけてね!」

 田尻先生が心配するように見つめる。
 隼斗君は「大丈夫、俺たちもう小学五年生だよ? いつも家でやってるよ!」と男らしく言い返した。

 私も、これくらいだったらできる。
 いつもお母さんの料理の手伝いだってやっているし。
 二人でテキパキとやっていたら、意外とすぐに終わった。
 ツナってことは……具材はツナマヨかな?

「よし、良い感じ! 六原さん、今度は調味料を入れていくよ!」
「う、うん!」

 隼斗君はマヨネーズを渡してきた。
 やっぱりツナマヨなんだ……私の好きな具で、テンションが上がる。

「ストップって言うまで入れて!」

 隼斗君の指示通り、マヨネーズの容器をギュッと押す。
 中から勢いよくマヨネーズが出てきた。
 艶のあるツナの中に、容赦なく降りかける。
 クラスの人数分のツナマヨを作るのって……どれくらいの量なんだろう。
 想像もつかないなぁ……。

「ストップ!」
「は、はい!」
「うん、これくらいがちょうど良いだろう」

 目分量でよくわかるなぁ……感心しちゃう。
 その後に隼斗君がチューブのおろし生姜を、また目分量で入れ始めた。

「これも、こんなもんだろう」

 お椀の中で、ツナマヨの味付けが成されていく。
 隼斗君は「隠し味」と言って、家庭用の味噌を取り出した。

「味噌も入れるの?」

 気になって思わず聞いてしまった。
 隼斗君は嬉しそうに「美味いんだよ」と答えてくれる。
 スプーンで掬って、ツナマヨの中に投入した。

「六原さん、これも入れて」
「これは……ゴマ?」
「そうそう、白ゴマ」

 言われるがまま、小袋に入ったゴマもシャッシャッと入れる。
 なんか……良い感じだぞ。
 私でも、おにぎりの具にしたら最高だってわかる。

 隼斗君はお椀の中のツナマヨを素早く混ぜ合わせていった。
 それを隣で、黙って見ている私。
 力強く混ぜているからか、すぐに終わったみたい。
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