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一章 おにぎり王子降臨! ~心を奪う、ツナのゴマ味噌マヨネーズ~
②
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「えーっと……私のクラスは……」
何とか遅刻せずに済んだ。
正面玄関の扉に貼ってある新しいクラス表を見る。
私の名前は……三組にあった。
気になる他のメンバーは……。
「え! カナちゃんもユキちゃんも……みんな揃って五組になったんだ……」
仲の良いメンバーは、全員違うクラス。私だけ省かれてしまった。
同じクラスに仲の良い人は誰もいない。というか、誰とも話したことがない。
こんなクラスで、上手くやっていけるのだろうか……。
靴箱の中にスニーカーをしまって、持ってきた中靴を履く。
そのまま三組の教室に向かった。
「なぁ知ってるか? どうやらこのクラスに転校生が来るっぽいぜ」
「そうなのか! それは楽しみだな。三組になって良かったわー」
先に教室に入っている男子たちの会話が耳に入る。
私はできるだけ目立たないように、静かに黒板に貼ってある座席表を見に行った。
私の席は……窓側の列の後ろから二番目。最初の席は五十音順で決められているみたいだった。
私は名前は六原 サヤだから……五十音順で決められるときはいつも後ろの方だ。
自分の席に着いて、黒板の方を見てボーっとする。
周りはもともと仲の良かった人がいたみたいで、楽しそうにはしゃいでいた。
そういえば、このクラスに転校生が来るって言ってたっけ?
転校という言葉に敏感な私は、また気分が沈んだ。
「どうやらその転校生、北海道から来たらしいぞ」
「まじかよ! ってかどうして知ってるんだ?」
「朝先生同士が廊下で話してるところ、こっそり聞いちゃった」
「さすが情報屋だなぁ」
え……しかも北海道!? 転校といい、北海道といい……私にとってタイムリーな単語がどんどん聞こえてくる。
っていうか、情報屋って何なんだ……いろんな人がいるもんだ。
本当に、このクラスに馴染んでいけるかなぁ。
でもまあ、どうせ転校しちゃうかもしれないしな……。
そう考えると、少しだけ気が楽になれた。
”ガラガラ”
ドアが開いて、みんなの話し声がピタッと止まる。
新しい担任の先生が教室に入ってきた。
「どうもー! このクラスの担任になりました、田尻でーす! みんなよろしくね!」
田尻先生だ……心の中でガッツポーズする。
音楽の先生で、女子はみんな話しやすいお姉さんみたいに思っているであろう。
私も音楽の授業で一緒になったことがあるけど、優しくて可愛くて……憧れの大人って感じだ。
クラスメイト全員が拍手で迎え、そして喜んでいる。
「まあ、私の挨拶はこのくらいにして……みんなも気になっていると思うけど、このクラスに転校生が来ております!」
その言葉で、待ってましたと言わんばかりに歓声が起こる。
田尻先生の「中に入って!」という言葉の後に、廊下で待機していたであろう男の子が入ってきた。
何とか遅刻せずに済んだ。
正面玄関の扉に貼ってある新しいクラス表を見る。
私の名前は……三組にあった。
気になる他のメンバーは……。
「え! カナちゃんもユキちゃんも……みんな揃って五組になったんだ……」
仲の良いメンバーは、全員違うクラス。私だけ省かれてしまった。
同じクラスに仲の良い人は誰もいない。というか、誰とも話したことがない。
こんなクラスで、上手くやっていけるのだろうか……。
靴箱の中にスニーカーをしまって、持ってきた中靴を履く。
そのまま三組の教室に向かった。
「なぁ知ってるか? どうやらこのクラスに転校生が来るっぽいぜ」
「そうなのか! それは楽しみだな。三組になって良かったわー」
先に教室に入っている男子たちの会話が耳に入る。
私はできるだけ目立たないように、静かに黒板に貼ってある座席表を見に行った。
私の席は……窓側の列の後ろから二番目。最初の席は五十音順で決められているみたいだった。
私は名前は六原 サヤだから……五十音順で決められるときはいつも後ろの方だ。
自分の席に着いて、黒板の方を見てボーっとする。
周りはもともと仲の良かった人がいたみたいで、楽しそうにはしゃいでいた。
そういえば、このクラスに転校生が来るって言ってたっけ?
転校という言葉に敏感な私は、また気分が沈んだ。
「どうやらその転校生、北海道から来たらしいぞ」
「まじかよ! ってかどうして知ってるんだ?」
「朝先生同士が廊下で話してるところ、こっそり聞いちゃった」
「さすが情報屋だなぁ」
え……しかも北海道!? 転校といい、北海道といい……私にとってタイムリーな単語がどんどん聞こえてくる。
っていうか、情報屋って何なんだ……いろんな人がいるもんだ。
本当に、このクラスに馴染んでいけるかなぁ。
でもまあ、どうせ転校しちゃうかもしれないしな……。
そう考えると、少しだけ気が楽になれた。
”ガラガラ”
ドアが開いて、みんなの話し声がピタッと止まる。
新しい担任の先生が教室に入ってきた。
「どうもー! このクラスの担任になりました、田尻でーす! みんなよろしくね!」
田尻先生だ……心の中でガッツポーズする。
音楽の先生で、女子はみんな話しやすいお姉さんみたいに思っているであろう。
私も音楽の授業で一緒になったことがあるけど、優しくて可愛くて……憧れの大人って感じだ。
クラスメイト全員が拍手で迎え、そして喜んでいる。
「まあ、私の挨拶はこのくらいにして……みんなも気になっていると思うけど、このクラスに転校生が来ております!」
その言葉で、待ってましたと言わんばかりに歓声が起こる。
田尻先生の「中に入って!」という言葉の後に、廊下で待機していたであろう男の子が入ってきた。
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