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二日目

ティータイムのお供に②

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 予め用意してくれた調味料皿に、的確な分量の砂糖が入っている。
 それを藤沢から受け取った恵那は、躊躇なくボウルの中に放り込んだ。
 さっきよりも丁寧に、泡立て器を動かしていく。砂糖のザラザラ感が、徐々に滑らかなバターと融合していき、横で見ていた藤沢が「いい感じ」と呟いたのが聞こえた。
 誰かと協力して作業をするのは、こんなにも楽しいものか……恵那は心の中で、味わったことのない充実感を得ていた。

「おっけー。それじゃあマルナ、次は溶き卵を入れていくぞ」

「卵ですね。一気に入れちゃっていいですか?」

「いや。ドバッと入れちゃうと、液だれしちゃうからな。数回に分けて、ちょっとずつ混ぜていけ」 

「な、なるほど」

 溶いた卵を少し入れて、その後は泡立て器で混ぜる。程よく混ざり合ったら、また卵を入れて、またまた泡立て器で混ぜる。これを三回繰り返すと、綺麗な黄色みが浸透した生地になった。
 とは言っても、まだ完成された生地でないことは、初心者の恵那にもわかる。
 隣で皿洗いをしている藤沢の方をチラッと見ると、それに気づいた藤沢はまた次の指示を出した。

「いよいよ生地作りも大詰めだ。最後に薄力粉を加えて、今度はヘラを使ってサクサクと混ぜてくれ」

「ヘラ……ですね。やってみます」

 家庭科の授業で聞いたことのある、薄力粉という白い粉を、散々混ぜ合わせた生地の上にかける。
 それをボウルの中でアグレッシブに混ぜていると、これまで作り上げてきた生地が、より強固なものになっていくのを実感した。
 生地が一つのかたまりになったところで、藤沢は皿洗いをしていた手を止めた。

「マルナ、よく頑張ったな。後はラップで包んで、貯蔵庫で一時間くらい置いておこう」

「じゃ、じゃあ、これで生地は完成ですか?」

「そうだよ。意外と簡単だったろ」

「簡単というか……楽しかったです」

 初めての取り組みだったのに、まさか楽しかったという感想が出てくるなんて。恵那自身も、自らの発言を意外に感じている。
 知らないうちに、恵那の口角が上がっていることに藤沢は気づいた。
 その表情を見て嬉しくなったのか、藤沢は「その感情、忘れんなよ」と言って、恵那の頭をゴシゴシと荒めに撫でた。

「藤沢さん、痛いですよ!」

「あ、わりぃわりぃ。手加減するの忘れたわ」
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