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一章 おにぎり王子降臨! ~心を奪う、ツナのゴマ味噌マヨネーズ~
⑦
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急に呼ばれて、ビクッとする。
私が……何を手伝うのか? 体が固まってしまう。
「俺のアシスタントになってくれよ! 簡単な手伝いをお願いしたいんだ!」
アシスタント? 私が?
できるかわからないけど……この空気で断ることなんかできない。
とりあえず呼ばれたからには、前に出ないと。
「一緒に最高のおにぎり、作ろうよ?」
眩しい笑顔に、キュンとする。
自信はないけど、やってみようか……。
みんなの前に出るのは恥ずかしいけど、隼斗君の願いなら応えてあげたい。
「うん! 私、やってみる!」
そうこなくっちゃと、隼斗君が手を握ってきた。
え、隼斗君の手……すごく温かい……。
「じゃあまずは、具材作りからだね!」
給食用バットの中に入っていた、大量のツナ缶を底の深い汁物お椀に全部入れていく。
私もそれを手伝った。
「ちょっと! 指切らないように気をつけてね!」
田尻先生が心配するように見つめる。
隼斗君は「大丈夫、俺たちもう小学五年生だよ? いつも家でやってるよ!」と男らしく言い返した。
私も、これくらいだったらできる。
いつもお母さんの料理の手伝いだってやっているし。
二人でテキパキとやっていたら、意外とすぐに終わった。
ツナってことは……具材はツナマヨかな?
「よし、良い感じ! 六原さん、今度は調味料を入れていくよ!」
「う、うん!」
隼斗君はマヨネーズを渡してきた。
やっぱりツナマヨなんだ……私の好きな具で、テンションが上がる。
「ストップって言うまで入れて!」
隼斗君の指示通り、マヨネーズの容器をギュッと押す。
中から勢いよくマヨネーズが出てきた。
艶のあるツナの中に、容赦なく降りかける。
クラスの人数分のツナマヨを作るのって……どれくらいの量なんだろう。
想像もつかないなぁ……。
「ストップ!」
「は、はい!」
「うん、これくらいがちょうど良いだろう」
目分量でよくわかるなぁ……感心しちゃう。
その後に隼斗君がチューブのおろし生姜を、また目分量で入れ始めた。
「これも、こんなもんだろう」
お椀の中で、ツナマヨの味付けが成されていく。
隼斗君は「隠し味」と言って、家庭用の味噌を取り出した。
「味噌も入れるの?」
気になって思わず聞いてしまった。
隼斗君は嬉しそうに「美味いんだよ」と答えてくれる。
スプーンで掬って、ツナマヨの中に投入した。
「六原さん、これも入れて」
「これは……ゴマ?」
「そうそう、白ゴマ」
言われるがまま、小袋に入ったゴマもシャッシャッと入れる。
なんか……良い感じだぞ。
私でも、おにぎりの具にしたら最高だってわかる。
隼斗君はお椀の中のツナマヨを素早く混ぜ合わせていった。
それを隣で、黙って見ている私。
力強く混ぜているからか、すぐに終わったみたい。
私が……何を手伝うのか? 体が固まってしまう。
「俺のアシスタントになってくれよ! 簡単な手伝いをお願いしたいんだ!」
アシスタント? 私が?
できるかわからないけど……この空気で断ることなんかできない。
とりあえず呼ばれたからには、前に出ないと。
「一緒に最高のおにぎり、作ろうよ?」
眩しい笑顔に、キュンとする。
自信はないけど、やってみようか……。
みんなの前に出るのは恥ずかしいけど、隼斗君の願いなら応えてあげたい。
「うん! 私、やってみる!」
そうこなくっちゃと、隼斗君が手を握ってきた。
え、隼斗君の手……すごく温かい……。
「じゃあまずは、具材作りからだね!」
給食用バットの中に入っていた、大量のツナ缶を底の深い汁物お椀に全部入れていく。
私もそれを手伝った。
「ちょっと! 指切らないように気をつけてね!」
田尻先生が心配するように見つめる。
隼斗君は「大丈夫、俺たちもう小学五年生だよ? いつも家でやってるよ!」と男らしく言い返した。
私も、これくらいだったらできる。
いつもお母さんの料理の手伝いだってやっているし。
二人でテキパキとやっていたら、意外とすぐに終わった。
ツナってことは……具材はツナマヨかな?
「よし、良い感じ! 六原さん、今度は調味料を入れていくよ!」
「う、うん!」
隼斗君はマヨネーズを渡してきた。
やっぱりツナマヨなんだ……私の好きな具で、テンションが上がる。
「ストップって言うまで入れて!」
隼斗君の指示通り、マヨネーズの容器をギュッと押す。
中から勢いよくマヨネーズが出てきた。
艶のあるツナの中に、容赦なく降りかける。
クラスの人数分のツナマヨを作るのって……どれくらいの量なんだろう。
想像もつかないなぁ……。
「ストップ!」
「は、はい!」
「うん、これくらいがちょうど良いだろう」
目分量でよくわかるなぁ……感心しちゃう。
その後に隼斗君がチューブのおろし生姜を、また目分量で入れ始めた。
「これも、こんなもんだろう」
お椀の中で、ツナマヨの味付けが成されていく。
隼斗君は「隠し味」と言って、家庭用の味噌を取り出した。
「味噌も入れるの?」
気になって思わず聞いてしまった。
隼斗君は嬉しそうに「美味いんだよ」と答えてくれる。
スプーンで掬って、ツナマヨの中に投入した。
「六原さん、これも入れて」
「これは……ゴマ?」
「そうそう、白ゴマ」
言われるがまま、小袋に入ったゴマもシャッシャッと入れる。
なんか……良い感じだぞ。
私でも、おにぎりの具にしたら最高だってわかる。
隼斗君はお椀の中のツナマヨを素早く混ぜ合わせていった。
それを隣で、黙って見ている私。
力強く混ぜているからか、すぐに終わったみたい。
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